数年前の話。
珍しくツタヤでDVDを借りた。大学から帰って来たのでテレビで見ることにする。
借りたタイトルはコレ。
『惑星ソラリス』
1970年代のソ連映画で、あのアンドレイ・タルコフスキー。
2部構成の映画で3時間近くある映画。
名作とはいうけれど、結構見るのに覚悟がいる。だけど返却期日もある。早く見なきゃならないし、今日見ようということで見始めた。
うわさ通りのつわもの映画。
スローテンポな音楽と長いカット。意味がつかめない水の映像。
そして極めつけは首都高を延々と走り続けるシーンだ。タルコフスキーは未来感を演出したかったのかもしれないけれど、わたしのような東京人にとってはいつもの光景でしかない。あんまりに冗長なので頭がクラクラしてくる。つらいので主人公が宇宙に飛び立つ前に映画を止めわたしは眠りについた。
(公式だけど、日本語字幕はない)
次の日朝目覚めると頭がまだクラクラする。だけど今日は大学4限だけ。そしたら午前中に後半を見てしまおう。
結論から言うと後半は結構面白い。
ソラリスという惑星の観測衛星に到着した主人公は、前任の調査隊に声をかけようとするのだけど、みんな部屋にこもりきっている。
そしてある学者の部屋には、こんなところにいないはずの子供の影が見えたりして謎が深まっていく。
そしてなんと主人公の死んだはずの妻が出現するのだ。
よく比較される『2001』年と比べると画面的にはチープなのかもしれない。だけどこの映画のもつ幻想的な雰囲気は唯一無二。
そしてあのとき、わたしはその幻想的な雰囲気にどんどん飲み込まれていく気がしたのだ。
ずっと何か違和感がある。頭の痛みがズンズンと増してくる。足だとか背中だとかやけに火照っている。
そして宇宙船が無重力になるシーン。バッハの音楽が流れながら主人公と妻が浮遊するのだが、そのころにはわたしは自分の身体がどこにあるのかも忘れ、ソラリスの宇宙に投げ出されていたような気がする。
というのもその後のシナリオの筋道は明確に思い出せないけれど、神秘体験と言えるようなものに陥っていたからだ。
あの時のイメージは言葉にできない。
素晴らしい体験だったというわけではない。かといってつらい体験だったというわけでもない。
だけど、宇宙といってもいいし、イドといってもいいし、夢といってもいいけれど、そんな大きな流れの中にいるような感じ。
その日、大学に行ったわたしはあまりに頭痛がひどいので学内の診療所に行った。
もしかして微熱くらいはあるかなあと思ったからだ。
そしたらびっくり。
なんと39.4度もあったのだ。その数字をみたわたしは漫画のように、その場にへたり込んでしまったのを今でも覚えている。
その日はそのまま帰って、病院でインフルエンザの検査を受けたけど陰性。
そして次の日には熱はすっかり下がって、次の週には大学にもバイトにも行けるようになった。
それからしばらくたってから、もう一度『ソラリス』を見てみた。
だけれど、やっぱりあの時のような感覚を感じることができなかった。
でももう一度あの感覚を感じてみたいと思ったわたしは、「発熱文庫」というものを作ってみた。
学校では学級文庫というものがあったけれど、それは学校側の指定する読むべき本の集まり。
「発熱文庫」は熱が出たとき読むべき作品。
(ホラーって人気だよね。)
文庫と言っているけれど、本に限らず映画とかも入っている。
熱が出て最初にやるべきことは、病院にいくこと。最近なら然るべき場所に電話すること。
でももしあなたが健康で、どうしても眠れないということがあったら、熱が出たときように用意した「発熱文庫」をぜひ思い出してほしい。
「発熱文庫」一覧
(これもよくわからないよね)
(『惑星ソラリス』に似てる?)
(高校生の時に授業中、電子辞書でよんだ。変な歌が長すぎて大変だった。)
(酩酊状態だとなにを口走るのだろう。)
(原作『夢小説』もおすすめ)