Z世代の代表 作品紹介

一号とRYANAがZ世代ならではの視点でさまざまな作品を紹介します。

『令和最新アニメ うる星やつらのOP映像について語る ちょっとだけ元ネタ解説』

令和最新アニメ『うる星やつら』見ました?

 

正直なところ全然期待していなかった。

 

今時なんでうる星?

どうせ原作もアニメも超えられないだろ。

みたいに思っていました。

 

確かにオリジナルは偉大過ぎるので超えるのは難しい。というか無理。

でもそれはジョイナーの記録が破られないのと同じようなもんで、もともとが偉大過ぎるからしかたないんです。

 

 

でも、今日最新の『うる星やつら』を見て、令和最新のラムちゃんやあたるやしのぶを見て、

めちゃくちゃ感動しちゃいました。

 

いろいろ語りたいことはあるんです。

なんならワンカットごとにコメントを書いていきたい勢い。

令和最新のしのぶかわいすぎるだとか、萌え要素がふんだんに盛り込まれながらそれでいて80年代のエッセンスは抑えているところだとか、最新と言っているけれど、00年代のハチャメチャラノベっぽい雰囲気だなとか語りだしたらキリがないです。

 

そんな最高の令和最新アニメ『うる星やつら』なんですけれど、OPの映像が特によかった。いやEDが悪かったってわけじゃないですよ。「コズミックサイクラー」や「chance on love」のオマージュってのも素晴らしいですし、いろいろな服装のラムちゃんもかわいい。

 

だけどやっぱりOPが私的にはすごくアガったので、OPについて語ろうと思います。


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最初インベーダーゲームから始まりますけれど、これは結構新鮮。

ただあたるが💛打つインベーダーにしゅがあ、じんじゃあ、ぺっぱあがいるのはちょっと解釈違いです、だってガキ過ぎてあたるは相手にしてないわけですから。まあそんなことはどうでもいいことですね。

そしてネオンと共にタイトルロゴがドーン。

タイトルロゴが昔とほとんど同じなのは素晴らしい!

ここでいっきに引き込まれます。

 

そして次のカット。

原作のラムちゃんが切り抜かれて背景に流れます。やっぱ初期ラムちゃんの吊り目もいい。頬杖ついているあたるはラムのラブソングのOP映像のラストからでしょうかね。

上からぶら下がって「バァ!!」ってやるラムちゃんは今までのアニメ化ラムちゃんのなかでも一番原作ぽい。

 

次のカット

ガールハントに興じるあたる。やっぱあたるが走っているシーンは一番うる星ぽい!これで百メートル7秒で走るんですから驚きです。

 

スマホを使っている!!!時代は昭和か令和か?

そしてライトを持ったあたると踊るラムちゃん

これですよ。踊るOPEDといえばうる星。ほぼ元祖みたいなもんなんですから、やっぱり踊らないと。振付は流石にサタデーナイトフィーバーではないですが、これもまたいいですね。

そしてジェットコースター。あたるとラムが遊園地に行く回を思い出しますね。ローラースケートの回ってやるのかなあ。そういや「最後のデート」でも遊園地いきますよね。

 

そして次

原作の表紙絵だけじゃなくて、過去のうる星作品がいくつか出てきますね。

にわかなんで(というか年齢的に)『ラムのウエディングベル』くらいしかゲームはわかんないんですけれど、あのRPGぽいやつはなんでしょう。

ADVぽいやつは『ディア・マイ・フレンズ』かなあ。それとも『エンドレスサマー?」ちょっと調べてみようかな。うる星試験に出そうな問題です。

 

 

ギャルゲーぽい画面。ギャルゲーってうる星の子供みたいなとこありますもんね。ちなみにしのぶがラムに入れ替わるのは、旧アニメのアイキャッチからでしょうね。そしてスライドするとtiktok

時代を縦横無尽の駆け回る。うる星はいつの時代だって不滅です。

 

ラムのラブソングのダンスから、人差し指をたてた「いっちばーん!」のポーズでウインク。「コズミックサイクラー」ですか。そうですか。

螺旋階段。なんか『うる星2』ぽい。永遠に続く鬼ごっこがうる星ですもんね。恋のメビウスですよ。

いろんな恰好をしているラムちゃん

ラムちゃんってトラ柄ビキニのイメージが強いけれど、いろんな恰好するのが魅力なんですよ。新アニメは髪が反射して色が変わるということも再現されているので、よりおしゃれ感がでていてほんと素晴らしい。

あとラムちゃんがたくさんいるのって、ランちゃんのせいで増えたりするのもあるけど、アニメも原作も結構ラムちゃんのデザインに差があったりして、そんなラムちゃんの複数性が表現されているのかもなんて妄想。

 

そしてラスト。夢落ち。やっぱり『うる星2』ぽい。そしてあたるとラムですね。最後のカットは原作のラストっぽい。

 

とまあこんないろいろな想いがOP見ただけで溢れてくるわけですよ。

もちろん新アニメは私の大好きな押井ぽいハチャメチャさはあまり期待できないし、1話見る限りかなり現代風にキャラクターがリファインされていて、原作再現というよりリメイクといった様子。

それでもやっぱりうる星ぽさはそのままにあって、ものすごく愛のある作品だなと感じました。

私はうる星を知ってからまだ10年くらいしか経っていないですけれど、それでもこんだけ新作に感動することができました。それならきっと古参ファンの方も楽しめる出来になっているのでしょう。

またまだ『うる星やつら』を見たことがないというひとも、思ったよりも昭和そのままというわけではなく、令和というより平成ぽいのりに調整されていたので、きっとすんなり楽しめるんじゃないかなと思います。

ぜひぜひぜひ『うる星やつら』をみなさんみましょう。

 

gzdaihyoryana.hatenablog.com

もし旧作に興味があるってひとがいたらこちらも御覧下さい。

うる星沼に君もつかろう!

それでは

『うる星やつら入門。うる星って何から見ればいいのというひとに向けて』

おっはよ~うち、Z世代の代表、RYANAだっちゃ!!


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本日から令和最新アニメ『うる星やつら』が放送開始します。

 

実は私は『うる星やつら』の大ファンなのです。

*1

 

うる星やつら』はアニメ史上で最も重要な作品の一つ。

「せっかくリメイクされるんだからオリジナルにも興味がでてきた」「この機会に履修したい」という人も多いのではないでしょうか。

 

 

しかし『うる星やつら』は結構長い。原作は34冊もあるし、アニメは195回もあり、そのうえ映画6本にOVA・・・

 

 

めちゃくちゃ長いです。

 

もちろん全部見るのが理想ですが、ハードルが高すぎますね。

ということで今回は『うる星やつら』入門ということで、原作、アニメから重要な話をピックアップしてみます。

 

前提知識

まずオリジナルの『うる星やつら』を楽しむ前に、前提知識から。

うる星やつら』と言えば、80年代の作品で、女好きの主人公あたるとトラ柄ビキニのラムちゃん

あたるが浮気をするとラムちゃんが怒って電撃を食らわせる!

というイメージがあるでしょう。

もちろんこれは正解です。

 

 

でも意外に知られていないのは原作とアニメの違い。

うる星やつら』って原作漫画とアニメでかなり毛色が違うんです。

 

原作は皆さんご存じの高橋留美子先生。そしてなんとアニメ版の最初の監督は『パトレイバー』シリーズや『攻殻機動隊』などで知られる世界的な監督である押井守監督です。

 

 

そして原作もアニメどちらも先進的な内容でインパクトを残し、その遺伝子は別々の形で現在に至るまで受け継がれることとなります。

 

(『瀬戸の花嫁』ぽい原作うる星)

ハルヒはアニメ『うる星』のパロディ、と言い切っていいくらい似ています。)

 

違いを説明するのは難しいですが、非常識だけど愛嬌のあるキャラクターたちによるピタゴラスイッチのようなテンポのよい展開、センスが良く上品で嫌味のないギャグ、そして時折挟まれる人情話、ラムとあたるの恋の駆け引きや心温まるシーンなどが原作の魅力だと言えるでしょう。

 

 

アニメ版はどうでしょうか。アニメ版は原作のエピソードを引き続きつつ、よりハチャメチャで破滅的な方向へ舵取りをしています。またアニオリキャラであるメガネという、早口で活動家のようにがなり立てる男がいい感じに下品で面白いです。

またナンセンスで前衛的なエピソードも数多く見受けられ、時には理解することが著しく困難ながらも、雰囲気や作中で行われる哲学的な思索が非常に奥深く押井節が効いていて見ているだけで賢くなった気分になれます。

押井監督が降板した後、OPEDが2クールごとに変わるというところは注目すべき点でしょう。それまでアニメはOPEDが変わるということはあまりなく、『うる星』が最初に導入したらしいです。うる星を見ればアニソン史のいい勉強になるでしょう。

 

 

*2

ざっくり説明するとこんな感じでしょうか。

 

原作の楽しみ方

 

まずは4巻まで読もう。

 

時間があるなら1巻から全部読んだ方がいいです。

しかし『うる星やつら』は大きな物語がある話ではありません。

もちろん登場人物は増えていきますが、『ドラえもん』でしずかちゃんがどのように登場したのかを知らなくても楽しめるように、キャラクターさえ覚えてしまえばどこから読んだり見たりしても基本的には大丈夫です。

とはいえいきなり中盤から読み始めると、ノリがわからないところもあると思います。

 

また、前提知識のところでアニメと原作でずいぶん違うと話ましたが、原作も連載時期によってずいぶん雰囲気が異なります。

最初期はラブコメ的な要素よりは、世界一不幸な男の周りで起こる少し不思議なギャグ漫画というもので、ラムちゃんももともとは1話限りのゲストヒロインで、本来のヒロインはしのぶというキャラクターでした。

ラムちゃんがいつメインヒロインになったのかということには論争がありますが、おそらく3巻の中盤「とらぶるは舞い降りた」という話からでしょう。

ここで主人公もあたるは1年生から2年生に進学し、ここからは2年生を永遠にループするサザエさん方式に変わります。

そして3巻末の「ツノる思いが地獄をまねく」や「君待てども」そして4巻終盤の「君去りし後」などのエピソードでラムちゃんがメインヒロインであることが押し出され、あたるの気持ちもほのめかされることとなります。ここらへんでラブコメうる星やつら』が確立したと考えられるでしょう。

 

というわけで私は原作を楽しむときは、原作4巻までは先に読むべきだと思います。

 

原作4巻までに多くのキャラクターは登場するのである程度ノリがわかってくると思います。

 

とはいえ重要キャラクターで4巻までに登場しないキャラもいるので、一応どの巻に登場するか、ここに明記しておきましょう。

 

7巻 ラムのいとこ テン 「テンちゃんがきた」にて

 

(表紙テンちゃん)

11巻 相撲取りのようなネコの幽霊 こたつねこ 「階段にねこがおんねん」にて

 

(表紙コタツネコ)

15巻 男装した美少女 藤波竜之介 「激闘、父子鷹‼」にて

 

(表紙竜之介)

 

その他にも準レギュラーはいますがメインはこんなところです。

 

私的おすすめエピソード 5巻以降

ブコメ・心温まる編

9巻「お見合いコワし」

ラムちゃんがお見合い!?あたるは居ても立っても居られずに宇宙に飛び出すというお話。

10巻「雨よ降れ降れ、もっと降れ!」

妖怪に呪われた女の子のお話。あたるの根性に泣ける。オチもめちゃくちゃ面白いです。

24巻「最後のデート」

あたるってやっぱりやさしいんだなってわかるお話。

30巻「ダーリンの本音」

『うる星』の醍醐味。あたるの本音は・・・

34巻「ボーイ・ミーツ・ガール」

「お見合いコワし」のスケールをでっかくしたバージョン。原作最終話ですね。

 

 

ドタバタ・SF編

11巻 「コピーdeデート」

ランちゃんの策略で無限に増え続けるあたるのお話。

12巻「命かけます、授業中‼」

話したら補修と言われ、何が起きても声を出さない登場人物たち。黙っているだけで、大惨事になる様は痛快です。

17巻 「みじめっ子・終太郎‼」

面堂のトラウマの根源は?タイムパラドックスを扱ったお話。

18巻 「無我の妙薬‼」

お色気回。

26巻 「愛の使者どすえ」

テンちゃんに子供?そして親は子に似る

27巻「反省座禅会」

「命かけます」とほとんど同じ。『うる星』の醍醐味はこういうテンポのいいギャグだと思うのです。

 

こんな感じです。厳選してピックアップしましたが、やっぱり全部読んだ方がいいと思います。

 

 

アニメの楽しみ方

原作からがオススメ。アニメからなら下に書いてあるエピソードを見よう!

 

アニメ『うる星』は前述の通り原作と全然違います。

しかしキャラクターは一応(微妙にノリが違いますが)原作とほぼ同じなので、原作を読んでいれば、どこから見ても楽しめるでしょう。

おすすめは原作からアニメに入る方ですね。

しかし一応アニメ単独での道しるべとして、どの話をみればよいのかということをまとめでおきましょう。

まずキャラの登場話から

 

第一回 あたる、ラムちゃん、しのぶ、チェリーなど

 

*3

第2回 テンちゃん

 

 

3回 レイ

 

 

5回 サクラ

 

 

8回 お雪

 

 

9回 クラマ

 

 

14回 面堂(実は11回にも登場している)

 

 

15回 弁天

 

 

18回 ランちゃん

 

 

51回 コタツネコ

 

 

63回 竜之介

 

 

とここまでが原作登場キャラですが、アニメには重要なアニオリキャララムちゃん親衛隊が登場します。

彼らの活躍こそがアニメ『うる星』の根幹であるので、彼らが活躍する回も紹介しましょう。

 

10回 「ときめきの聖夜」

メガネの独白そのⅠ。原作と何が違うのかこの回を見ればなんとなく理解できます。

 

 

46回 「買い食いするものよっといで!」

 

 

もはや革命家なのではないかという演説シーンがあります。このエピソードは原作にもあるが、アニメ版は戦争映画のような味付けがされていて仰々しいです。

 

アニメオススメエピソード

『うる星』はラブコメです。しかしラブコメエピソードだけでなく、ハチャメチャでなんでもありな世界観が『うる星』の最大の魅力だと私は認識しています。

特にアニメは、映画からの引用やつげ義春など前衛的な作家のパロディなど、一言で言うとカオス。

というわけでそんなアニメ『うる星』の良さを最大限楽しめるエピソードを紹介します。また原作を読了した方に向けて、原作と大きく異なったり、アニオリエピソードもまとめておきましょう。

 

37回 「怪人赤マントあらわる!」

大きな流れは原作と同じ。しかしダンスシーンで「星空のサイクリング」が流れる。

 

42回 「酔っ払いブギ」

原作と流れは同じだが、酔っぱらったラムちゃんのシーンで「マルガリータ」が流れる。ラムちゃん視点の映像が表現主義映画見たいで面白い。

 

53回「決死の亜空間アルバイト」

後半はお色気。しかし前半は『ねじ式』のパロディで、語義通りシュールレアリスム的な描写が続く。あまりにナンセンスでわけがわからないが、『千と千尋の神隠し』の元ネタ(要出典)と言われることもあり、とても見ごたえがあります。

 

64回「さよならの季節」

これも筋は原作と同じですが、原作と異なり、「あたるの引退」によって友引町のパワーバランスが崩れることを危惧したキャラクターたちが陰謀を巡らせるという展開が追加されています。

 

72回「ラムちゃんの理由なき反抗」

後半は原作と同じ。しかし前半部分ではキャラたちが自主映画製作をするという内容になっています。映画のパロディが多いです。

 

75回「そして誰もいなくなったちゃ⁉」

アガサ・クリスティーのパロディ。キャラが死亡する衝撃作。

 

78回「みじめ!愛とさすらいの母⁉」

もっとも前衛的な回。「胡蝶の夢」を題材にしたアニメや漫画は今でこそ沢山あるけれど、当時としては革新的だったのかもしれない。途中のあたるの母の精神分析をするシーンが好き。

 

84回「恐怖!トロロが攻めてくる‼」

ホラー映画のパロディ。ヒッチコックの鳥のようだが、『キラートマト』のパロディだと思うのは私だけだろうか。

 

91回「ドキュメント・ミス友引は誰だ⁉」

原作と全く異なる。原作は普通にミスコンをする話だけれど、こちらはミスコンを巡った政治劇が展開されます。賄賂やらスポンサーやらやたらとリアルな展開の結末は自身で見て確かめましょう。

竜之介の顔を踏み絵するシーンがあり、原作者の怒りを勝ったと噂されている。(要出典)

 

99回「必殺!立ち食いウォーズ‼」

押井でしかない回。立ち食いのプロの美学は必見です。

 

100回「大金庫!決死のサバイバル‼」

ラムが登場しない珍しい回。あたると面堂の二人だけで物語は進みます。

 

105・106回「スクランブル!ラムを奪還せよ‼」「死闘!あたるVS面堂軍団‼」

押井監督が手掛けた最後のエピソード。ミリタリー×『うる星』というアニメの特色が最も押し出されたエピソードですね。

 

107回「異次元空間 ダーリンはどこだっちゃ⁉」

やまざき時代の最初のエピソード。パラレルワールドのお話。

 

118回「堂々完成!これがラムちゃんの青春映画」

映画製作エピソードその2。こちらは映画の資金繰りに焦点が当たっていて、いかにスポンサーが口を出すことによって映画がめちゃくちゃになっていくかというアニメ『うる星』らしいエピソードです。

 

151回「退屈シンドローム!友引町はいずこへ!?」

押井パロディみたいなエピソード。かなり批評性がつよい冒頭から、ハチャメチャな後半まで『うる星』後期の中でも屈指のエピソードだ。

 

194回 オールスター大宴会!うちらは不滅だっちゃ‼」

アニメ最終話。ハチャメチャに終わる。

 

こんな感じですかね。

名エピソードは押井時代の後半にまとまってます。

とはいえ原作に近いエピソードでも素晴らしい回は沢山あって、「君去りし後」とか「最後のデート」とかはアニメ版も素晴らしいですよ。

 

映画・OVAについて

おそらく『うる星やつら』に関心があるという人の中には、映画に興味があるという人もいるのではないでしょうか。

『うる星』の映画、特に『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』はアニメ史どころか映画史に残る名作ですし、その他の映画も興味深いものが多いです。

映画に関しても、基本的にはキャラを覚えていれば見ることができるので、前述のエピソードさえ見ていれば大丈夫です。

やはり『うる星2』はみておいた方がいい作品ですよ。特に00年代以降のオタク文化に触れてきた人なら、これが原点なのかという遺跡を見たときのような感動が待っているはずです。

 

他の『うる星やつら オンリー・ユー』は最終話や『うる星5』である「ボーイ・ミーツ・ガール」と対になっていて面白いですし、『うる星3』『うる星4』は『うる星2』を乗り越えようとする作品で、非常に多くの示唆を与えてくれます。

 

 

(『消失』って実質『うる星3』)

 

(難解だけど、よく考えれば内容が見えてくるはず。作画はめちゃくちゃいい。)

『いつだってマイダーリン』は・・・まあ時間があれば見てもいいと思います。

 

OVAは忍の恋路が気になる人は見ても損はないかと思います。基本的には原作の残りを消費する感じです。

 

 

以上が『うる星』入門編となります。基本的にはシリアスな作品でもないので、あまり肩に力を入れずにリラックスしてみることをお勧めします。

そんな中で「あっこのキャラいいな」だとか、「友引町で楽しく暮らしたいなあ」だとか感じることができれば、あなたは『うる星』玄人。

リメイク版だけ見るのもいいですが、ぜひオリジナルを堪能してみてください。

 

それでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:(ここで問題になるのが、どっちのうる星が好きなのかということですが、わたしは原作もアニメもどちらも好きなのです。というよりも高橋留美子の作ったテンポの良いおしゃれな原作と下品で騒がしい押井守やまざきかずおの微妙な対立関係こそが『うる星やつら』という作品を奥深いものにしていると考えています。そもそも最終章の「ボーイミーツガール」は「ビューティフルドリーマー」で行われた原作への反逆を前提にして読むことで、かなり興味深く読むことができます。「いまわの際に言ってやる」の精神は『らんま1/2』、冒頭から物語を終わらせた『人魚シリーズ』や『犬夜叉』の奈落の頻繁な逃亡や生き返った桔梗など高橋留美子の哲学を最も凝縮したセリフなのです。)

*2:押井監督が105話で降板した後、グンと作画のレベルが向上し、各アニメーターがそれぞれのラムのデザインを確立させていきます。どのアニメーターが作画監督かを当てるという楽しみ方も面白いです。

*3:アニメ『うる星やつら』は話数と回数が異なるので注意。

実録!あるZ世代のお金の使い方 Z世代の代表はどんな趣味をもっているの?

(こんにちは!Z世代の代表です。もうすっかり秋ですね。

9月も終わって、気候も丁度いいといったところ。着かぬ間にももうとうとしてしまうくらいのんびりとした陽気。

そんな朗らかなお天気のなか、わたしは電車の中のモニターで、ある情報を目にしました。

 

prtimes.jp

news.mynavi.jp

ソース元はとはもしかしたら違うかもしれないですが、こんな感じの内容。わたしが属するZ世代は推し活に結構お金を消費しているってお話。

マイナビ様のこの記事によると

「18歳~24歳では、4割以上が毎月3万円以上を推し活に使っているという結果になりました。中高生では5,000円以下が過半数ですが、10,000円以上も26%と大きな割合を占めています。お小遣いやバイト代の相場などを考えると、毎月費やすのにはかなり大きい金額ではないでしょうか。」

 

だそうです。

これにはZ世代のわたしもびっくり。わたしにはアイドルだとか、Vtuberだとかの推しは特にいませんし、ソシャゲもあんまりやっていません。

だからまわりのみんながここまでお金をつぎ込んでいるということにびっくりしてしまいました。

「なんでそんなことにお金を使うんだろう?」「もったいなくね?」とも一瞬思いましたが、人の振り見て我が振り直せと言うじゃないですか。

ということでわたしが生活費以外にどんなことにお金を使っているかちょっと見ていきましょう。

 

まずは月に数回いくプールとスポーツジム。

身体がなまるのはいやなので、ちょこちょこ訪れてがっつり運動します。

大体月に2000円かからないくらい。

ジムとプールがセットになっている公共機関はコスパ最高。

 

Amazonの履歴をチェックしてみます。

まずは軽めのところから行くと、こんなもんを買っています。

ギターの弦

 

そんな本格的にやっているってわけでもないのですが、なんの楽器も弾けないというのは悔しいので、独学でちょくちょく弾いています。歴は1年未満のペーペー。

人前で弾けるレベルではないです。でも友人が家に訪れたらどや顔で弾きます。オープンコードじゃかじゃかスタイル万歳。パワーコード様には頭が上がりません。

 

さてさて本番

サブスクを確認すると、アマプラ、U‐NEXT、kindle unlimited、Spotify

ちょくちょく乗り換える人なんで、固定はアマプラSpotifyだけですかね。

月平均だと、大体4000円いかないくらいかな。

おすすめ映画はこんな感じ。

 

フランケンジョーズ

フランケンジョーズ

  • グレタ・ヴォルコヴァ
Amazon

 

ノスタルジア(字幕版)

ノスタルジア(字幕版)

  • オレーグ・ヤンコフスキー
Amazon

 

 

最近ゴダールが亡くなってしまったのは悔やまれます。

 

漫画

昨今は空前の漫画ブーム。

何千万部何億部といった勢いで、爆発的なヒットをかます名作漫画が数多く発行されており、もちろん時代の流れに敏感なわたしも漫画大好きです。

大体月に1000円分くらい、中古なら4冊、新品なら2冊分くらいですかね。

昔はもっと買ってましたが、最近はこんなもんです。

 

ということでZ世代の代表が選ぶ今年読んだ漫画3選です。

 

『ワンピース』

 

 

「無料期間で読みました。そのため主旨とは外れてしまうのですけれど、やっぱり面白かったので入れました。

詳しくはこちらの記事で。

 

gzdaihyoryana.hatenablog.com

 

一応40巻分以上は読みました。はやく続きも読まなきゃ。」

 

『オクターブ』

 

 

「夢やぶれた元アイドルと、売れないミュージシャンの百合漫画です。主人公の雪乃は田舎生まれで、芸能界の中心である東京に憧れて、上京するも挫折。未練を抱えたまま零細芸能事務所で働いています。対して節子さんは年上のミュージシャン。そして二人の関係は、コインランドリーから始まり、肉体関係を持ちます。『安達としまむら』や『やがて君になる』のような甘酸っぱい青春ものの百合もいいですが、もう少し年齢を上げた大人の関係から始まる百合もいいですね。」

 

ヤマタイカ

 

 

星野之宣を知っているカナ?

(中略)

最近の若いサブカル趣味の子たちは伊藤潤二だとか、諸星大二郎だとかを取り上げるわりに彼についての話しているのを聞いたことがないのはなぜなのだろう。特に諸星大二郎星野之宣はニコイチセットって感じだから不思議でならない。(笑)

ヤマタイカ』はそんな彼の代表的な作品で、読んでみるとこれまた星野だなあ~となる。星野節満開、心も満快。日本神話を背景とした濃厚なバックグラウンドはまるで豚骨ラーメンのようで、そんなこってりしたスープをズズッ・・・とすすると、ピリッっと聞いてくる現代社会への風刺。激辛ラーメンみたいな無節操さはなくて、程よいピリ辛の香辛料を感じる。

(中略)

小生のような通はこの作品をただこの漫画だけじゃなくて、『古事記』や『日本書紀』なんかと一緒に読んでみたりする。

ふむふむ。これまたよく考えられた作品ですよこれは。だけど昨今の作品にあるような、ダレモガワカル作品でなくて、ナショナリズムアナーキズムが渾然一体となった世界観は珍味を味わえる小生には心地よいのだけど、なかなか厳しいのカナ…

(中略)

でも少し言わせてもらうと、SF大賞をとっているけれど、SFとしては疑問に残るカナ(笑)これに限らずSFでもないのにSF名乗る作品が増えすぎていると思うのですよ。ガンダムSF論争とかを見ても思うのですが、科学的考証がしっかりとされていないのにも関わらずどうしてSFを名乗ろうというのでしょうか。設定の細部をオカルトに頼っているならそれはもうSFではありません。それは潔くファンタジーと名乗るべきなのですが、どうしてそんな基本的なこともわからないのでしょうか。(以下割愛)」

(好きなSF作品は『うる星やつら』。本音では科学ぽい作品はSFだと思ってます。)

と言った感じですね。流行りの漫画からちょっとニッチな漫画まで幅広く読もうと心掛けています。

 

わたしの消費活動の多くを占めている本。

kindle unlimitedにも契約していたり、青空文庫も結構活用しているのですが、紙の本もめちゃくちゃ買っています。

大体月に3000円くらいでしょうか。中古新品合わせて10冊程度は買っています。

 

最近買った本のおすすめ

『友達をやめた二人』

 

 

「タイトルに惹かれました。児童文学を読むのはとっても久しぶりでしたが、大人が読んでもしっかり面白かったです。友達と親友の線引き。そういうことが気になってくる小学5年生の子たちのお話ですが、そういった人間関係の線引きって大人になってからも気になることですよね。」

 

奥の細道

 

 

「情報化社会、情報過多の時代。時代はファスト娯楽です。Y世代のみなさん。YouTubeショートにしろtiktokにしろもう長すぎるんです。だからみんな5秒くらいでスクロールするんです。我々は1分もかかる娯楽に耐えられません。でいま最先端なのはもちろん俳句。17文字って何分の一Twitterだかわからないけれど、最強のファスト娯楽。最先端すぎてまだビジネス視点を持った老人たちは気が付いていないですけれど、そのうち『俳句がZ世代に大流行のわけ』だとか『Z世代中心に話題の俳句。トレンドを掴んだ5つの理由』とかいう記事がきっと出てきますよ。知らんけど」

 

『図説 金枝篇

 

 

「みなさんご存じの通り、J・フレーザーによるネムの金枝と王殺しについての本ですね。世界各国の民話や伝説、神話を収集し、その共通性を探るという内容で、作中に登場する共感呪術、類感呪術だとかの用語が我々を困惑させます。しかししっかりと読み解くと、その後発展した文化人類学への入り口にもなりますし、単純に大量に収集された各国の神話のアーカイブとしても非常に価値のある本です。」

堤中納言物語

 

 

「平安末期から、鎌倉初期に書かれた説話集。中でも『虫愛ずる姫君』はとても有名です。10篇からなっていますが、悲しい女性の運命のお話から、恋する男の御まぬけなお話まで、バラエティー豊かな人間模様が非常に魅力的でした。」

『パサージュ論』

 

 

「『パサージュ論』はベンヤミンによるパリのパサージュに対する論考の断章を彼の死後に編纂し、出版したものである。邦題では論とついているが、原題はWerk、つまりworkである。『パサージュ論』を完全に理解するということは不可能であるが、読むにあたって前提知識があったほうが分かりやすいだろう。

というわけでここではベンヤミン方法序説について簡単に解説する。

『ドイツ悲劇の根源』にあるように[1]ベンヤミンは哲学者の使命は、科学者と芸術家の中間にあると言っている。科学者のように唯物論的であるが、その唯物論的な世界観の上に神秘主義的な解釈をすることが、彼の独特な方法論なのである。世界はモナドのようなものであると想定し事物はそれぞれ、独立して存在していると考える。しかし、人間の認識とはその独立して存在している事物同士を線でつなぎ、星座のような構成をすることであるとベンヤミンは考える。すなわち彼に言わせれば、世界は断片の集まりであり、それをモザイクのように組み立てることが我々の認識なのである。彼は言語、政治、批評、メディア。歴史など様々なジャンルを取り扱ったが、その横断的な見識の根源には神学、そして唯物論がある。その矛盾した二つを止揚するものこそがアレゴリカーの視点なのだ。そしてそのまなざしでパリのパサージュに何を見たのか。『パサージュ論』には現代社会のみならず人類史において最もラジカルなものが数多く多く含まれている。」

 

とこんな感じですね。ちょっと前までではミステリーとかライトノベルとかも読んでました♪

 

さてさてこれで最後です。自分の購入履歴を見て、流石に青ざめました。気が付かないうちにこんなに買ってたとは・・・

 

そしてそれはこちら。

美少女ゲームです。

 

 

まずDMMとDLサイトの購入履歴とか、こまめにつけているプレイ履歴、棚の奥底にしまってある箱の数を数えて驚愕。

なんと70本以上あるではないか。

まあ基本セールで買ったり、中古のを買ったりするんですけれど、想像より多すぎてびっくりしました。だってまだ美少女ゲーム歴2年半とかですよ。

大体月換算で割ってみると大体5000円くらい?まあサブスクでやった期間とかあるし、ワンコインで買ったやつとかもあるから一概には言えないですがちょっと予想外に金かけてました。しばらく買うのやめます。

というわけでわたしが一番お金を溶かしたジャンル。

最近やった作品のおすすめ。

 

『MOON.』

 


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(大嘘。言っていいウソと駄目なウソがあると思います。)

「あのKeyの麻枝准久弥直樹樋上いたるなどのスタッフが作った作品。「FARGO」と呼ばれる宗教団体に母親を殺された主人公郁美は、復讐心を抱いて教団に潜入するというお話。「FARGO」はタイトルから連想される教団というよりは、サイエントロジーやオウムに近く、オカルトチックな自己啓発セミナーといった感じ。凌辱シーンや過激なシーンが多いので、麻枝准をファンにはすこしきついかもしれないです。しかし失われた母や幼少期の想い出というテーマに関しては、『ONE』や『Kanon』よりうまく決着がついていてよい作品です。女主人公なのもグッドですね」

 

『Musicus』

 


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瀬戸口廉也美少女ゲームに帰ってきた。Overdriveの最終作にして、クラファンで億を集めたすんごい作品。内容は音楽というのを軸にそれぞれことなる物語が紡ぎだされます。学生時代にエンジョイしながら音楽に触れるルート、未来を見ずに今を楽しもうという刹那的な享楽主義的なルート、商業的な成功を収めるも自身のやりたいこととズレを感じるというルート、親のすねをかじりながら、ひもとして売れないミュージシャンを続けるルート。話としては成功するルート、売れないミュージシャンルートの出来が素晴らしいのですが、その他のルートの在り方も含めて俯瞰してみると、音楽と人とのかかわりあいの七色が重厚なハーモニーとなって浮かび上がってきます。私は前作の『キラ☆キラ』よりこっちのほうが好きですね。」

 


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『和香様の座する世界』

 


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「平成末期、元号が変わる寸前に発売されたいろいろな示唆に富んだ作品。基本的には廃神社にて、忘れ去られた神様である和香さまたちのドタバタコメディなのですが、話を進めるにつれて、記紀神話に裏づけされたお話であるということが明らかになっていきます。この作品さえやれば神代のことはだいたい抑えられます。作品内にちりばめられたアイロニーや神話の再解釈、いろいろとみるところの多い作品です。そして最後に和香さまの正体が明かされることで、なぜこの作品を当時作ったのかということが明らかになります。日本と言う国が日本たる根拠はいかなところにあるのか。そんなことをゲームで学べるなんて素敵な時代です。」

 

 

とまあこんなところですね。

でも残念です。いい作品が多いのにしばらく買うの自粛しなくちゃならないなんて。

 

ん?瀬戸口さんの新作発売されてる!

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田中ロミオの新作発売されてる!


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買っちゃいましたよ。

まあこれでしばらくは・・・

瀬戸口さんの新作今度はアニプレ系のブランドで発売だと!!!!


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とまあこんな感じでした。

大体月に15000円くらいは趣味に使ってるのかな。

そういや映画見に行ったりすることもあるのでプラス2000円くらいです。というかここで書かれていないものもあるのできっともっとかかってます。

 

 

いかかでしたか。

あるZ世代は月に1万以上趣味に使っているということがわかりました。情報が多様化するなか、デジタルネイティブのZ世代。こうやって見てみるとわたしの消費はゲームのようにデジタルデータへのものが一番多くなっていますね。

しかしながらコスパを重視して、無料で楽しめるものから、フィジカルで欲しいものまでまんべんなく消費しているので意外にもデジタル一辺倒というわけではありませんでした。

 

 

みなさまの参考になれば幸いです。

 

 

それでは Z世代の代表でした。)

 

[1] 「経験的世界が自動的に理念の世界に入り込んでいくような、そのような理念の世界を構築記述するための修練が、哲学者の課題であるとすれば、哲学者は学者と芸術家の中間に位する高い存在にあることになる。芸術家は理念の世界の小さな像を描くのであるが、これを一つの比喩として描くからこそ、あらゆる時点における究極の像を描くことになるのである。学者は世界を内側から概念として分割することによって、理念の領域における世界の拡散を容易ならしめる。単なる経験論の払拭を志す点で哲学者と学者は共通点を有し、表現という課題が芸術家と哲学者を結びつける。」(ヴァルター・ベンヤミン著 川村二郎訳(1975)『ドイツ悲劇の根源』法政大学出版より) 

☆☆☆ゲルハルト・リヒター展!に行ってみたよ☆☆☆

 

地下鉄で行くのがめんどうくさいので御茶ノ水駅から徒歩15分ちょっとくらい?

 

 

なんか皇居が見えてまいりました!



そして東京国立近代美術館。訪れるのは初めてです♪

 

ゲルハルト・リヒター展!

 

 

ゲルハルト・リヒター展!!

 



とまあこんな風に大興奮というわけでもなかったわけですよ本当は。

実はわたし、あんまりリヒターについて知りませんでした。

友人に言われて、「現代美術もまあ嫌いじゃないな」という軽い気持ちでいってきました。

ということでリヒター初心者がほぼ初見でどんなことを思ったのかを綴っていきましょう。

 

見る前、わたしは大きな勘違いをしていました。

 

駅のポスターとかでリヒター展をやっていることは知っていて、なんか抽象画を書く人って言うくらいのイメージがわたしにはあったのです。

そして友人にこんなことを言いました。

「リヒターってあれだよね。『エクス・マキナ』に出てくる。なんかぐちゃぐちゃした謎の絵を描く人。」


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「?」という顔をされましたが、きっと映画を知らなかっただけなのでしょう。まあ一応調べてみよう。

 


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これ、リヒターじゃない?

わたしがリヒターだと思っていたのはポロックでした。でも似すぎじゃないですかこれ?

渋谷で100人に聞いたらきっとほとんどの人はおんなじ人が書いたって思いますよ。

 

(リヒター・ポロッククイズとかやってみたい・・・)

 

とまあそんな勘違いをしながら、とりあえず入場。


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(写真上げていいかよくわからないので、この動画載せときます。)

 

入ってみると、まずわけのわからない抽象画がわたしを迎えてくれます。

 

「周りの人たちはむつかしい顔をしてみているけれど、何人がポロックと見分けることができるんだろう?」なんてこと思いながら進んでいくと、あの有名な『8枚のガラス』が・・・

 

正直なことを言うとわたしはここで笑ってしまいます。

わけわからんすぎる!!

他にも鏡だとか、ガラスだとかいろいろ壁にかかっているけど、意味不明すぎる!!

最高に楽しい!!!


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わたしはこういう意味不明空間大好きなんです。意味が不明というか、ほんとにあるのかもよくわからない。それをみんな意味ありげに見つめてるなんて最高の状況じゃないですか?

 

とまああまりの重厚な内容にめまいがしそうなほどの衝撃を受けた後、肖像画のところを見てみます。

 


意味不明という感想から、すこしとっかかりが見えてきた気がします。

なるほど、写真のぼかしを絵画に取り入れるのか。

「写真」というのはリヒターを見るうえで結構重要かもしれないということにここで気が付きました。

 

続いてカラーチャート。

 


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デカイ。

絵の具の見本帖から着想を得たらしい。だんだんのりがわかってきたぞ。

リヒターって絵画というよりも、空間の人なのかもしれない。だから近くでじっと見るよりも、空間そのものの雰囲気を感じなくては。

 

そして次に見たのがきっと今回の主役。

『ビルケナウ』

あのアウシュビッツをテーマにした作品で、黒く陰鬱な雰囲気が空間に立ち込めている。

作品の成立としては、アウシュビッツで隠し撮りされた写真の上から、絵の具を塗ったものらしい。

素直に感動する。

 

これはすごい。

 

難しい理論でいろいろとまくし立てようと思えばできる。

ベンヤミンだとかの写真論でも掲げて、この作品の持つアウラについて論じるのもたしかに面白そうではあるけれど、とりあえずは印象を語りたい。

 

(『複製技術時代の芸術作品』『写真小史』は読んでみよう。これに載ってる。メディア論としてしっかりした吟味したいのなら、『ドイツ悲劇の根源』だとか『言語一般および人間の言語について』とかも読もう。)

 

アウシュビッツの写真から溢れ出る黒い絵の具。エモーショナルと言うよりも、無に近づく印象であって、人間がモノとして精神を失っていくということを感じ取ることができる。

3枚×2の黒い抽象画と垂直に、黒い鏡が設置されていて、コの字になったこの空間に、どす黒い閉塞感が演出されている。

 

この『ビルケナウ』は一見の価値ありです。これだけのためにも行ってみてください。


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(展示の仕方全然違う・・・おそらく配置にもいろいろ意味があるのでしょう。)

 

それから『ストリップ』という横長の作品。


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デジタルプリントらしいです。

目がちかちかしますね。結構大きいので見応えがあります。

 

「オイル・オン・フォト」

写真の上に絵の具を塗っている。

絵画と写真の融合ということなのかな?

大量生産できる写真に絵の具を塗ることで一回性を演出しているのか。

それとも写真のもつ客観性に自らの精神を融合させているのか。

 

なんにせよどういう風に作成したのか気になりました。


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そして最後に出迎えてくれたドローイング。

 

結構最近の作品とのことですが、これはほんとに意味が分かりませんでした。

わたしには寝落ちする瞬間に書かれたノートとの違いがわかりません。きっとなにか理論があるのでしょうけど・・・

でもリヒターってもう90歳なのにいまだに活動し続けているのすごいですね。作風も常に変わり続けていますし。

こういうところからも彼が偉大な芸術家だということは確かに感じることができます。

 

 

ということでゲルハルト・リヒター展でした。

 

ちなみにチケットで常設展も見られたので、そっちも見ました。

 

日本の西洋画についてはあんま知らないのですが、高村光太郎の作品やクレーが見られたので満足です。

クレーはほんとに好きだな

 

久しぶりの美術館超楽しかった!

 

機会があれば他の企画展も見に行こうかな。

ということでまたお会いしましょう!


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それでは~

 

『賛否両論『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』の問題 個人的には楽しめたけど・・・』

 

ジュラシックワールド 新たなる支配者』。英題だとdominion。

ジュラシックパーク』シリーズの最新作で一応完結編ということになっているみたいです。

 

 

ちょっと前に公開されていて割と賛否両論だった本作。

 

レビューサイトの感想を見ていると結構厳しい意見もちらほら散見されます

 

とはいえ人のレビューを全くあてにしない私は、とりあえず見てみようということで、一ヶ月遅れくらいで劇場へ。

 

結論。

おもったよりおもしろい。

 

 

確かに初代『ジュラシックパーク』には敵わないけれど、シリーズ中でも特別ひどい出来だとは思いませんでした。

登場人物の頭の悪さは流石に『ロストワールド』には勝てません。

 

 

良いところをまず挙げるなら、単純に恐竜の登場する映像がなかなか見ごたえがあるということですね。

中盤の盛り上がりどころであるラプトルとカーチェイスするシーンとか、終盤の恐竜バトルは臨場感があって見入ってしまいました。

シリーズ恒例の車の影に隠れて、鼻先を突きつけられるシーンも緊張感がありましたし、新しく登場したテリジノサウルスだとか、ギガノトサウルスだとかのデザインも洗練されていて、かっこいい。

(テリジノサウルスってあんな襲ったりするような恐竜だったのでしょうか?)


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また恐竜の可愛さもシリーズの、特にワールドからの見どころの一つでしょう。特にラプトルのブルーの子供は可愛い。

また構成に関して、『パーク』時代の登場人物が今回の作品には登場して、『ワールド』の登場人物とは別軸で話が進んでいくのですが、この二つの軸をうまく合流させたのも無理がなく、そんなに悪くなかったんじゃないかなと思います。


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でここからはおそらく賛否両論であろうゾーン。

軽めのところから行くと、恐竜の行動が不自然なんじゃないかなってところ。

これは『ワールド』になってからの問題点と言えばそうなのですが、恐竜が人間じみてるというか、脚本に動かされている感がつよい。

例えば『ワールド』一作目のラストシーン。合成恐竜であるインドミナスレックスと最後戦うのはわかるんですけど、ティラノサウルスとラプトルが協力して戦うってのはいかにも漫画じみていて不自然に感じられます。

そうした恐竜の人間じみた描き方は今作でも健在というか、むしろエスカレートしていて、群れで行動する種類でもない恐竜が協力プレイをかましたりします。そこらへんはもっとリアリティを重視して欲しかったですね。


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そして最も問題なのは主役恐竜の不在というもの。

本作は人間の思惑が交差して物語が展開していくので、恐竜の舞台装置感がかなりつよいんですよ。

ネタバレ抜きで大筋を説明すると、世界で起こっている環境異変にはあるバイオ企業の陰謀が関わっていて、それを阻止するために『パーク』『ワールド』の登場人物が世界各地を奔走するというのが本作の内容。別に恐竜登場しなくても成り立つ筋なんです。

今までのシリーズでは、基本的には主役恐竜がいました。

一作目ではラプトル、二作目ではティラノサウルス夫妻、三作目ではスピノサウルス、『ワールド』一作目ではインドミナスレックスと言ったように。

基本は島の中で話は展開されて、恐竜対登場人物という対立構造になっていて、主役恐竜との決着が主題となっていました。

そのため分かりやすく恐竜が活躍しますし、オチもすっきりしたものになっていたのです。


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しかし『ワールド』二作目くらいから、島の話から、陰謀の話が主題になっていくんですよね。そうするとラストシーンで一応主役恐竜の座であるインドラプトルとの決着がついてもなんだかすっきりしない。

人によってはそれを投げっぱなしだとか、無責任な作品だという印象を受けるのでしょう。これは本作も同じでした。

 

ではどうして『ジュラシックシリーズ』は風呂敷を広げ、島から恐竜を持ち出して世界中にばらまいたのでしょうか。

もちろん島の中で話を展開するのには限度があるし、単純にスケールの大きなお話を作りたかったという事情もあるでしょう。ただもう少し制作スタッフたちに寄り添ってみるならば、復活させた恐竜を世界に持ち出した意味というものが一応見えてきます。

 

 

『ジュラシックシリーズ』において恐竜たちは、インドミナスレックスのような恐竜だけでなく、人工的に作り出されたものです。もちろん基本はオリジナルのDNAを用いているのですが、繋ぎとして様々な動物の遺伝子を混ぜこんでいることが劇中でも明かされています。

それは恐竜を復活させるということに対してのSF的な説明というだけでなく、現実にある人類の問題とオーバーラップしているのです。

もともと『ジュラシックパーク』という作品はクローン技術など生物学の発展に伴う倫理の問題について警鐘を鳴らす作品でもありました。

そのため基本的に研究所は実験対象を制御できず、本作も含め通算6回目の大失敗を犯すわけですが、本作では生物学の問題を超え、人類とエコシステムの関係という大きな問題を取り扱おうとしています。

これが厄介というか、面倒くさい問題で、人類を自然の中でどのような立ち位置で解釈するかというところが難しいのです。

 

簡単なのは人類を自然に対立する存在として描くことです。そうすれば、人類に自然は制御できないというオチにするだとかできますし、プロメテウスの火のように人類の手に余る自然科学は身を滅ぼすという警句にしても納得感がありますよね。

しかし本作はそのような凡庸なオチにはしなかったわけです。そしてそれは人類もまたエコシステムの内にあり、科学技術にしても自然の内にあるという思想から成り立っているのでしょう。もちろんこれは好き勝手気ままに技術を発展させて、汚水を垂れ流してもいいというわけではなくて、人類はすでに生態系に大きな影響をもたらし過ぎていて、人間が突然自然に無関心になったとしてもバランスが崩れてしまう、だからこそ自然と人類という対立をやめて技術をエコシステムに取り込んでいこうということなのです。

『ワールド』2作目のラストは世界に人工的に作られた恐竜が放たれましたが、それは人類が人工物によってエコシステムを書き換えてしまったことを暗示しているのです。そして本作では一応のところ技術をどのように用いるべきなのかということが示されているのですが、そのやり方はプロメテウス神話的技術観を持っている人には欺瞞という風に思われるでしょうし、技術と自然どっちつかずの結論に不完全燃焼感を感じる人も多いのでしょう。

 

 

このなんだかもやっとすっきりしない感というのは、近年の米国映画に顕著な特徴と言えるかもしれません。

やはり善悪二元論的に白黒つける映画が大衆にとってはすっきりと面白いものなのでしょうが、なかなか昨今の状況的に作るのは難しいです。

私は個人的には本作を楽しめたのですが、恐竜を見てすっきりとしたいという層には不評なのではないでしょうか。

映画業界において、リアリティのある恐竜を描写できるコンテンツは『ジュラシックシリーズ』しかありません。

個人的には『ジュラシックシリーズ』が続くならば、扱いきれないテーマに取り組むのはやめて、考古学的な、もしくは生物学的なテーマを扱って、中生代のロマンを掻き立てるような作品にしてほしいと思いました。

 

 

カイセツ三ヶ月目! 三月坊主にはならなかったよ。9月の方針について

(みなさまごきげんよう

松尾芭蕉が「あかあかと/日はつれなくも/秋の風」と詠むように、日はじりじりと照り付けてながらも、暑さの中にたしかに涼しい秋の気配を感じるようになってきております。

近年は残暑が長く続いて、秋を感じる前にはもうすぐ冬に衣替えといったあわただしさでありましたので、久方ぶりに秋を感じることは心躍るようなことなのでしょうけれど、夏の終わりを感じるということはなんとも切なく、はかなげな気持ちを起こさせるものですね。

・・・・・・

 

要約すると「最近なんか寒くね?」ということです。はい。

 

ということで8がちゅももうおわっちゃうので、月のまとめを始めちゃいましょう。

 

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教養シリーズ()、西洋編!!!の2編ですね。

タイトルは・・・まあ・・はい。

なんというか、自身のアイデンティティについて、特性について考えていたんです。

わたしとはだれかというのは、デルフォイの神殿にも「汝自身を知れ」と彫ってあったといいますし、人にとって重要なテーマなのです。

断じて中二病じゃないのです・・・わたしの持病でした。

それはともかく、わたしの特性ってスノッブって言葉が一番合っていると思ったのです。

他にもサブカルだとか、オタクだとか、文化人だとか近いものはあるのかもですけど、やっぱなんか違うなと。

これからわたしの特性はスノッブです。そういえばZ世代ってのも同じく特性ですね。

 

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なんだかなつかしい記憶を引っ張りだしてきたなって記事。

と言っても何十年も前の話ではないのですけれど。

レンタルショップもインフルエンザもずいぶん遠い出来事のようですけれど、ほんの数年前なんですよね。『惑星ソラリス』ってどこのサブスクにもないから、レンタルショップはやっぱり必要不可欠。

というかサブスクって結局みない。ある程度の不便さって必要だと思います。すべてイージーモードじゃつまんないので。

といっても『デビルマン』がアニメ化してすぐネトフリ加入したので、わりと古参です。

 

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この時期になるとみんな同じようなことをいうので、こういうことを言う人がいてもいいかなと思って書きました。

きれいごとって大事だけど、無心できれいごとを言っても響かないんです。

開き直ってきれいごとを言うくらいなら、すこしは共鳴できます。

 

 

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教養シリーズ、日本編。 最近空前の日本ブームで、日本文学やらなんやらを読み漁ってます。

もともとはヨーロッパ文化が好きな人なんですけどね。

小学校のときから翻訳ばっかりよんでるひとでした。

でも今はもっぱら日本です。日本最高。I 💛 日本。

 

ちなみにアイヌ文化にもめっちゃはまってるので、ゴールデンカムイは読んでみたい。

 

この文様がたまらんのです。

江戸時代くらいまで、和人はアイヌと交易して着物などを貿易してたとかなんとか。

 

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まだ途中の記事。これから『マブラブ』と『最果てのイマ』を分析しよう・・・と思ってる。

この記事群はここだけで完成するわけじゃなくて、その他にも押井守だとか、庵野秀明だとかにも触れた記事を出して、それらをまとめて一つのシリーズにしようかなと構想しております。風呂敷広げすぎなのできっとしばらくかかるでしょう。来年の3月までにはなんとか終わらせたい・・・

 

 

 

 

というわけで8月でした。

・・・・

「なんか記事少なくね」って思った方。わたしもそうおもいました。

もう言い訳はしません。

さぼりです。ただのさぼりです。

でも三ヶ月続いただけいい方ですよ。ブログ開設する前に調べた情報によると、三ヶ月は続けろって口をそろえて書いてありましたもん。

つまり三ヶ月続けたわたしはもう一段上にいるわけです。

ユーチューバー目指したさる友人は、三日坊主にならない方法って動画を三本目に上げて以来音沙汰なしですもん。

・・・・・・・

下を見てもしかたないですね。まあこれからこんな速度でゆるくいこうかなとおもいます。

週一以上ではなんか上げようかなということです。九月はどんな記事を上げようかな。八月はハイカルチャーに寄り過ぎたので、ポップに行こうとおもいます。

ここで言ったことを実行することもあまりないですが。

ということでまた来月お会いしましょう。

 

 

チャオ、チャオ、チャオチャオ、チャオチャオチャオ!!!!!!

『文化のルーツとしての美少女ゲームと「開き直り」『ランスシリーズ』の分析(1)』

 

ヴィジュアルノベル、美少女ゲーム

簡単に言えばエロゲーの話をしたい。

エロゲーと聞くと多くのひとは戸惑い、そしてアダルトビデオや成年向きコミックのゲームバージョンだと思うことだろう。

もちろんその指摘は完全には間違ってはいないし、いわゆるポルノと呼ばれて社会的に蔑まれてしまっているジャンルに収まる作品も数多く存在する。

 

(私はポルノというジャンルを下らないものだとは思っていません。むしろポルノにはポルノにしかできない表現があり、価値のあるものだと思っています。しかし性欲というものはしばしば反社会的なものであり、暴力そのものでもあるため、公共の場で表立ってポルノを掲げようとは思いません。)

 

しかしエロゲーすべてがくだらないポルノであるなんていう指摘は大きく間違っている。

そしてエロゲーというジャンルから生まれた文化は、古き日のピンク映画など比較にならないほど大きく普及し、現代の日本文化の大きなルーツとなっているのだ。

 

 

(ピンク映画に例える人がいるが、客観的に見ても出身者の人数、経済規模、影響どれをとっても比較にならないほどエロゲーほうが大きい。ただ、エロゲー出身者は日本のオタク文化に集中しているので、文化の広さや普遍性ではピンク映画に軍配が上がるかもしれない。)

滝田洋二郎監督のwikiを見てみよう)

 

いくつか例を挙げてみよう。

例えばメイド喫茶というもの。これは『piaキャロットにようこそ』というゲームのイベントがルーツだとされている。

 

(コンシューマー版)

またツンデレという一般的に普及している言葉も、『君が望む永遠』の大空寺あゆに対して使われた言葉が普及したものだ。

 

 

具体的な作品への影響も上げておく。

誰もが知っている京都アニメーションufotableなどのアニメーション制作会社だが、両者に共通するのはエロゲーのアニメ化によって人気を博したということだ。

 

(KanonのヒロインはNHK所ジョージと共演している。)

 

(最も稼ぐコンテンツの一つであるfateエロゲーだ)

 

そして2010年代で最も人気のあるアニメーションの一つである『魔法少女まどかマギカ』や『サイコパス』などの脚本家である虚淵玄はアダルトゲームブランドであるニトロプラス所属である。

ニトロプラスはその後『仮面ライダー』や『ゴジラ』などにも関わった。女性向けであれば『刀剣乱舞』などでヒットを飛ばし、アダルトゲームブランドとしての色は薄まったが、つい最近まで『凍京NECRO』の18禁ソシャゲーを配信していたれっきとしたアダルトゲームブランドである。

(ただニトロプラスはアダルトゲーム事業とニトロオリジンに移行している。)

 

(これ地味にコンシューマーでてないよね。村正ちゃんほんま好き)

また現状のトレンドに触れるなら、有名vtuberのデザインを担当している人はほとんどがエロゲー畑出身である。


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(ゲスイ動画だが、文化に対する気持ちが伝わってくる。)

 

オタク文化以外にも目を向けてみよう。

例えば直木賞作家である桜庭一樹は18禁作品にこそ関わっていないが、アダルトゲームの続編である『EVE The Lost One』のシナリオライターであり、数多くのノベライズも行っている。

 

(また彼女が出したライトノベルで『竹田君の恋人』というものがあり、成年漫画における「淫語」の発展に大きな影響を与えたみさくらなんこつとタッグを組んでいたりする。)

 

またエロゲー出身のイラストレーターはオタク文化を通り越して、児童文学の表紙を担当するものや、ノーベル文学賞作家のコミカライズを任されるような人物までいるのだ。

 

(LO作家でもある)

 

このように見ていくと好き嫌いに問わず日本文化を語る上でエロゲーから目をそらすことは不可能であることがわかるだろう。

 

とはいえオタク文化にあまり詳しくない人たちや、オタク文化に詳しくともエロゲーに明るくない人達にとって、独特に醸成されたエロゲー文化に足を踏み入れるのは非常にハードルが高い。

現在エロゲーは古いものであればダウンロードや中古で比較的に安く手に入るが、一作品が長く負担も大きい。

また歴史が長く情報も少ないためどの作品をやればいいのかを吟味したり、ネタバレ抜きでどのような作品でどのような意義があったのかということを知ったりすることが難しい。

 

というわけで、ここでは私がプレイしてきたエロゲーの中でも、最もよかった作品をいくつかネタバレ抜きで紹介しながら、エロゲーの楽しみ方を考えてみよう。

 

  • ランスシリーズ

ハードルの高いシリーズに見えるだろう。

恐らくエロゲーの中で最も長いシリーズであり、エロでないゲームというくくりであっても、これほど同一の主人公を据えて長く続いたものはあまりないだろう。

シリーズの作品数は13だが、大筋は1~10までであり、2つはリメイク作品、一つは分岐したスピンオフ作品である。


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(少々ネタバレになるが、雰囲気や流れはこれでつかめるはずだ。)

 

本来なら発表順にプレイしていくのがいいのだろうが、最初の作品は古くきっと挫折する。

私がオススメするやり方としてはランスⅥの公式サイトにあるダイジェスト版をプレイしてから、3→4と進んでいくやり方だ。

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4までは無料でプレイできるので、金銭的なハードルも低いというメリットもあるが、『鬼畜王ランス』というランスシリーズの世界観を知る上で最も重要なスピンオフに自然に至ることができるのもこのルートをおすすめする理由だ。

もちろん最初から『鬼畜王』からプレイするのもありだし、リメイク版の01からプレイしてもいい。

ランスシリーズは一度区切りがついているので、『RANCEⅥ』からプレイするというのもありだ。

人によっては7番目である『戦国ランス』から勧める人もいるが、戦国ものやシミュレーションゲームが好きなのであればそれもあり。

ようするに途中からでも楽しめるようになっているから、なんとなくプレイしてみるみたいな気持ちでやってみよう。

 

 

 

 

魅力

ランスシリーズの魅力は様々である。

まず1つ目として挙げられるのはエロゲー30年の歴史を体験できるということだ。

システムやグラフィックの変化に驚き、キャラクターの描かれ方などをみていくとその時代のトレンドを読み解くことができる。

 

 

2つ目に挙げられるのは世界観設定やシナリオ構成がたくみなことである。

ランスシリーズは一作目が探偵ものだったり、二作目、四作目は『インディ・ジョーンズ』のような探索ものだったりするが、大筋は様々な国の思惑が錯綜する戦記ものである。

戦記物としても征服を描いた『鬼畜王ランス』や『戦国ランス』、他国の陰謀による事変を描いた3作目、革命を描いた6作目、9作目など様々なテーマを取り扱っていて、それぞれのクオリティも高い。

伏線回収やワクワクさせる熱い展開などもこの作品にひきつけられるところである。

 

 

そして3つ目に上げられるのが正義や常識への批判精神である。

ランスシリーズのコンセプトはアンチRPGだ。RPGにおいて力を持った主人公は正義に従い、世のため人のために悪を討つというのがステレオタイプであるのだが、ランスは正義のためでなく自身の性欲のために力を使う。そこに正義などはなく、対して罪のなくとも気に食わない男を殺し、美しい女性を襲う。

ランスシリーズはプレイヤーが覆い隠している欲望をぶっちゃけた作品なのだ。

しかしランスシリーズが面白い点はただ本音を暴露したという点だけでなく、そうした率直な願望に対するカウンターを世界観に内包させたところだ。

そしてこれがランスシリーズが欲望をただ反映したポルノ作品ではなく、究極のエンターテイメントである所以なのだ。

ポルノというのは率直に欲望を掻き立てるものであり、そこに言い訳は存在しない。

つまりやりたいことがそのまま描写されているものがポルノであり、たとえ性的な欲望でなくてもポルノ的であることはできるわけである。

しかしそうした欲望をそのまま描写することは、「ご都合主義」であり陳腐なものとみなされエンターテイメント作品として成り立たない。

エンターテイメント作品とはポルノ的な精神を根源としているが、「ご都合主義」で陳腐なものにならないために、欲望を隠すためのたくさんの言い訳を内包している作品のことを指すのだ。

例えばそれは作品世界の構造がいかに緻密で作り込まれているかを示す「伏線」であったり、思い描くユートピアがいかに倫理的であるかを示す「正義」であったりする。

(そうした意味で社会派作品と呼ばれる作品は言い訳の多いポルノ作品であるということもできるだろう。)

 

言い訳が沢山あるとはいえ根源はポルノ的な欲望なのであり、エンターテイメント作品というものはそうした暴力的視点により必ず歪められている。

そしてランスシリーズという作品はそうしたエンターテイメント作品の暴力的構造をラジカルな視点で明らかにするのだ。

 

(ちょっとネタバレ。作品世界の根源に関わる記述あり。話の展開へのネタバレはなし。)

 

 

 

 

 

 

ランスシリーズの世界は神様たちが戯れに作ったものである。そしてその神様の中にもランクが存在し、世界を実際に作る神(これは原画神やシナリオ神などと設定されている。ゲームを作成したスタッフたちである。つまりランスはメタフィクションでもある。)が存在している。

そして一番偉い神様であるルドラサウムがそうした神様、つまりクリエイターに世界を作らせたわけであるのだが、彼が世界を作った動機は世界を外から苦しんでいるキャラクターたちを眺めたいというものなのである。

そしてこの傲慢な神様はもちろんプレイヤーの似姿なのであろう。

 

 

ランスシリーズはポルノ的な欲望と暴力性をぶっちゃけている作品の特質上、この作品がポルノでなくエンターテイメント作品として評価されるには、かなり説得力のある言い訳が必要であった。

そしてこの傲慢な神様は、エンターテイメント作品の根源的な構造を暴露し、反エンターテイメント的構造を取ることで究極の言い訳になる。そして逆説的にランスシリーズのエンターテイメント性に説得力が産まれるのだ。

retropc.net

(90年代までに出たランスシリーズはただでできる。詳しくはこちらへ)

 

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エロゲー文化の最大の特徴である「開き直り」

物語の構造の暴露というのは、一般的には物語世界への同化を阻害するものである。歴史を振り返ってみると、『ドン・キホーテ』という最古の小説では騎士道物語という物語構造をパロディ化し、その時代錯誤さを暴露するというものになっている。

 

 

 

近現代に焦点を当ててみる。ベルトルト・ブレヒトの演劇理論では、感情移入を中断し、異化することにより物語構造を明らかにする。そしてそれは現実社会との相似関係を観客に思考させる叙事的演劇というものである。

 


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(メルカリのCMのBGMとしても使われている。あまり詳しくはないが、ジャズではポピュラーなテーマらしい。元ネタはブレヒトの『三文オペラ』でありこの楽し気な曲調に合わせて殺人鬼のグロテスクな行為が歌われる。このミスマッチが作品を異化し、構造を明らかにする。)

 

そしてその物語構造と相似関係というものはイデオロギーを失い日本で独自に発展してきた。例えばブレヒトに影響を受けた寺山修司は『田園に死す』において、自身が創作するものはすべて自身の体験によるものであるという「創作構造」を物語構造に持ち込んだ。

 

そしてそれを『惑星ソラリス』のような母胎的なユートピア思想に結び付けたのが押井守であり、『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』だ。

 

 

『うる星2』ではサザエさん方式で年を取らない世界をループ構造として表現し、さらにその皆が成長しない状態にとどまるのを、ヒロインラムちゃんの無意識の願望、つまり夢であると看破した。

そしてここで発見された作品の「ループ」と「誰かが想像したユートピア」という構造はこれ以降最も重要なオタク文化のキーワードになる。

そして『エヴァンゲリオン』において創作者と観客の境目があいまいになる。

エヴァ』は「創作論」としての構造を持っていたが、オタクと監督があまりに近かったために、オタクがアニメを鑑賞するという構造が、作品構造と相似関係になってしまったのだ。

エヴァンゲリオン』は一応のところ最終的には構造を暴露し作品破壊を行ったが、それは監督の意図とは逆に異化ではなく、同化の作用として働いてしまったのではないだろうか。

 

 

そしてオタク文化において、『エヴァ』とほぼ同時期に同化を目的とした作品構造の暴露が、つまり開き直りが行われていく。

そしてその代表的な作品が、今回紹介したランスなのである。

 

一応今回の捕捉として、最初期の開き直りの作品の例をいくつか挙げておこう。

 

この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』、『臭作』、『ever17』である。

 

(PC98版は恐ろしくやりにくいのでリメイク版のほうがいいかもしれない。平行世界をテーマにした作品で最も納得のいくラストをやってしまっている作品。間違いなく名作だ。)

臭作

臭作

  • エルフ
Amazon

(前半は普通の暴行ゲームだが、終盤に驚くべき事実が判明する。あの文芸部などにも影響を与えているのだろう。)

(ミステリーSF作品でメタフィクションとしても面白い。一つ言うならば、ドイツの日付ってアメリカとは違う順序で表すんだよね。アメリカの研究所設定だったら完璧だった。)

ここで上げた作品の共通点はループ構造や平行世界という概念を作中世界に持ち込み、物語構造と相似関係を作った上で開き直る点である。

 

 

(まあ一応これを挙げておく。YUNOの分析は『ポストモダン』のほうに、ループ構造の分析は『ゲーム的リアリズム』のほうにのっている。名著だとは思うけど、ループ構造の分析については批判すべき点も多い。それについては次回の『最果てのイマのほうで。)

 

その他にも元長柾木による『未来にキスを』、『フロレアール 好き好き大好き』などは認識論的なテーマから、エロゲーをプレイするということの構造を暴露する。

(皮肉と捉えることもできる。)

 

エロゲーライターからメフィスト系の作家までごった煮にした謎雑誌。西尾維新舞城王太郎、佐藤友也なども参加。)

 

これらの作品に共通するのは物語世界の肯定であり、物語世界に埋没することへの開き直りだ。そしてこの物語世界への埋没というテーマはその後のエロゲーオタク文化に引き継がれるテーマになっていくのである。

というわけで次回はこうした開き直りの前提を踏まえた上で、その物語世界に埋没することに意味を持たせた作品である『マブラブ』シリーズや、開き直りを究極まで突き詰め、前述のループ構造の欠陥を暴露した『最果てのイマ』などを紹介したいと思う。

 

(みんなロミオだとコレ上げるけど、私は完全に『イマ』派。)

 

(『進撃の巨人』の作者がファンを公言している。次回は『進撃の巨人』も少し絡めた議論をするかもしれない。)

 

 

(「開き直り」というテーマにおいて例外を挙げるとするなら、『さよならを教えて』である。この作品は徹底的にエロゲープレイヤーの暴力性を否定する。女の子に不幸にして感動するいわゆる泣きゲーと呼ばれるジャンルがあるが、『さよならを教えて』においてはその構造が自作自演であると暴露する。これは泣きゲーに関わらず、感動やカタルシス効果を狙った作品すべてに対して有効な批判精神であり、『さよならを教えて』の批評性はエロゲーの枠を超えている。しかしそんな物語世界の不幸が人工的であるということすらも開き直るのがランスシリーズであり、その開き直り力の高さ故にわたしは究極のエンターテイメントであると考えている。)

 

 

 

(『さよならを教えて』のもつ批判性は純愛物と称して悲劇をエンターテイメント化する暴力性に向いているのだ。そしてそれは泣きゲーだけには収まらない。)

 

(これは参考になる資料である。前半部分はこれを参照した。)