Z世代の代表 作品紹介

一号とRYANAがZ世代ならではの視点でさまざまな作品を紹介します。

『令和最新アニメ『うたわれるもの』シリーズのススメ。なろうの原点?』

2022年7月から放送中のTVアニメ『うたわれるもの 二人の白皇』

 

私は毎週楽しみに見ているのだが、『うたわれ』3部作の最終章であるし、なんと28話も放送されるとのことで、いままで『うたわれ』に触れてこなかった人にとってはハードルが高いようにも感じる。

 

 

FGOでもへプバンでもなく、ロスフラを遊んでいる葉っぱ信者のZ世代の代表RYANAとしては、『うたわれるもの』の世界に触れてくれる人が少しでも増えて欲しいと願うばかりである。

 

と言うことで『うたわれるもの』シリーズがどのような物語なのか、魅力はどのようなところにあるのかを解説していこうと思う。

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(とはいえ公式で分かりやすくまとめられているので、ちょっと違ったアプローチで解説する。)

 

シリーズ第一作目 

うたわれるもの』 移植版『うたわれるもの 散りゆくものへの子守唄』 

 

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(ストーリーだけは無料で読めてしまう。)

 

シリーズの原典である『うたわれるもの』は2002年、Leafよりアダルトゲームとして発売された。

内容は皆さんがアダルトゲームときいて想像するような選択肢からヒロインを攻略して物語が分岐していくというノベルゲームのスタイルではなく、ADV+SRPGといったもの。

簡単に言うと読み進めるパートを進めていくと、シミュレーションパートが開始され、そこで勝利するとまた読み進めるパートに移るというものだ。

ゲームパートはあまり育成する必要もなく、難易度も低め。かといって退屈というわけでもないので、ストレスなしに進めることができる。

 

 

とまあゲームの説明はこんなところでストーリーについて。

主人公ハクオロは森で倒れているところを辺境の集落に住むエルルゥ(獣耳と尻尾。この世界の住人は主人公以外全員けもの属性である。)という女の子に拾われるのだが、なんと記憶を失っている。行く当てもないので彼女の家で看病を受けながら住み着き、信頼を得ていく。そしてある時王宮のほうから税の取り立てがやってくる。

集落の人々は不当な取り立てに不満を抱いていたが、ある我慢ならない出来事によって不満が爆発。

ハクオロを中心とした下剋上がここから始まっていくのである。

 

(この娘がエルルゥ)

 

とまあ大きな筋としては下剋上を発端とした戦記物なのだが、『うたわれるもの』シリーズの魅力はそこだけではない。

特筆すべきなのは世界観の作り込みである。

キャラクターは古代のアイヌのような装束をまとっているが、その他にもアイヌ文化から引用された独特の文化が世界観を形作る。

そしてそれはキャラクターの会話の中に数多く散りばめられていて、彼女たちが素朴に信じているだろう神話や言い伝えが日常会話にも数多く登場する。

(自然に織り込まれていて、説明されることがあまりない時もあるため、最初は分かりづらいかもしれません。)

作中に登場する神話の例

「大いなる父(オンヴィタイカヤン)」作中で信仰されている始祖神である。

「森の母」(ヤーナマウナ)慣用的には動物によくなつかれる人を意味するが、本来の意味は動物と会話することができる伝説上の存在。

 

アルルゥかわいい。和風というには変わった衣装。)

 

そしてその神話が物語のクライマックスに深く関わってくる。

ジャンルをあえて言うなら和風ファンタジー戦記SF。様々な要素が絡みあいながらも、すべての要素を完全に収束させ、クライマックスに至る構成は見事である。

ネタバレになるのであまり詳しくは言えないが、『風の谷のナウシカ』や『火の鳥』のような世界観が好きならばきっと楽しめるはずだ。

 

 

そしてそうした世界観、構成の見事さだけでなく、ちゃんと消費者のニーズに答えた楽しい要素もきちんとあるのが『うたわれるもの』シリーズが長寿コンテンツになった秘訣だ。

主人公は記憶を失っているが、頭は非常に冴えるし知識は豊富。最初期では集落の問題をなろう小説のように解決したりする。

キャラクターたちも魅力的でヒロインは年齢も性格もそれぞれバラバラなのできっとお気に入りの娘が見つかるはずである。

 

 

また男性キャラクターもそれぞれ個性が強く、かっこよくも時にユーモラスな一面に惚れることができるだろう。

 

(アニメ版の出来もいい。カットされたところも多いが、動きや声が付くことによってキャラクターがさらに魅力的になっている。特にアルルゥはかわいい。)

 

シリーズ第二、三作目

『偽りの仮面』『二人の白皇』

 

 

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(こちらも無料でストーリーは読める。正直申し訳なくなるレベルのクオリティとクオンティティ。)

 

本作は2015年から2016年にかけて発売されたTVゲームである。

二作目三作目と言っているが、この二つは明確に続きものだ。

ちなみに一作目をやる必要があるかということだが、正直どっちでもいいとは思う。

もちろん一作目を知っていたほうが楽しめる要素も多いし、やっていなければわからない点もなくはないのだが、キャラクターも一新されているし、筋は追えるので『偽りの仮面』から触れて、現在やっている『二人の白皇』を見てもいいだろう。

 

 

『偽りの仮面』『二人の白皇』のストーリー

記憶喪失の男がヒロインに拾われるという要素は前作と同じであるが、舞台が異なる。

前作では島国の中で話が展開していたが、今回は大陸の巨大連邦国家ヤマトを中心に物語が紡がれるのだ。

基本的には二部構成で、一部の『偽りの仮面』』が日常編、二部『二人の白皇』が内戦編という風に考えでもいいかもしれない。

本作の魅力は前作同様、作り込まれた世界観や魅力的なキャラクターという点をそのまま引き継ぎながら、キャラクターやこの世界の国やヒトたちがいかに成長していくかというところを描き切った点にある。

(メインヒロイン)

 

(その名の通り天子である。)

 

『偽り仮面』では茶番とも言えるような、コメディチックなシチュエーションが数多く繰り返されるが、終盤や『二人の白皇』になり戦争が始まると、徐々にシリアスな展開になっていく。

自分の立場や責任をほったらかして遊び惚けるところが『偽りの仮面』ではコメディとして描かれていたのにも関わらず、『二人の白皇』ではそういうわけにもいかなくなる。

そしてそうした成長というテーマはヤマトという国全体のテーマであるということが、終盤明らかになる。

本作もかなり大がかりな仕掛けになっていて、クライマックスまで衝撃の連続だった。

こちらは『風の谷のナウシカ』や『火の鳥』のテーマは受け継ぎつつ、『進撃の巨人』のような要素も含んでいるように思える。

 

 

(『偽りの仮面』のアニメ版は原作ゲームと異なる点が数多くある。プロットはほとんど同じだが、中身はほとんど別物。わたしはアニメから入ったのでアニメも好き。アニメ版『二人の白皇』を見るなら、アニメ版だけでも十分なはずだ。)

 

 

うたわれるもの ロストフラグ』

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ソシャゲで、2019年くらいから配信されている。

最近はあまりソシャゲをやらないので、ソシャゲの勝手はあまりわからないのだが、このゲームは少し変わっているように思える。

まず、ストーリーモードが物語を読むパートとバトルをするパートが完全に分かれている。

私が今まで知っていたソシャゲは、スタミナを消費してストーリーモードをプレイすると、物語が始まって、バトル展開になり、バトルが終わるとまた物語を読むというデザインだった。

しかしロスフラはバトルが物語を解除するためだけにあり、ストーリーから完全に独立している。

こういうデザインが案外普通のものであるかどうかは私にはわからないけれど、確かにバトルとストーリーが渾然一体になったスタイルでは不自然な展開になりがちであるので、いいデザインだと私は思った。

(このようなデザインがもし普通なら、ソシャゲのストーリーでも凝った物がありそう。)

また花札が付いているのは私にとっては高評価だ。

 

 

ストーリーはいつものように記憶喪失の男がヒロインに拾われるというもの。

三部作とはまた違った世界で物語は始まり、遺跡を調べながら自身は何者か、この世界はどのようなものなのかというものを探っていく。

完全新作なので本筋は、他の『うたわれ』シリーズをやっていなくても理解できるはずだ。

ソシャゲのほうが入口として入りやすいという人はここから始めるのもいいのかもしれない。

 

 

(『うたわれるもの』シリーズは声優が豪華。ラジオはそのハチャメチャさから人気だったらしい。)

 

こんな感じでいかがだろか。

『うたわれ』シリーズはゲーム三本+ソシャゲですべてやると200時間近くかかる。

アニメも26話+3話+25話+28話なので合計82話になる。

十二国記』の倍近く、『銀河英雄伝説』よりは短いといったところだが、やはりこうした巨大なコンテンツにしかない世界観の奥深さやキャラクターへの愛着のようなものがある。

 

最近よく言われるファスト娯楽というものを無駄だとは思わないが、たまにはこうした巨大なサーガに触れて、物語世界の広さに身を浸す機会があってもいいだろう。

 

 

一人でも『うたわれ』に触れる人が増えることをねがって。

それでは。