Z世代の代表 作品紹介

一号とRYANAがZ世代ならではの視点でさまざまな作品を紹介します。

☆☆☆今年最も売れた映画(になる予定)『バービー』は大傑作でした☆☆☆

Hi Barbie!!

 

お久しぶり。一号です。

 

夏も終わりという今日この頃ですが、今年の夏の映画は大作ぞろいでしたね~

 

6月には『リトルマーメイド』、『インディ・ジョーンズ』『ミッションインポッシブル』から『マイ・エレメント』

 

そしてなんといっても大本命は

 

『バービー』

Barbie The Album

Barbie The Album

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全米どころか全世界でものすごい動員数です。

 

スーパーマリオ』のアニメ映画(「マリオの映画」とは魔界帝国を指すのです)の記録を軽々と抜き去って2023年公開の映画では全世界一番の大ヒット作品となるのはほぼ確定

 

米国では『オッペンハイマー』も含め多くの大作がひしめき合う中でも公開でしたが、そんな状況を吹き飛ばすメガトン級の大ヒットでした。

(プロモーションがやらかしたので日本ではいろいろ騒ぎになっていましたが……『オッペンハイマー』もはやく公開してください。)

 

そんなブロックバスター(イギリス軍が空爆に用いた爆弾。都市の一区画を吹き飛ばすほど強力な故にこんな名前に。転じて客を町から根こそぎ動員できるような大作映画を指す言葉になった。)を超えて・・・

たとえが思いつきませんが、とにかくものすごい大ブームになっているということ。

 

ja.wikipedia.org

そんな今年を代表する作品にも関わらず、日本ではなぜか爆死

本国の広報が不勉強だったのもありますが、そもそもバービー人形自体が日本ではそこまで人気ではないので致し方ないのかもしれません。

 

でもとっても面白い作品で老若男女だれもが楽しめる傑作なんです。

 

ということで、今更ながら見てきたので軽い感想を共有したいなと思います。

 

 

映画『バービー』は実存主義

(ネタバレ無し)


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「バービーランド」と現実世界のような「リアルワールド」で繰り広げられるコメディです。

バービーランドは何人かの「バービー」たちと複数の「ケン」たち、そしてケンの友人である「アラン」やその他マテル社(おもちゃ会社。バンダイみたいなもん。UNOの権利を持ってる)から発売されたバービーのキャラクターたちが暮らしている世界。ちなみに町中ピンクだらけの街です。

そしてそこは死も老いもない「完璧な世界」で複数のバービーたちが大統領になったり、医者になったり様々な仕事をして楽しく暮らしていました。(ちなみにバービーにもケンにも生殖器が付いていません。)

 


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しかしある時主人公であるバービー(いわゆる伝統的なバービー・マーゴット・ロビー)はある考えに取り憑かれます。

 

「死」について考えるようになったのです。

 

「死」について考えた次の日、バービーの完璧な身体にはセルライトが出来てしまい、いつも履いていたヒールも歩きにくいものになってしまいました。

そこでバービーランドのはずれにある事情通のバービーに話を聞きに行くと、「リアルワールド」のバービーの持ち主になにかがあったために、主人公は「死」を考えるバービーになったのだと言います。そして持主に会いに行くために主人公のバービーとケン(ライアン・ゴズリング)は「リアルワールド」に向かうことになるのです。

 

「死」について考え、「バービーランド」とは全く違う「リアルワールド」を体験して、バービー、そしてケンはどんな行動を起こすのか。

ハチャメチャエキサイティングだけど知的。

そんな映画です。

 

アイロニカルなで複雑な展開 『バービー』は何を表現したのか

(ネタバレあり)

 

『バービー』という映画、コメディ作品で、しかもおもちゃの映画化なので、それなりのものではあっても無難な出来なのではないかと考えるひともいると思います。

しかしそこはグレタ・ガーウィグ監督。

非常に込み入った物語をこの題材でやってのけてしまったのです。

そのため日本語圏においても感想はバラバラで、ひどいものだと真逆のことをそれぞれ主張していたりします。

そのため本ブログでもすべての人が納得できるような感想ではないとは思いますが、ちょっとした解釈をここに羅列していきたいと思います。

 

冒頭は『2001年宇宙の旅』のパロディ。その意味は?

 

初手で爆笑ポイントです。

「女の子向けの人形と言えば子育て人形しかなかったところにバービー人形が彗星のごとく現れた」という説明から始まるんですが、そこがパロディなんです。

『2001年』は神話的な映画で、モノリスという石?に触れたことで類人猿が道具と殺人を覚え人間に進化する。

そしてその人間が月にたどり着いた時にまたモノリスを発見し人類の次なる段階へと昇っていくという冗長で退屈な(でもかっこいい)映画。

そして冒頭に類人猿パートのパロディを持って来た『バービー』。

これは単純に良妻賢母的な旧時代の理想から、自分自身を着飾る自立した女性という理想へとこどもたちの憧れがシフトしていくことの象徴としてバービーがあったという表現なのでしょう。

つまりバービーとはフェミニズム的な観点においても当初は先進的なものであったともいえるのです。

現代の観点からすれば、コールガールのキャラクターをモデルにしたバービーにたいして先進的であると評する人はあまりいないでしょう。

しかしかつてボーボワールブリジット・バルドーを賞賛したように、バービーのような女性がそういった意味で賞賛された時代は確かにあったのです。

 

gzdaihyoryana.hatenablog.com

(一応過去記事を...ロリータとフランスリベラルの記事です)

 

しかし「リアルワールド」においてバービーは女の子にとって理想的な身体を押し付けるファシストであると糾弾されるシーンがあります。

時代の無常さともいえるこのシーンですが、描き方が非常に多層的で面白いところです。

バービーのように「スタイル抜群の白人」のおもちゃであそぶことによって理想が刷り込まれ、コンプレックスを抱えて苦しむ人が増える。またはその理想を掲げて「理想的でない」体型のひとに対して見下した視線を向けるようになるという意見に賛同する人は少なくはないでしょう。

しかしそういったWokeした人がバービーのような人に対してファシストという言葉を投げかけることは正しいことなのでしょうか。実際劇中でバービーはショックを受け、意気消沈してしまいます。

もともとがコメディタッチな作風なのでこのシーンは非常に心をえぐられるシーンです。

バービーの評価としてはこのような評価をする人はいるでしょう。このシーンをどのように捉えられるか、興味深い問題です。

そしてこのような両義的な課題は本作の軸と言ってもいいもので、作品の根幹そのものといってもいいでしょう。

 

バービーランドの選択

 

バービーランドと違い「リアルワールド」は家父長制・男社会です。バービーを製造するマテル社も「女の子はなんにでもなれる」としながら、男ばかりで経営陣が埋められています。

「バービーランド」はどうでしょう。「リアルワールド」の鏡映しとも呼べる「バービーランド」は大統領も医者も裁判官もみんなバービーです。ケンはというとバービーの付属品として扱われ、重要な役職に就くこともなく日々過ごしていたのです。

そして「リアルワールド」で男が活躍する世界を観てWokeしたケン(ライアン・ゴズリング)は帰郷した後、バービーを付属品てきなポジションへと逆転し、男性中心主義的な「ケンダム」に変えてしまいます。

そしてその後バービーたちは「リアルワールド」から訪れたグロリアとサーシャに啓蒙され、元の「バービーランド」に戻すべき反動的な革命がおこるわけですが、その方法はケンたちを仲間割れされることによって投票を妨害するというものでした。

そして体制がもとに戻った後、大統領も最高判事もすべてバービーが占めることになった「バービーランド」ですが、ケンはケンでありバービーはそれぞれがバービーであるということをそれぞれ尊重する価値観に目覚めます。

しかしケンの一人が裁判官になりたいと言ってもネガティブな返答であり、しばらくはバービーによる権力の独占は続くのでしょう。

 

 

 

このようにみていくと「リアルワールド」も「バービーランド」も社会構造としては酷似していて、かつ権力を転換させようと考えるひとたちも結局権力についてしまったら地位を手放すことはなく、家父長的な判断をしてしまうということが表現されていると言っていいでしょう。

マテル社の役員と「バービーランド」のバービーは鏡映しの存在です。口では理想を語る一方で実践することはすくないのです。

 

バービーが女性になること

 

そういった王政復古ともとれるような反動の後、バービーは自分自身について見つめ直し、人間になることを選択します。

彼女はバービーであり「バービーランド」でなら楽しく暮らせるはずです。老いることもなく、死ぬこともないバービーにとっては理想的な場所なはずです。

しかしそれでも彼女は「リアルワールド」で人間として生きることを選択したのです。

バービーのラストは婦人科に行くというものですが、生殖器のなかったバービーが女性器を得た、つまり女性の身体になったということを確かめに行ったのでしょうか。

なんにせよ老いていつかは死ぬ人間の、そして女性の身体を持って生きるということを美しきバービーが選ぶというラストは、女性の身体をもつ人にたいするポジティブなメッセージと捉えることができるでしょう。

バービーが選択したのは誰かのイデア(そしてイデアの論理でもなく)ではなくて生身の身体だったというのは非常に含蓄の富んだラストです。

 

 

PINK! 

 

『バービー』はおもちゃの映画化にもかかわらず、非常に込み入った皮肉が織り交ぜられ高度な作品。

しかしながら誰がみても楽しめる作品でもあります。

特にバービーランドのデザイン。

とにかくピンクピンクピンクと言った色彩ですが、ほどよくおもちゃ感がでているのにぜんぜん安っぽくないです。

とってもかわいいデザインで映像をみているだけで楽しい!

 


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そしてそのピンクという色について。

ピンクは皆さんもご存じの通り(日大の)女の子向けの色というイメージが根強い色です。

例えば歴代のプリキュアはほとんどがピンクが主人公だったりしますね。

 

 

しかしジェンダーステレオタイプを強化するということで、女児向け作品のピンクの使用の割合は近年意識的に避けられるようになってもいるのです。

例えばバービーのマテル社のライバル企業であるハズプロの看板商品、『マイリトルポニー』のロゴ。

 

 

このロゴはすべてMLPの第四世代のロゴ。第四世代が始まった2010からずっとピンクでしたが、2016年には紫に変更されています。

ちなみに現在続いている第五世代に関しても紫を基調としたものでピンクではありません。

 

gzdaihyoryana.hatenablog.com

(RYANAがなぜか『マイリトルポニー』について詳しい記事を上げている...)

 

そして日本でも今年のプリキュアは水色のキャラクターが主人公と設定されていて、今までピンクばかりだった主人公の系譜に終止符を打ちました。

 

(しかし売れると判断されるのでしっかりピンクはいる)

 

今回のバービーはそうしたピンク離れのなかでピンクを強く売り出した作品。

なぜピンクをあえてここまで押し出したのでしょう。

バービーがピンクを脱ぐ作品だからという解釈もできますし、逆にピンクの良さを再発見するための作品とも捉えることもできそうです。

こうした色に注目するだけでとってもたのしい作品で本当にいい作品です。

 

 

今年世界一売れた作品になるであろう『バービー』

たしかにラストは女性むけではありますが、ケンやアランなど男性に対してもフックになっている要素が沢山あって誰でも楽しめる作品に仕上がっています。

 

 

最後に

『バービー』に一番似ている映画は『ミッドサマー』⁉

 

それにしても感想の意見の割れ方がすごいです。

 

ミッドサマー(字幕版)

ミッドサマー(字幕版)

  • フローレンス・ピュー
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そういった意味で一番似ている映画は『ミッドサマー』なんじゃないかとわたしはおもってます。

『ミッドサマー』のラストをハッピーエンドとして取るかバッドエンドとして取るかみたいな価値観のズレを『バービー』でも感じることができるでしょう。

『ミッドサマー』が好きな人、『バービー』おすすめです。

だからわたしもどっちも大好きです。

ちなみにどっちもカップルで見るとわかれるそうです。

 

なのでカップルで見るならケンを演じたライアン・ゴズリングの『ブルー・バレンタイン』をお勧めします。

 

 

 

今回はこんな感じです。

 

また気が向いたら記事書きます。

 

それでは~♪

 

 

 

 

 

『世界中で大ブームを起こした萌えアニメ・『マイリトルポニー〜トモダチは魔法〜』は必見です』

どうもお久しぶりです。

 

ブログ一年目、Z世代の代表RYNAです。

 

ところでみなさん。萌えアニメは好きですか?

何と言っても現代社会。絆の弱まったゲゼルシャフトの中では精神がすり減るばかり、たまにはかわいいキャラクターでも眺めて癒されたいという人は数多くいることでしょう。

 

そうした需要の中で生まれたのが、萌えに特化した作品たち。

 

アニメなら『ご注文はうさぎですか?』だとか『ご注文はうさぎですか??』だとか『ご注文はうさぎですか? Dear my sister』だとか『ご注文はうさぎですか? BLOOM』だとかいろいろあるわけです。

 

 

そしてそんな萌えアニメですが、実は世界に目を向けると、日本国内では考えられないほどのブームを巻き起こした作品があるのをご存知でしょうか?

 

 

そしてその作品とは……

 

"MY LITTLE PONY FRIENDSHIP IS MAGIC"

 

神アニメです。萌えアニメです。

さあみましょう。


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☆☆☆

公式です 3期まで日本語で全話

Youtubeで見れます

☆☆☆

(4期は毎週一話ずつ更新中)

 

 

と言ってもいきなりこれを勧められてもなんだこれ?ってなりますよね。

海外の作品についてあんまり知らないひとにとってはハードルが高いかもしれないです。

ということで軽くどんな作品か説明していきましょう。

 

2010年代、全米で爆発的に大ヒット

 

そもそもこのアニメはなんなのか。

もともと『マイリトルポニー』と言うのはハズプロ(人生ゲームやモノポリー、ツイスター、トランスフォーマー等を販売しているおもちゃ会社。日本で言うとバンダイやタカラみたいなもん)のおもちゃ。1980年代から定番のおもちゃであり、アメリカでは女の子向けとして定番のおもちゃとして有名でした。

そして”MY LITTLE PONY FRIEND IS MAGIC”(以後FIM)はその4世代目のおもちゃの販促アニメとして2010年から2019年まで全222話+映画・スピンオフ等放送されたものです。言ってしまえばプリキュアとかジュエルペットとかミュークルドリーミーみたいなもんですね。

 

そして本作、ターゲットは10歳以下の女児とその保護者だったはずがなぜか成人男性に大受け。

 

あまりの反応のすごさに BBCやABCなど大手メディアが特集を組むなど大きな話題になりました。

 


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それはどのように受容されたのか。

日本で例えるなら『プリキュア』『ラブライブ』『ごちうさ』と『東方』を足したような(足しても足りないくらいの規模)感じです。

巨大なファンダムが出来上がり、彼らはブロニ―(Brother+ポニー、後にペガシスターという呼称も)と言われる集団を形成、英語圏インターネットカルチャーの中でも大きな位置を占めることになりました。

 


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例えばこの”Discord”という曲はマイリトルポニーの二次創作です。Spotifyでも2億回近く再生されており、King Gnuの「白日」よりも再生されています。

Youtubeを見れば確認できますが、このグループはマイリトルポニーの二次創作から出てきたユーロビートグループ。

日本で言えばIOSYSが一番近い存在ですね。ちなみにアニメ『日常』をテーマにした曲も発表しています。

 


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これはポニーが現実に存在するということを証明する二次創作。

 

このほかにも日本では考えられないレベルの二次創作がたくさんありますがあまりにも多いので割愛。昔のニコニコ動画の『東方』をはるかに超えるような数の二次創作がYoutubeに上がっています。

ちなみにここで載せたらBANされるような大人向けのコンテンツも無限にあります。(ちなみにアニメ抱き枕は英語でdakimakuraと呼ぶらしい)

このように大人も子供にも大人気だったFIMですが、本編はどのような内容だったのでしょうか。

 

世界観と主要キャラクター

 

 

世界観から

 

ポニーと言ってもただの馬たちではありません。

 

魔法がつかえるユニコーン

 

 

次に空を飛べて天候を操れるペガサス

 

 

そして農作業が得意なアースポニー

 

(ただの馬じゃんと思ったあなた。差別はいけませんよ)

 

この三種のポニーたちが仲良く?暮らす国、エクエストリアが物語の舞台です。

 

主要登場人物

 

トワイライト・スパークル

(真ん中紫)

本作の主人公。

とっても優秀なユニコーンですが本以外に友達がいません。

真面目な反面、融通が利かないところがありよくてんぱります。

司るのは魔法

日本語版のCVは沢城みゆき

 

フラッターシャイ

 

その名の通りシャイなペガサス

ウィスパーボイスがかわいい。美少女。

動物と話すことができます。

司るのは優しさ

 

レインボーダッシュ

 

すぐに調子に乗るお調子者のペガサス

なんかめちゃくちゃ飛ぶのが速いです。ワンダーボルト(ようは空軍パイロット)に憧れています。

ちなみにファンに変態が多い(偏見)

司るのは忠実

 

ラリティ

 

ファッション警察のユニコーン。よく暴走します。

化粧が濃いので泣くとと黒い涙を流します。

歌が格別にうまいです。

司るのは大らかさ(気前の良さ?)

 

アップルジャック

 

ポニービルの近郊にリンゴ大農場を営むアップル家の娘。アースポニー

訛りがひどいです。ちなみに幼少期から農作業をしていてしっかりもの。

そして嘘をつけないいい子です。でもまっすぐすぎてたまに面倒。

司るのは誠実

 

ピンキーパイ

 

物理法則を無視できるポニー。一応アースポニー

早口で言葉遊びを駆使したマシンガントークをするトリックスター。パーティ大好きな真のパリポ(パーティポニー)

基本的にギャグ枠なのに、シリアスだとホラーになる。

司るのは笑い。

 

キューティーマーククルセイダーズ

(小さい三匹)

こども枠

トラブルメイカー。

かわいい

 

 

キャラクターの雰囲気と世界観と設定は下に貼ってある『冬の総括』の歌パートをご覧になってみれば大体わかると思います。

エクエストリアでは寝ていては春は来ません。

なのでポニーたちが力を合わせて渡り鳥を誘導したり、雪雲を片付けたり、雪かきをしてやっと春が来るのです。

 


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具体的にどんなお話なの?

 

戦闘描写もありますが大きな事件は基本シーズン最初と最後の2話でそれぞれ解決し、シーズン最後の2話までは基本的に日常回が続くことになります。

(つまり26話中22話は日常回。これぞ萌えアニメ

 

そしてその他日常回もバトル回もバラエティー豊かで、かなり面白いです。

一応子供向けなので、教訓じみたものがあるのですが、まとめとして使っているだけなので説教くさくありません。

そしてシーズンを追うごとに教訓パートは減っていきエンタメ重視になっていきます。

 

 

どんなエピソードがあるのか。あんまりにも多種多様なシナリオがあるのですが。

 

センスの欠片もないクライアント様の無茶な要望に振り回される話だとか

 

ちょっとした誤解で友達に嫌われたと思い込んで、精神的に病んで石に話しかける話だとか

 

手造りのサイダーを売っているところに機械でサイダーを作る商売ポニーがやってくる話だとか

 

村全員の才能を均質化して、ガチの洗脳部屋にぶち込む、平等を掲げた独裁者とバトルしたりだとか

(ヒューゴ賞に〈悪ふざけで〉ノミネートされたエピソード)

 

トワイライトが本を出版したらアンチや信者が大量発生してしまう回だとか

 

諍いが絶えないからと話すことを禁じた村を訪れるだとか

 


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(無茶なクライアントに答えるラリティの歌。

クライアントR「よくわかんないけどもっとクールで。20%増しでクールでよろ!」

クライアント「いろいろ注文付けたけど予算は守ってね」)

 

とこんな感じでとにかくバラエティ豊か。

 

頭おかしいんじゃねえのってノリの回から、(嫌味のない)風刺、心温まる友情回、濃い百合、そして唐突に始まるミュージカルパート。

本当に様々な回が揃っております。

プリキュアやミュークルドリーミーよりも少し過激で歌劇な回が多い作品ですね。

でも基本的には女児向けなのであんまりにどぎつい展開はあんまりありません。

(マインドコントロールくらいはあります。でも友情は魔法なので丸く収まります。)

恋愛描写もほぼないです。

そして主要キャラクターの8割以上が女性です。

 

もうこれはみるしかないでしょう。

 

ここで萌え要素としてめちゃくちゃかわいところををいくつか紹介しておきます。

 

結局この作品が人気になったのはかわいからなんです。

 

必見。これ見ろ


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スピンオフ『エクエストリアガールズ』について

こんなかわいいポニーたちですので、もともと二次創作として擬人化されたイラストが結構存在していたようですが、まさかの公式でも人化するスピンオフが発表されます。

 

その名も『エクエストリアガールズ』

 

映画4本と短編・tvシリーズが何本か製作されました。

 

内容はエクエストリアから鏡を通って人間界に移動するという異世界もの。

本編とのつながりもあります。

基本ディズニー作品のようなミュージカルなので、見どころは歌。

二作目の『戦記絶唱シンフォギア』のような歌バトルはしびれます。

 


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(まあ3億再生ぐらいは普通ですよ。)

 

こちらもキャラがかわいいのでぜひ

 

 

終わりに

 

FIMが最高の萌えアニメだということは伝わったでしょうか。

最後にどこで見れるかということなんですが、残念ながらnetflixには一期しかないんです。

 

しかししかし日本語の公式チャンネルで3期まで吹き替えが見れます。

これはありがたい。

 

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どう見てもあやしい雰囲気ですがこれはガチで公式。

3期以降の吹き替えを担当されていた声優さんもツイートしていましたし、wikiにも載っているので間違いありません。

 

今のところ6期まで吹き替えがあるそうなのでそのうち更新されるでしょう。

 

どうしても英語版で見たいという人に心強い味方として、fandomにすべてのスクリプトが掲載されています。英語の勉強にもなるのでぜひ。

mlp.fandom.com

 

また日本語のブログでこのスクリプトを翻訳しているものもあるので探してみましょう。

 

今回はこの辺で終わりです。

実はもっともっと書きたいこともあるのですが、長くなるのでこの辺で。

 

それではまたお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 


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(推しについて一ミリも説明できなかった)

 

 

 

☆☆☆(映画監督界のガーシー)作品とクリエイターは分けて考えるべきか?性犯罪、国外逃亡しながらアカデミー賞を獲得したポランスキー監督について☆☆☆

「性犯罪者の撮った歴史的に価値のあるアカデミー賞作品」

 

2003年3月23日。

イラク戦争が始まった直後に行われた第75回アカデミー賞では、ホロコースト下のワルシャワを描いた映画『戦場のピアニスト』が作品賞を含む7部門にノミネートされ、うち監督賞、脚色賞、主演男優賞など3部門で受賞した。

ホロコーストを描いた映画としては、『シンドラーのリスト』など以前にも存在した。しかし本作はワルシャワホロコーストを実際に生き抜いたロマン・ポランスキーによる作品である。

実話をもとに戦時下での人間の悪行、そして地獄の中でも人間性を失わなかった実在の人物たちを描いたこの映画は映画史上に置いても類を見ない傑作であり、カンヌ国際映画祭においてもパルムドールを受賞、英国アカデミー賞においても作品賞監督賞を受賞、フランスのアカデミー賞であるセザール賞においても作品賞、監督賞を受賞するなど、世界中で絶賛された。

 

 

しかしである。

 

監督賞を受賞したロマン・ポランスキーは当日アカデミー賞の授賞式を欠席。

そしてその理由というものが米国に入国したら警察に捕まるからというものだったのである。

実はポランスキー監督は1960年代から1970年代までは米国に住んでいた。

しかし1977年、ジャック・ニコルソン邸にて当時13歳の少女を強姦した容疑で刑務所に入れられたのだ。

留置場においては罪を認めていたものの、懲役50年の刑が下るのを恐れたポランスキーはパスポートが有効な内にフランスに逃亡。

犯罪者引き渡し条約のないフランスに活動拠点を移し、その時から現時点ではアメリカに入国していない。

その後もヨーロッパにて精力的に映画製作を続けることになる。

そして現在にいたるまで、数々の映画賞を受賞、映画界の巨匠としての地位を確立したのである。

 

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(一応罪を認めてはいるようだが……)

 

性犯罪でありながら罪を償わず国外逃亡しながらも、数々の名作を世に出し続けてきたポランスキー

日本で言うならば●ー●ーと●●●ー●●●を足して二で割ったような経歴の持ち主なのだが、流石にこの情報だけでは(擁護するわけではないが)彼の人生を説明するには不十分ではある。

ということで今回は彼がどのような人生を送って、どのような作品を世に放って来たのかを俯瞰し、ポランスキー作品を我々はどのように扱えばよいのか、作品と作者を分けて考えるべきなのということを考えていこうと思う。

 

断っておきたいのは、この記事の中ではどちらが正しいなどという結論を明確に示すことはしない。

 

個人的には意見を持っているが、どちらかに誘導しようとは思わないからである。

もちろん文章にした以上どちらかに偏った意見のようにも見えるかもしれない。

しかしこの記事を書いた意図はこうした事実があるということを知ってもらいたいだけなのである。

 

ポランスキーの人生と作品

 

ポランスキーの生まれはフランスであるが、3歳の時にはポーランドクラクフに引っ越しポーランドで幼少期を過ごした。

しかし1933年生まれの彼は子供時代にナチスポーランド侵攻、そしてホロコーストを経験する。

ユダヤ系だった彼の一家はゲットーに閉じ込められ、両親は強制収容所に連行された。

彼自身はどうにか逃げ延び、パリに亡命したが、父親も強制労働させられ、妊娠中の母親はアウシュビッツで虐殺された。

 

 

終戦後はポーランドに帰国し父親と再会。

ポーランドの映画大学で映画を学び1950年代には俳優として出演を始める。

俳優ポランスキーは比較的最近まで活動しており有名なところだと、『ラッシュアワー3』にも出演している。

 

 

そして1962年、ポーランド語映画である『水の中のナイフ』において長編映画監督デビューを果たす。

裕福な夫婦とヒッチハイクをしている若者の3人がヨット上でおりなすドラマは西側に絶賛され、アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。

 

水の中のナイフ(字幕版)

水の中のナイフ(字幕版)

  • レオン・ニェムチック
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1965年にはイギリスに渡りサイコスリラーである『反撥』を監督。

処女であるキャロルが、同居している姉が男を連れ込んでセックスしまくっているのを聞かされまくってノイローゼになり、自身の妊娠することのできる身体を嫌悪し幻覚を見るという話なのだが、ベルリン国際映画祭にて銀熊賞を受賞。

デビット・リンチの『イレイザー・ヘッド』を始め数多くの映画に影響を与え、いまだに傑作として語り続けられている。

 

 

また翌年には『袋小路』がベルリンで金熊賞を受賞。こちらも外界と隔絶された古城で繰り広げられるサイコスリラーである。

 

 

1968年にはハリウッドに移り住み初のハリウッド映画『ローズマリーの赤ちゃん』を監督。

原作ものではあるが、悪魔の子を身ごもってしまった女性の不安を見事に描いた演出が評価されアカデミー賞脚色賞にノミネート。

本作は世界におけるオカルトスリラーの火付け役にもなり、本作を契機にして『エクソシスト』や『オーメン』『サスペリア』など世界中でオカルト映画のブームが訪れることになった。

 

 

またこのころ自身が監督した『吸血鬼』に出演したシャロン・テートと結婚。

ロサンゼルスに移り住み一緒に暮らしていたのだが、テートは自宅でパーティをしている時にチャールズ・マンソンの率いるカルト集団に襲撃され、惨殺された。

彼女はポランスキーの子供を身ごもっており、妊娠8か月だったという。

 

シャロン・テートの事件は映画史上最大の悲劇として有名である。逸話も多いので気になった人は調べてみよう)

 

シャロン・テートの事件の後、一時期ヨーロッパに戻っていたポランスキーだったが、『チャイナタウン』を撮るためにアメリカに帰国。

ジャック・ニコルソンを主演に1930年代の水利権をめぐる事件を追っていくハードボイルドな本作は絶賛され、ゴールデングローブ賞を含む数多くの賞を受賞。

アメリカ映画ベスト100にも19位に選出され、今もなお衰えない名作である。

 

 

しかし前述の通り1977年にはジャック・ニコルソン邸にて少女を強姦し、フランスに逃亡。今後アメリカに戻ることはなかった。

 

逃亡後フランスの市民権を獲得し、トマス・ハーディの小説『テス』の映画化する。

19世紀の貧しい農村の少女の過酷な運命をえがいた本作はセザール賞では作品賞、監督賞などを受賞。アカデミー賞にも複数ノミネートされ撮影賞や衣装デザイン賞などを受賞した。

しかしポランスキーは本作のヒロインを演じるナスターシャ・キンスキーと15歳の時から性的関係を結んでいたとされている。

その他にもポランスキーの被害を訴える声は多く、否定しているものもあるが少なくとも4人の女性からの訴えが存在する。

 

www.theguardian.com

 

 

『テス』を撮り終えた後もホラー映画から恋愛映画など様々な映画を取り続けたポランスキー

ジョニー・デップハリソン・フォードなど大物俳優と映画作りをすることも多かった時期である。

このころ『シンドラーのリスト』についてポランスキーに監督するようスピルバーグからオファーがあったと言うが、自身の体験とあまりに近いということで断ったという。

しかし1999年シュピルマンの手記を読んでホロコースト映画を撮ることを決意。

そうして産み出された映画が『戦場のピアニスト』である。

 

 

この映画は勧善懲悪ではない。

ワルシャワを舞台にドイツ兵に媚びを売るようにユダヤ人差別をするポーランド人や、ドイツ兵の言われるがままアウシュビッツに仲間を送り出してしまうユダヤ人も登場する。

そして極めつけはホーゼンフェルト大尉である。

かれはドイツ人でありながら、ユダヤ人であるシュピルマンの命の恩人となる。

戦争状態においては人種関係なく人間性が阻害され、非人道的行為に抵抗がなくなるということ、そうした中でも確かに人間性を失わずに生きていけるということ、そうしたことを英雄の目線ではなく歴史の傍観者であるピアニストの目線で描いた本作はホロコースト映画の中でも極めて質の高い映画だ。

 

本作を撮り終えた後彼は映画界でも不動の地位を手に入れたといっても過言ではないだろう。

当時すでに69歳と高齢だったポランスキーだが、その後も数多くの映画を手掛けることになる。

しかし2009年にはチューリッヒ映画祭にて生涯功労賞をもらいにスイスに入国したところ、身柄を拘束される。

半世紀近く前の性犯罪容疑は忘れ去られてはいなかったのだ。

 

www.afpbb.com

 

スイス政府が「現在の状況では、ロマン・ポランスキー氏が既に言い渡された刑期を務めた可能性や、身柄引き渡し要請が決定的な過ちにより損なわれる可能性を排除できない」として身柄引き渡しを拒否したためすぐに開放されたが、彼自身としてはどのような気持ちだったのだろうか。

 

www.afpbb.com

 

こうした事件の後、社会派サスペンス『ゴーストライター』は2010年にベルリン国際映画祭監督賞をはじめセザール賞ヨーロッパ映画賞などを受賞。

ユアン・マクレガーを主演にイギリス首相のゴーストライターがCIAの陰謀に迫っていくというシナリオは当時のブレア首相とも重ね合わされて絶賛された。

 

 

そして2018年、アメリカではMETOO旋風が巻き起こる。

過去の様々な性犯罪が告発されポランスキーも例外でなく追及された。

そして2018年5月には米国アカデミーを除名される。

 

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この際にはタランティーノも過去のポランスキーの行為を肯定する失言を掘り返され、謝罪することになる。

 

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このようにキャンセルカルチャーによってポランスキーの作品がキャンセルされ、映画界から追放されたのか?

しかし事そこまで単純ではない。

 

2019年ポランスキーの新作映画である『オフィサー・アンド・スパイ』がヨーロッパでは絶賛され、数々の映画賞にノミネートされたのだ。

本作はドレフュス事件という世紀の冤罪事件を描いた作品であるのだが、結局ヴェネツィア国際映画祭に置いて銀獅子・審査員大賞を受賞。

2020年2月に行われたセザール賞においては監督賞まで受賞した。

もちろんフランスでは一悶着あったようで、女優アデル・エネルなどは抗議の意味を込めて会場から退席した。

 

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そして同年2020年のアカデミー賞。『パラサイト』が受賞したことが話題になった年だが、実はポランスキーと縁の深い作品がノミネートされている。

タランティーノ監督の『ワンス・アポンア・タイム・イン・ハリウッド』だ。

 

 

実はこの作品は先述のシャロン・テートの事件を元に作られた映画である。

内容は1969年、旬をすぎた俳優であるリック(ディカプリオ)とスタントマン(ブラット・ピット)の隣にポランスキー夫妻が引っ越してくるというもの。

しっかり劇中にもポランスキーは登場する。

悲惨な事件への予感が漂う中ハリウッドを代表する旬をすぎたスーパースターが登場するというお話であるが、先述のタランティーノの発言を照らし合わせるとなにか意図を感じなくもない。

本作はアカデミー賞では助演男優賞美術賞を受賞。ゴールデングローブ賞では作品賞や脚本賞助演男優賞などを受賞しており高い評価を得た作品である。

 

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終わりに

ロマン・ポランスキーの人生、そして作品について様々なことを記述してきた。

ホロコーストを生き抜いたことや、配偶者が惨殺されたことなど、悲劇に見舞われた人生であったと言える一方で、罪を償わず(本人は償ったと主張しているが)国外逃亡しながら作品を作り続けた人生。

作品に関してはホラー、サスペンス、クライム、戦争、歴史など様々なジャンルで歴史的に重要な作品を残してきた。

 

芸術的に優れていたからと言って許されるのか、彼の名声をそのままにしていいのかということに関しては疑問が残るかもしれない。

しかし『戦場のピアニスト』を始めこうした作品をキャンセルしてしまうことによって失われる人類史上の損失というものも計り知れない。

 

このように優れた作品を残しながらも作者が間違いを犯してしまった例は数多くあるだろう。

最近ではエミール・クストリッツァ監督がロシアのプーチン大統領支持を明確に示し、カンヌ国際映画祭にゼレンスキー大統領がスピーチしたことを批判している。

(そしてなぜかクストリッツァ監督の作品が今年大学共通テストに出題されたそうだ。)

 

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(クストリッツァが軍の広報になったというのは不正確な情報らしいが、ロシアを支持していることは明確な事実のようだ。彼の生い立ちを考えるならばNATOを憎むようになってしまったことは理解できなくもないが……)

 

他にも歴史をたどればマルティン・ハイデガーカール・シュミットだとかがナチに加担したことや、バーナード・ショーファシズムを肯定してしまったことなど偉人や文豪が間違いを犯してしまった事例はいくらでもある。

また当時の時代の風潮によって善悪の基準が異なるということも事実であり、それを考慮しなくては20世紀のフランス文壇の作品はすべて発禁になりそうでもある。

 

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しかし時代の変化とともに妥協しない正義が求められていることも正論であり、過去の犯罪を妥協せずに告発することにもたしかに意義はあるだろう。

news.yahoo.co.jp

 

それでは我々はどうすればよいのか。

そんなことは各自で考えていただこう。

ポランスキーの人生はこうしたキャンセルカルチャーを考える上で重要な事例となる。

行為だけみれば●●●ー●●●や●ー●ーとなにも変わらないが、作品は許されるべきなのか?

 

ぜひいろいろと考えてみて欲しい。

 

 

☆☆☆賛否両論!『バビロン』絢爛たるハリウッドスターたちの栄枯盛衰☆☆☆

こんにちはZ世代の代表一号です。

今回はデイミアン・チャゼル監督の『バビロン』を鑑賞してきました~♪

 

Babylon

Babylon

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『セッション』や『ラ・ラ・ランド』などで有名なチャゼル監督。

わたしも『ラ・ラ・ランド』は大好きで、もう7・8回くらい繰り返し見ています。『セッション』も結構好きな映画です。タイトルのわりにセッションしない映画ですけれど。(完全に邦題が悪い。ちなみに好きなシーンはびんたでテンポを教えるシーン)

 

 

いままで病的なまでの芸への執着とその代償というテーマを描いてきた彼ですが、今回の舞台は1920年代の映画業界。

映像技術の黎明と発展。資本主義の発展と西洋の没落。フィッツジェラルドジャズエイジと呼んだこの時代を『バビロン』はどのように描いたのか。

ネタバレなしで紹介していきましょう。

 

 

とにかく下品で汚い。セックス、ドラッグ、そして汚物まみれのハリウッド。

 

サイレント映画の時代。

ハリウッドはまだ砂漠が広がる荒野で、警察の力もあまり及ばない土地で、産まれてまだ30年も経たない映画界の役者や監督、そしてスターに憧れる野心家たちがこぞって集まってくるところでした。

そしてそんな野心家の成金スターたちによって、映画冒頭から度肝を抜くような絢爛豪華な屋敷でのドラッグ乱交乱痴気騒ぎが繰り広げられます。

 


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間違いなくこの酒池肉林のシーンは本作の見どころなんですけれど、その描写がめちゃくちゃ下品で汚い。スコセッシやタランティーノみたいにスタイリッシュな感じではなくて、本当に汚いです。酒やドラッグだけでなく糞尿ゲロまみれ。

バビロンという名にふさわしいほどインモラルな世界です。

そして本作の主人公である映画製作者になることを夢見る青年トレス、女優になること夢見るラロイはそんなお下劣パーティにて、運よく映画業界へのチケットを手にします。

そしてここから一気にスターダムを駆け上がっていくのですが、この辺のサイレント映画時代の描写が結構面白い。

サイレント映画なので雑音とかは気にせず罵声が飛び交い、屋外のスタジオで様々なシーンを所せましと撮影しています。

そして倫理観も信じられないくらい低い。

合戦の撮影で本当に人が死にます。今だったら大変な事故ですが、そんなことは当時はよくあること。小指ぶつけたくらいの気持ちで、撮影は続行されます。

クレイジーですね。

そして銀幕のスターであるコンラッド。ブラピが演じる☆ダンディ☆なスターですが、彼も撮影直前泥酔していたり、めちゃくちゃ破天荒。

しかし肝心なところではきっちり決める。

かっこいいです。

 


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(サイレント映画の例。トーキー映画(音付き映画)と異なり、脚本がカットごとに挟まれる。わたしはこの時代はハリウッドでなくドイツ派。もちろんソ連もすごい。)

 

しかしそんな半分ならず者たちが集まるハリウッドでしたが、大きな変革が訪れます。

それはセル画がデジタルに変化するだとか、windows95が発売されるだとか、サブスクリプションが普及するだとかなんかよりも大きな転換点となった出来事。

トーキー映画の登場です。

 


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(革命を起こした言われる『ジャズシンガー』ですが、完全にトーキー映画ではない)

 

映画に音声が付くようになり、サイレント映画のスターたちの多くは音声映画に対応できず消えていきました。

『バビロン』の登場人物たちはどうなったのでしょうか。

ぜひ映画館で確かめてみましょう。

 

雨に唄えば』+『ブギ―ナイツ』+『ラ・ラ・ランド』『セッション』

 

 

サイレント映画からトーキー映画への転換期と聞いて察しのいい方はお気づきのでしょう。

この映画は『雨に唄えば』に大きく負ったストーリーになっております。

しかし『雨に唄えば』よりももっと暗く、そして汚物にまみれた味付けで、展開はPTAの『ブギーナイツ』のような栄枯盛衰を描いたものになっています。(『ブギ―ナイツ』より汚い。全年齢向け映画の話なのに……)

しかし栄枯盛衰を描くなんてものはギリシャから続く伝統ですから、安易に実質○○などと言わないほうが無難ではあります。東洋でも「祇園精舎の鐘の声」だとか「国破れて山河在り」だとか無限にありますし。

 

 

『バビロン』はそしてそんな話の構造から、デイミアン・チャゼル監督が『セッション』からずっと描き続けてきた芸への執着と代償という一貫したテーマを貫きとおした作品。

『セッション』では体罰すらも音楽へと昇華するラストが物議を醸しました。

ラ・ラ・ランド』では自身の芸のために人間関係を犠牲にします。

『バビロン』ではハリウッドというキラキラした世界に人々がひきつけられながら、踏みにじられ踏みにじり、殺され殺し、時には排泄物をぶちまけ、そんなクソその物の世界が描かれます。

そんなクソみたいな世界を描きながらなぜか深い映画への愛情が伝わってくるラストはきっと賛否両論。たしかにあのやり方はちょっとずるいですが、執念が伝わってくるのでわたしは嫌いじゃない。

映画が好きな方、そうでなくてもなにか芸術文化への愛があるひと、アニメとか音楽とかゲームでもなんでもコンテンツへの愛があるひとはぜひ『バビロン』を見に行ってみてください。

きっとなにか伝わるものがあるでしょう。

 

 

まとめ 芸術家の糞としての芸術

 

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芸術を高尚だの教養だのいろいとごたくを並べて肯定する方々がいますが、芸術なんて本質的にはクソです。

人格破綻している社会不適合者たちが自ら糞を高値で売りつけるというのが、芸術一般で、栄養にもならないし、役に立つわけでもないわけです。

それでも人は芸に惹かれてしまう。そしてそのキラキラした世界へ人を踏みにじってでも駆け上がろうとします。

芸への執着はときに非人道的にもなりえます。

それでも映画を、文化を肯定する。暴力を超えて肯定する。こうしたチャゼル監督の少し危険な作家性ははやっぱり魅力的でした。

この映画は汚いだの下品だのとよく言われますが、ハリウッドの歴史における汚さに目をつぶってしまえば、映画の肯定を描いたとしてもチープなものになってしまったでしょう。

劇中の言葉と重ねるならば、まさにケツの穴のようなハリウッドを描いた本作。

本記事で取り上げたもの以外にも、けばけばしい装飾だとか、トーキー映画初期の撮影現場だとか、怪しげな雰囲気にマッチした劇伴だとかみどころは沢山あります。

ぜひ劇場に足を運んで見に行ってみましょう。

 

今回はおしまいです。

 

今年も映画とかの記事を上げるのでよかったら読んでくださいね。

 

それでは!

 

 

『ぼっち・ざ・ろっく!』ファンにおすすめ!サイコーにロックな作品

みなさん『ぼっち・ざ・ろっく!』はもうご覧になりました?

去年の12月に最終話を迎えた本作ですが、全国の楽器店から作中で使用されたモデルが売切れたり、なんとニュース番組で社会現象として取り上げられたり、人気の勢いは留まることを知りませんね。

 


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本作のキャッチコピーは「陰キャならロック」をやれということで、内気な女の子が対人関係に悪戦苦闘しながらも、なし崩し的に加入した「結束バンド」のメンバーと共に練習したりライブをこなしたりしながら成長していくお話。

確かに筋だけ見れば王道の青春モノなのですが、バンドメンバーとの団結力、そしてロックスピリッツでコンプレックスに立ち向かっていく姿は心打たれるものがあります。

『ぼさろ』を見てロックに興味が出てきた人も多いのではないでしょうか?

 


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しかし意外とハードルが高いのがロックと言うジャンルで、識者に何から聞けばいいのとか尋ねてしまったらさあ大変。

おそらく好みのバンドのアルバムを50枚以上紹介されて、「とりあえずこれを聞け、話はそれからだ」みたいな感じになりかねません。

 

(みるからにめんどくさそうなラインナップで草)

 

ということで今回はそんなロックに興味はあるけど、なにから手をつけていいかわからないという人でもとっつきやすいように、ロックスピリッツ溢れたバンド物の映画やアニメを危険度ごとに紹介していきましょう。

(危険度は簡単に言えばいかに魂を揺さぶるかぐらいにとらえてくれて構いません。危険度と作品の面白さは比例しません。)

 


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危険度☆

 

けいおん!

 

バンド物作品と言えば絶対に外せない作品ですよね。

今から大体10年くらい前に大流行した作品で、当時『ドラえもん』しかアニメを知らなかった小学生時代の私でも名前は知っていました。

 

 

間違いなくアニメのほうがおすすめです。

内容は軽音部の女の子たちがだらだらとお茶を飲んだりケーキを食べたりしながらたまにがっつり音楽をするというものなのですが、アニメはあの京都アニメーションが手掛けているのでかなりクオリティが高い。

そしてストレスフリーな作風で常ににこやかな気分で画面を眺めることができます。

そんなゆるふわ系作品ですが、曲はまじでかっこいい。

 


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唯ちゃんのレスポールから奏でられる最高のフレーズ!!

こんなごっつい音出しながら、歌声はがっつりアニメ系!

とにかくけいおんは曲が信じられないくらいかっこいい。

ロックなサウンドを好きになるにはうってつけの作品です。

 

こんな人におすすめ

きらら系が好き

ごついギターサウンドが好き

 


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(唯ちゃん憧れのthe Who!)

 

『クロスロード』

 

 

1986年公開のブルースミュージシャンの老人とクラシックギター奏者の若者が、幻のロバート・ジョンソンの30曲目」を求めてアメリカを横断するというロードムービー

青春モノとして、ロードモノとして完成度が高い本作ですが、厳密に言うとロックがテーマではないんですよねこの作品。

しかしながらこの作品、ロックミュージシャンとのギター対決シーンがあります。そしてそのギター対決のシーンがめちゃくちゃおもしろい。

敵として登場しているのはスティーブ・ヴァイというギタリストなのですが、グラミー賞を受賞するほど有名な方です。

そして劇中で一番演技が上手い(笑)ちなみに主役のギターの中の人もスティーブ・ヴァイ。つまりギターバトルシーンは一人二役みたいなものです。

このラストシーンだけでもぜひご覧になってみてください。

 


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こんな人におすすめ

ブルースが好き

バトルものが好き

老人と青年の友情ものが見たい

 

(ちなみにタイトルの「CROSS ROADS」はロバート・ジョンソンによる楽曲ですが、様々なロックバンドにもアレンジ・カバーされており中でもとくに有名なのはCREAMによるもの。こちらも神なのでぜひ)

 


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デトロイト・ロック・シティ』

 

 

これもまたさわやかな青春モノ。

1970年代の保守的な雰囲気が色濃く残る田舎町の4人組の少年たち。

彼らはあの伝説的なロックスターであるKISSの大ファンなのですが、いざKISSのライブに行くぞとなると、思わぬ障害が立ちはだかります。

母親にチケットを燃やされたり、車を盗まれたり……

彼らはKISSのライブに行くことができるのか?ということがこの映画の内容です。

KISSに憧れた田舎の少年たちが破天荒ながらも必死にチケットを求めて東西奔走する姿は、なんだかその純真さに素直に応援したくなってしまいます。

ロックスターに憧れを抱いたことがあるひとや、ハードなロックやステージパフォーマンスに濡れるひとはぜひ見てみましょう。

 


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こんなひとにおすすめ

KISSが好き→必ず見ろ

ハードなロックやメタルが好き

ロックスターに憧れる

 

 

ちなみに『デトロイト・メタル・シティ』という漫画・映画のタイトルはKISSのこの曲のタイトルからとられています。

DMC』の映画版にはKISSのジーン・シモンズもなぜか出演しています。

 


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(なんかまだ子供の頃TVでみた記憶がある。漫画も面白いですよ。東京タワーのシーンは一番笑いました。下北沢が舞台なので実質『ぼざろ』です)

 

危険度☆☆

 

BECK

 

 

バンド系漫画と言えばやはりこれでしょう。

内容はバンド版『はじめの一歩』といった感じで、しがない中学生がバンドに入って、徐々に実力を認められていくというものです。

しかしこの作品、古い作品なのでなかなか展開がスロー。一巻の時点では主人公はギターすら握らず、これはもしかすると水泳漫画なのではないかと勘違いするほど。

本格的にバンド活動を始めてからはめちゃくちゃ面白い。

ビックマウスなメンバーが結構無茶な約束をしてきたりするのですが、主人公の歌声やヘヴィーなリフそして日本人離れしたファンキーなベースを聴かせて、敵であったはずの人に実力を認めさせるのは爽快感があります。スポーツ漫画的な爽快感ですね。

少年漫画なのでキャラクターも個性豊かで、読んでいて結構楽しい作品なので気軽に読んでみましょう。

また作中にはロックへのリスペクトが散りばめられていて、元ネタ探しをするのも結構面白い作品です。

 


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(ジャケット絵だけでなく、店の名前など様々なところにリスペクトが見られるよ。)

 

こんなひとにおすすめ

ファンキーなベースが好きな人

アルバムのジャケットが好きな人

王道が読みたい人

 

『はじまりのうた』

 

 

パイレーツ・オブ・カリビアン』のキーラ・ナイトレイ主演の映画です。

恋人の浮気が発覚したばかりのミュージシャングレタと落ち目の音楽プロデューサーがタッグを組んで、ゲリラストリートライブ音源を録音してアルバムを作るというストーリー。

こんなパンクな内容なのですが、バンドにはバイオリンとかが入っていて、割と上品な感じ。そのギャップもいいですね。

 


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中年のおじさんとキーラナイトレイ演じる主人公の恋人でも親子でもない独特の信頼関係がものすごくいい味をだしている作品です。

ちなみに主人公の恋人役を演じているのはマルーン5(超有名バンド)のアダム・レヴィーン。彼も楽曲を提供していて「lost Stars」という曲はアカデミー賞の主題歌賞にノミネートされました。

 


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こんなひとにおすすめ

キーラ・ナイトレイが好き

マルーン5が好き

繊細な人間ドラマが好き

音楽っていいなと感じさせてくれる作品が見たい

 


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『ロック・スター』

 

ロック・スター (字幕版)

ロック・スター (字幕版)

  • マーク・ウォルバーグ
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ロックスターの熱狂的な大ファンである主人公。彼はロック・バンド「スチール・ドラゴン」が好きすぎてコピーバンドまで作ってボーカルを務めている。

でももし本家「スチール・ドラゴン」のフロントマンに才能を認められて、ボーカルとして抜擢されたら?

そんな夢のような出来事を描いた作品が『ロックスター』です。

田舎町の青年の素朴なロックスターへの憧れという点では、先ほど紹介した『デトロイト・ロック・シティ』に似ていますが、本作では自身が本当にロックスターになってしまいます。これはとっても楽しい作品に違いない!と思うかもしれませんが、これが結構シリアスめの作品。

憧れていたロック・スターの生活も実際になってみると結構大変なのです。とくに地元の恋人との関係は結構ギクシャクしてきて・・・みたいな作品です。

たしかに一般人からしたらかっこいいだけのロック・スターですが、いざなってみるとなかなかうまくいかないものです。

みどころは主人公の葛藤!幼少期から憧れてきたものにいざなったとき、はじめて自分が本当にどんな風になりたかったのかということを考え始めます。

青春の終わりというテーマが好きな人、ハードなロックやメタルが好きな人は必見です。

 


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こんなひとにおすすめ

ハードなロックメタルが好き

80年代の雰囲気が好き

ロックスターに憧れる

 

ソラニン

 

 

私の妹が去年読んだ漫画の中で一番面白かったと言っていた本作。

青春漫画の定番ですね。

妹は人が死んだ場面で大爆笑したそうですが、なんというかはたからみたらめちゃくちゃバカなんですよ。でもその馬鹿さを作者も主人公もしっかり自覚していて(作者もどうせしょーもない理由で死んだって言ってます)、それでもその馬鹿のパッションを受け継いでギターを手に取るわけです。

大人になりきれない青年たちのお話。すっごくロックです。

映画は宮崎あおいが主演で主題歌はアジカンの「ソラニン

 


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歌詞は原作者の浅野いにおがつけています。名曲ですよね。

 

こんなひとにおすすめ

社会に出たくない人

アジカンが好きな人

普通の日常に不満があるひと

 

 

『リンダ リンダ リンダ』

 

 

JK!ガールズバンド!!ブルーハーツ!!!

これだけでこの作品の要素は大体抑えているのかと。

文化祭直前にバンドメンバーが抜けてしまい、急遽急造メンバーでライブをすることに。

そしてブルーハーツならいけんだろってことで、曲をとりあえず決め、ボーカルを探す。そして一番最初に通りかかった子に決めたらその子は韓国からの留学生。

日本語おぼつかないけど、なんとかいける!!!!

みたいな勢いある作品です。

 


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私はわりとロックは洋楽ばかり聞いている人なんですけれど、ブルーハーツ聞いてみると、めちゃくちゃいい。

劇中でうたわれる「リンダリンダ」は決してうまくないのかもしれませんけれど、ものすごくパッションが伝わってきます。

とにかくなにか衝動があって、でも何がしたいのかよくわからないけれどそれを発散したいというときにピッタリの曲です。

 


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そして最後の学祭ライブシーンなのですが、アニメが好きな人は既視感を覚えるかもしれません。

学祭ライブ中賑やかなステージから誰もいない教室や廊下が映し出されるカット。

ハルヒ』『まなびストレート』『けいおん!』そして『ぼざろ』すべてにこうしたノスタルジックな演出がなされていますが、元ネタは本作です。(ハルヒに至っては……)

おそらくアニメで学祭ライブシーンがあれば、本作の影響を受けていない作品はあまりないでしょう

 


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ちなみにベースの子はベボベ関根史織

主演のペ・ドゥナは山下監督があのポン・ジュノに呼びかけて主演が決まったそうです。

 


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こんなひとにおすすめ

ブルーハーツが好き

バンドものアニメが好き

邦画の名作が見たい(海外人気も高い作品です)

 


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危険度☆☆☆

 

あの頃ペニー・レインと

 


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アカデミー脚本賞からゴールデングローブ賞グラミー賞など超ビックタイトルを受賞している大傑作。

内容はローリングストーンズ誌に書いた記事が気に入られた主人公(15歳)はブレイク寸前と言われているバンドに密着取材することに。

バンドのツアーに同行しながら美しい少女ペニー・レインへの恋慕、そしてロックスターであるハモンドへの憧れや友情そして嫉妬心など繊細で複雑な青少年の心模様。

非常に見事な作品です。

ペニー・レインというキャラクターはオタクにやさしいギャルなので、そういうのが好きな人はぜひ見てみましょう。

 


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実は本作は16歳からローリングストーン誌のライターを務め、レッド・ツェッペリンイーグルスのツアーに参加したキャメロン・クロウ監督の実体験が元となっている作品です。

作中の展開には実際に体験したことも含まれているとのこと。

つまりオタクにやさしいギャルは実在する……

世代対立、乱れた性生活、ドラッグなど70年代ロックシーンを知る上で重要な雰囲気を知ることができる本作。

ぜひご覧になってください。

 


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こんなひとにおすすめ

70sロックが好き

オタクにやさしいギャルが好き

兄的な存在への憧れを感じたい

 

シド・アンド・ナンシー

 

 

伝説のパンクバンドセックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスと恋人ナンシーの半生を描いた作品。

シドを演じるのはシリウス・ブラックや『レオン』で警部を演じたゲイリー・オールドマン。名優ですよね。

そしてピストルズのシドと言うのは世界で最も破天荒な人生を送ったロックンローラーであります。

ベースも弾けないのにピストルズにベーシストとして加入、罪状はドラッグはもちろん傷害事件(不起訴だがのちに犯行を告白)からなんと殺人まで幅広くとんでもない野郎なのです。

この映画は冒頭からなぜ恋人のナンシーを殺したのかというところから始まります。

そして作中で世界一のお騒がせカップルの生態が明らかになっていくのですが、本当に筆舌につくしがたいというのはこういうことかと。

シドもめちゃくちゃおかしなやつなのですが、ナンシーはさらにおかしい。虚言癖、ヒステリー持ち、そしてジャンキー、だけどシドには一途です。

シドもナンシーがいないとどうにも調子がおかしい。いやもともとおかしいんですけど、さらにおかしくなります。

頭がおかしい同士のとんでもカップルはピストルズのメンバーすらまともに見えてくるので面白い。

 


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ピストルズの有名なエピソードとして、女王即位25周年の式典中にゲリラライブを行い、バッキンガム宮殿に向けて船上で女王を風刺する歌を歌ったというものがある。)

 

結局シドは薬物中毒になってしまい、もはやまともにライブをすることもままならない状態に。

限界を迎えたピストルズは解散し、シドはナンシーとともにアメリカに留まります。

しかし何をやってもうまくいかず、ヘロインヘロインヘロイン。

最後にはナンシーを殺します。

本作の見どころとしましては、ヘロイン中毒になったシドに見る幻覚でしょう。

ゲイリー・オールド・マンの名演も相まって、鬼気迫るものがあります。

 


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ピストルズの狂気にのまれてしまったシド。

しかしそんな破天荒なピストルズですが、ボーカルのジョン・ライドンはラストライブの際に「騙された気分はどうだい?」と言い放ったと言われています。

実はピストルズというのはプロデューサーがすべて仕組んだ虚構だったのか。そしてシドだけが唯一心からパンクを信じてステージに上がっていたのか?

ピストルズという現象にはそうしたいろいろな逸話があります。気になるひとはぜひ調べてみてみましょう。

 

 

こんなひとにおすすめ

破天荒なラブストーリーが好き

パンクが好き

共依存が好き

破滅が好き

70年代パンクのファッションが好き

 


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(みんな大好き椎名林檎もシドの曲を歌っている。『NANA』でもシドのエピソードが引用されるなど、様々なところで彼らはテーマになる。でも個人的にはシドよりもジョン・ライドンのほうが面白い人物に思える……)

 

 

危険度☆☆☆☆☆☆

 

『MUSICUS!』

 

 

サイコーにロックな作品というタイトルでこんな記事を書き始めたものの、実は私の頭に最初に浮かんだのはこの作品。

 

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クラウドファンディングで億を超える額を集め、クラウドファンディング日本一(当時)を達成した本作。

SwitchとPS4だけでなくwindows版もあります。ブラウザからならスマホでもできるので、この記事にたどり着いたひとなら必ず遊ぶことができる作品です。

ゲームといってもいわゆるノベルゲームと呼ばれるジャンルで、紙芝居のように絵を見ながら文字を読んでいくというもの。

絵と音楽のある小説だと思っていただければ大丈夫です。

 

 

内容はインディーズロックバンドをテーマにしたロックンロールアドベンチャーゲームなのですが、『ぼっち・ざ・ろっく!』に夢中になった人なら絶対にはまる要素が盛りだくさん。

まずヒロインは社会不適合者でジャージでステージに立ちます。

そしてベースの子がマイペースだったり、ずっと金をせびるクズキャラがいたり……

家でひとりひきこもって楽器を弾いているキャラがいたり……

それにバンドメンバーみんな高校中退しています。

めっちゃ『ぼっち・ざ・ろっく』ぽいですよね。

(ヒロインの三日月ちゃんは青ジャージなのでぼっちちゃんの2Pキャラぽい)

 

 

ストーリーはこのような感じ。

主人公は応募した小説がインディーズレーベルの社長に評価され、ロックについてなんにも知らなかったのにも関わらず、あるロックバンドの密着取材の依頼を受けることに。(『ペニー・レイン』のパロディ!)

取材先は『花鳥風月』というバンドだったのですが、ヴォーカル・リーダーである花井是清はとてもネガティブ。(影のあるイケメン!)

是清のキャラクターや初めていくライブハウスに戸惑いながらも主人公は『花鳥風月』の圧倒的ライブパフォーマンスに感激。

しかし感動冷めやらぬうちに『花鳥風月』解散の知らせが・・・

主人公は納得いかず、説得に向かうものの本人はネガティブな理屈をこねてやりたがらない。

しつこく押しかける主人公に花井はこう告げます。

「きみがおれのかわりにロックをやらないか?」

そして主人公はロックンロールの世界に飛び込むことになるのです。

 


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ドロップアウトした社会不適合者たちがバンドを組んで音楽に向き合っていくストーリーなのですが、ゲームなので様々なルートがあります。

ルートによっては音楽をやめてしまうルートや、バンドが空中分解してしまうルートとかもあったりします。もちろん音楽活動が上手くいって商業的に大成功する王道展開も。

たまに重い展開もあったりしますが、とにかくひたむきに音楽に取り組んでいくキャラクターたちは私たちの心を揺さぶります。

 

これぞロックンロール!!

 

またこの作品、音楽への向き合い方がものすごくバラエティー豊か。

キャラクターたちそれぞれ何通りもの音楽観を持っていて、それぞれそのキャラなりに必死に生きていく様は感動すること間違いなし。

 

(ミカちゃんかわいい)

 

『MUSICUS!』のここがおすすめ!

 

まずキャラクターがものすごく魅力的なところ。

ヒロイン三日月のわけわからん自分語りもめちゃくちゃ面白いです。そしてかわいい!!(大事)

真のヒロインである花井是清のシニカルでネガティブな屁理屈もめちゃくちゃ面白いです。絶対好きになるでしょう。

また主人公の友人キャラである金田くんは働きもせず練習もしないでロックスターに憧れるクズ。

評価が分かれるところではありますが、なんか愛嬌があって嫌いになれないです。

(このほかにもかわいい女の子やすかしたイケメン盛りだくさんです。)

 


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音楽はすべてまやかしなのか?

 

また作品のテーマがとても興味深い。

良い音楽とはなんなのかという花井是清の問いかけには非常に考えさせられるところがあります。

天才シンガーが白けた場面であっても、いざ歌い始めれば観客はあっと驚いて、たちまち大喝采に包まれるみたいな描写は音楽作品でありがちなものですよね。

しかしそんなことはありえないと花井は言い放ちます。

高名なだれかが認めただとか、誰が演奏しているだとか、どれだけ売れているか。そういった物語が人を感動させるのであって、音楽などただの空気の振動なのだと説くのです。

そして彼は音楽に広告やらストーリーやらをくっつけて、「バンドマンは客をだましているのだ」とまでいいます。(ジョン・ライドンぽい……)

 

そしてこういった花井是清の音楽に対する絶望を乗り越えようというのがこの作品のテーマであり本筋になります。

音楽に限らずよい作品ってなんだろう。そういったことを考えたことがある人は今すぐ買いましょう。

 

そして作品のこだわり

 

プロデューサーが本当にロックンローラーなので、ライブハウスや曲作りなどの描写はとにかくリアル。全国の楽器店に『MUSUCUS!』の企画として架空の音楽雑誌を配布するなど気合が入っています。

 

musicus.over-drive.jp

(雑誌はここからもDLできる。ぜひ見てみよう!)

 

ライブハウスのロケハンもしっかりしていて、全国各地のライブハウスが劇中に登場します。

そしてメインで登場するライブハウスは下北沢!

『ぼざろ』の聖地から同じ通りを真っ直ぐ数百メートル進めば到着する距離!

『ぼざろ』と一緒に聖地巡礼できるなんて本当にコスパ最高です。

 


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(ボーカルの声が誰かに似ているような・・・?紅白歌手のHysteric Blue Tama・・・中の人などいません!!)

 

『MUSUCUS!』はこんなひとにおすすめ

『ぼざろ』好きな人

ひねくれもの

バンド物が好きな人

創作・芸術を愛するすべての人

(体験版なら無料でできる。ぜひやってみよう!)

 

 

ちなみにおなじメーカーで同じライターの『キラ☆キラ』もおすすめです。

底抜けに青春モノでロックンロールで駆け抜ける物語です。

こっちはスマホアプリがあります。

コラボギターがESPから発売されたほどの人気作で、本作に登場する伝説のベース・スェンダーは元神聖かまってちゃんのちばぎんやGLAYのHISASHIがパロディするほど。

ちなみに主人公は女装します。

ニコニコ動画で女装ベーシスト界隈の大物2人がこの曲を弾いていたので気になる方はぜひ調べてみてください。

 


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番外編 危険度 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

よくぞここまでお付き合いいただきました。

裏ボスの登場です。

おそらくこれほどまでの危険な作品はないでしょう。しかし私はこの作品が地域の図書館でおすすめされていたところを見たことがあります。

そしてその作品とは・・・

 


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『天使の3P!』

 

 

デンジャー・ゾーンですね。

あの『ロウきゅーぶ!』の青山サグの作品です。

ジミ・ヘンドリクスを愛するDTMerの青年が、児童養護施設リトルウィングの女の子たちのバンドを手助けするというお話。

まあこんな内容と見た目ですが割と本格派です。

しっかりYamahaが協力しています。

そのためDTM描写はアニメ史上もっとも正確かもしれません。

アニメのほうは『BECK』のように各所に洋ロックへのリスペクトが散りばめられているので、元ネタ探しが好きなら楽しく見れると思います。

ちなみに小学生たちに使用楽器がニッチすぎて面白い作品でもあります。

ギターの子が弾くのはFender USA Duo-Sonic。ベースの子はHöfner500。

このコラボして売る気がないところがいいですよね。

 


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(リトルウィングの元ネタのほう)

 

最後に

 

以上でロックな作品紹介はおしまいです。

自分なりのチョイスで、サイコーにロックな作品をいくつか紹介してみました。

意識的にジャンル横断的にチョイスしてみました。音楽には国境を超える力があるそうなので、普段見ないジャンルでも見てみると結構面白いなというころもあるはずです。

なるべくたくさんの作品を紹介したつもりですが、まだまだほかにもロックな作品は数え切れないほどあります。

ロックに興味はあるけど、いきなりアルバムを聞いたりするのはきついという方はぜひこの記事を参考にして、いろいろな作品に触れてみてくださいね。

ロックと聞くとオラオラしているようなイメージを持たれることがあるかもしれませんが、実はそんなことはありません。

ロックはどんな人に対してもやさしいものです。

そしてクソみたいな世界を生きる希望を与えてくれるものです。

とにかくみなさんロックを感じてみましょう。

きっと心にしみるなにかがあるはずですよ。

 

それでは

 

ロックンロール!!!!!

 


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(入れ忘れました)

 

 

 

 

 

 

 

 

『伝説のゲーム『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』再販だと……』

どうも、平成レトロ趣味のZ世代の代表RYANAです。

 

とんでもないニュースが舞い込んできました!!!

なんとあの伝説のADV、この世の果てで恋を唄う少女YU-NOWindows版が、最新OSに対応して発売されるんだそうです。

www.fanzagames-digination.com

 

実は数年前くらいにリメイクされているので、リメイク版であればSwitchだとかで気軽にプレイすることができるのですけれど、でもやっぱりオリジナルの絵柄やBGMの雰囲気でぜひプレイしていただきたい作品です。

 

 

YU-NO』ってどんな作品?

有名なゲームではありますけれど、やっぱり古い作品なのであんまり詳しく知らなかったり、全く知らなかったりという人も多いかもしれません。

ということで簡単な詳細をご紹介させていただきます。

 

 

この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』は1996年、「MSDOS」向けのゲームソフトとして発売されました。

すごくざっくりとしたことを言うと、「DOS」とは現在主流であるWindows以前のOSで、96年はWindowsに完全に切り替わるギリギリの時代でした。

(つまりオリジナル版はWindowsでは動かないです。普通のやり方では……)

美少女ゲームというニッチな市場で発売されたものの、その洗練されたゲームシステムや、スケールが大きく奇想天外ながらも詳細に作り込まれたシナリオが評価され、セガサターンに移植されるなど、美少女ゲーム界隈のみならずADVゲームの中でも大きな存在感を放つ作品です。

そして発売から長い時間がたっても数多くのクリエイターが影響を公言するなど界隈では伝説のゲームとして、令和の時代になってもなお根強い人気があります。

そして2019年にはSwitchやPS4にてリメイク版が発売され、またテレビアニメも2クールわたって放送されました。

(正直なところテレビアニメの出来は……)

 

今回再販されるのは2000年にWindowsに移植された時のものです。

このヴァージョンを今買おうとすると、まんだらけ駿河屋のガラスケースの中に鎮座していて、結構お値段がはるということ、そしてwindows2000にしか対応していないのでもしかするとお持ちのパソコンでは起動しないということもあり得ます。

 

つまりいままでオリジナルCGやBGMを楽しみながらプレイするには、セガサターンを買うか、動くかわからないのにプレミアム品を買うか、それともなんとかDOSを導入してオリジナルを起動させるかしかなかったのです。

(注意点として96年から倫理規定が変化し、windows版では重要な要素がカットされてしまっている。そのため本当はシナリオ的にはオリジナルをプレイして欲しい。ただオリジナルは難易度が高く、なおかつ動作がめちゃくちゃ遅い。操作感も悪い。そしてなんといっても起動するのがめちゃくちゃめんどくさい。)

 

結局『YU-NO』ってなにがすごいの?

 

YU-NO』という作品がなんだかすごい作品だということは分かった。

「しかし具体的に何がすごいの?老人のノスタルジーじゃないの?正直産まれるまえの作品なんて現代の作品に比べて大したことないでしょ。」

まあ大体こんな感じの感想をもったりしてるのではないのでしょうか。

分かります。私も結構期待して老人がオススメする作品を鑑賞したりプレイしたりして、「あれっ?こんなもん?」ってなったりすることも結構あったりします。

だけどこれは伝えたい。『YU-NO』は間違いなく本物。

ゲームだとかアニメ、そしてドラマ、ことさらにパラレルワールドやループといったジャンルについて造詣を深めたいという方、物語のメタ構造について興味がある、レトロなドットCGやFM音源に関心があるという方は間違いなくやる価値のある作品です。

 

まずCGがすごい!

90年代、『YU-NO』という作品は当時美少女ゲームの中でも最大手であったelfというブランドから発売されました。

Windowsよりもゲーム開発に制約が多い時代、例えば画面に16色しか同時表示できない時代だったのですが、その16色時代の美少女ゲーム界隈のCGのクオリティはおそらく世界でも最高峰。そしてYU-NOはその16色時代の集大成ともいえる代物です。

 

(今度アニメ化するらしい90年代美少女ゲーム界隈を舞台にした作品。)

 

そして何と言っても画期的なシステム「A.D.M.S」

そして『YU-NO』が現代にいたるまで伝説のゲームになった所以。それはADVゲームの究極の到達点と言えるADAMSというシステムにあります。

このシステムを言葉で説明することは難しいのですが、ADV世界において主人公がゲーム内で体験する可能性を、フローチャートとしてプレイヤーに見えるようにしただけでなく、そのフローチャートを作中の設定とゲームシステムに組み込んだものです。

ja.wikipedia.org

(少し分かりにくいなという人はWikiの「システム」という欄をを見てみましょう。

 

YU-NO』ではプレイヤーが街を歩き回り、イベントをこなしていくのですが、行く場所や持っているアイテムによってストーリーが分岐します。

そしてその分岐した道筋が「リフレクターデバイス」にフロ―チャートとして表示されていきます。

そしてアイテムであるリフレクターデバイスには「宝玉」というアイテムが付属しており、その「宝玉」はストーリー中に置くとセーブすることができるのです。

「宝玉」を置いた地点は「リフレクターデバイス」に表示されるフローチャートに表示され、一回だけ置いた地点に戻ることができます。

そして「宝玉」は初期状態だと二個ですが、フローチャートの様々な分岐地点に存在しており、ゲームの目的としては平行世界を宝玉を使って飛び回りながら、宝玉を集めることです。最終的には8個手に入れることができます。そして8個手に入れると……

 

つまりどういうこと?

 

フローチャートやセーブというものは選択によって物語が分岐するゲームにおいて、メタ的に存在するものです。

目には見えなくとも、例えばヒロインAを選ぶBを選ぶという選択肢がゲームに表示され、プレイヤーはその場でセーブをし、Aのルートをプレイした後にセーブ地点に戻ってきてBのヒロインのルートを選択する。するといままで隠されてきたCのヒロインのルートが解禁される。こうしたシステムのゲームはよくあります。

そして『YU-NO』という作品はそうしたルート分岐やセーブという作品の仕様を、ゲームの世界観設定やアイテムに組み込んでしまったとんでもないゲームなのです。

そして恐ろしいことにそのゲームのメタ構造をSF的な理屈をつけて説明してしまいます。そして作中にはなぜ平行世界を行き来できるのかということを説明した論文まで存在していて、それっぽい数式や理論が説明されています。

(気になる方はWikiを見るか、公式ガイドブックを手に入れよう)

 

分かりやすく言うと『シュタインズ・ゲート』みたいなものですが、『YU-NO』はその物理学SFの上に民俗学やら哲学、そしてガッツリファンタジー世界要素もあるので、とんでもなく情報量の多い作品なのです。そしてその作品設定がシステム、そしてメタ構造とマッチしておりとんでもなく繊細に作り込まれた作品になっているのです。

 

後世への影響

 


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(ちなみに『シュタインズ・ゲート』は製作者が影響を公言していたり、リメイク版を作ったり、コラボしたりしているので『シュタゲ』好きな人はぜひやってみましょう。)

 

SF設定やメタ構造という視点で見ると、平行世界や世界の分岐ということをテーマにした作品が、『YU-NO』の影響から免れることはおそらくかなり難しいと言えるのではないかというほど、影響力が大きい作品となっております。

私的には『うる星2』と『YU-NO』さえ押さえておけば、他のループものやメタ構造系のアニメゲーム作品を鑑賞する時、だいたいの手がかりになると考えているほどです。(要出典)

個人の主観はともかく00年代から現代にかけて大量に生産されたループものや平行世界ものの中には『YU-NO』の影響を公言した作品が少なからずあり、やはり文化的に非常に重要な作品であると言えると思います。

ちなみに『YU-NO』はオタク文化をアカデミックに論じる際に必ず読まなければならない、『動物化するポストモダン』という新書の結末で取り扱われている作品であり、そういったアカデミックな層からの支持も大きかったりします。

 

(受験にも出題される本。わたし的には大味で批判すべきところも多い著作だと考えている。)

www.4gamer.net

(この記事を読めばADVの歴史と『YU-NO』のすごさがより理解できます。)

 


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注意点(微ネタバレ)

 

そんな非常に興味深い作品である『YU-NO』なのですが、プレイする際に注意点がいくつかあります。

まずこのゲームがアダルトゲームだということです。

まあ確かにコンシューマー化されていたり、エロティックなポルノグラフィだけで受けた作品ではないのですが、思ったより内容はハードです。

ヒロインが近親近親近親近親と近親だらけだったり、プレイ内容もNTRNTRNTRNTRと割と尖っているので、keyのゲームのような純愛を求めてやるとあれってなります。

またカニバリズムなどわりと倫理を踏み越えた内容も多いため、そういったものに耐性のない方は回避することをおすすめしたいです。

また古いゲームなのでシステム的には結構不便だったりします。そのため、もしシステムが心配と言う方はリメイク版でプレイすることを推奨したいです。


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NTRをゲームとして最も効果的に演出するためにマルチサイトシステムをおもいついてしまった天才剣乃ひろゆき。『YU-NO』はNTRで鍛えた想像力から生まれたのかもしれない)

 

最後に

 

YU-NO』はZ世代の代表である私でも、とってもやりがいのある作品です。

自分が産まれる前から、こんな作品があったということに強い感動を覚えましたし、時代性を考えなくとも、あの作り込まれた世界観や設定、そしてシステムの緻密さには感激しました。

間違いなくプレイして損はないです。当時を懐かしむひとだけでなく、私と同世代のZ世代の方々にもぜひプレイしてもらいたい作品です。

 

今回は緊急で『YU-NO』についてでした。

またお会いしましょう。

それでは~

 

『謹賀新年 今年はカブトガニ年!!『キラーカブトガニ』みたよ』

干支ってアジア圏なら大抵あるものなのですけれど、国によっては兎の代わりに猫が入ってたりするそうです。

 

とはいえ日本ではなぜか今年は兎年。

兎ってかわいいイメージありますけれど、表情がなくてあんまりかわいいと思ったことありません。

ということで私は去年、因幡の白兎の伝説にちなんで兎から皮をはぎ取って、今年はワニザメ年だって言い張ることを心に決めていました。

ワニザメは日本人の心ですもんね。多分戦前ならワニザメを愚弄すれば不敬罪が成立したはずです。古事記にも書いてあることなのでたしかな情報です。

わたしの推しワニザメは豊玉姫ちゃん。玉依姫もすき)

そして今年は干支にちなんでサメの出てくる映画を沢山観賞しようと心に決め、新年を迎えました。

しかし、1月になってなんとなく新作映画のニュースを見ているとこんな文言が目に飛び込んできたのです。

 

www.cinra.net

 

「サメの時代は終わった」

 

今年はサメ年だって言い張るはずだったのに、サメの時代は終わってしまったそうです。

つまり『アクアマン』や『ファインディング・ニモ』などのサメ黄金時代は終わりました。

ということでサメ年に変わって今年の干支になってしまった、カブトガニの映画について紹介していきたいと思います。


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『キラーカブトガニ

 


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一言で言うと神映画でした。サメの時代は本当に終わりました。

(確かにサメも日本人的にやんごとなき存在ではあるのですけれども、というよりここでは世俗的な意味での神です。)

 

まず掴みが面白い

まず初手から原発が爆発するシーンから始まるのですが、エメリッヒ版の『GODZILLA』を思い起こさせる作りですね。

(みなさんご存知、神映画。マグロが好き。ちなみにウミイグアナは海藻が主食)

ただシリアスな描写でもなく、明らかにブラックジョークなので、神経質な人は回避したほうがいいでしょう。

だけれど不謹慎な笑いだとか、際どいネタが好きな人は爆笑間違いなし。

そして原発事故の不出来なCGが流れた後、すぐにSEX

サメの餌カブトガニの餌になるためにビーチに来たアベックの濡れ場シーンです。

この映画は『ディープ・ブルー』ではないので案の定カブトガニに食われます。

パニック映画の掴みとして完璧な導入。テンプレだからこその神映画クオリティが際立ちます。

 

キャラクターがいい

主人公は足が不自由ですが、超絶頭がいいという設定。北朝鮮から怪しげな電池を輸入して自分でパワードスーツを開発するほどです。

分かりやすく言えば『アイアンマン』みたいなもんです。

そして最後には……ぜひ鑑賞して確かめよう!

そして兄。保安官なのですが、この手の映画にはめずらしくめちゃくちゃいいやつです。『キラーカブトガニ』の裏テーマはおそらく兄弟愛。

ラストシーンでは間違いなく胸が熱くなるはずです。

きっと劇場を出ることには彼に惚れていること間違いなしですよ。

 

 

劇伴の使い方がうまい

神映画と言えば、神曲

ミュージカル映画、『アタック・ザ・キラートマト』も前衛的な劇伴の使い方が印象的ですが、それに比べて『キラーカブトガニ』は堅実ながらもユーモアのある活用。

 


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作中のプロムのシーンでは低音サウンドが気持ちのいいEDM系のサウンドが流れるので、劇場で見ることができなくとも、なるべく良い音響で鑑賞することをおすすめします。

カブトガニがDJをやるシーンとかもあります。新種のカブトガニすごいですよね。

ちなみにエンディングも神曲でした。

 


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(神映画には神曲が付き物)

 

名作映画たちと同じ!カブトガニの鳴き声

 

キラートマトやキラードーナツはおなじみの「ギュムギュム」とした鳴き声ですが、カブトガニも同じような声で鳴きます。

 


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カブトガニって水中に生息する節足動物だし、鳴き声なんかあるのかと思うかもしれませんけれど、新種のカブトガニは鳴くそうです。

考えてみればカブトムシだって鳴く種類がいるわけですし、そんなにおかしなことではないのかもしれません、

 

何と言ってもテンポがいい

 

いろいろ細部のいいところを見てきましたが、結局これにつきます。前半ではホラー映画なのでなかなかカブトガニが出てきませんが、前述の通りキャラクターがいいので、飽きずに人間ドラマを追っていくことができました。

そして後半、怒涛のカブトガニ襲来で最後まで駆け抜けていきます。安っぽいCGだとか、中に人が入ってそうなカブトガニの造形だとか、一ミリもセンスを感じないロボットだとかいろいろ出てきますけれど、それぞれ絶妙に低クオリティなのが逆に全体としてみれば調和がとれていて、そしてそれぞれの動きのうさん臭さもものすごくセンスを感じました。

やはり神映画は違いますね。おそらくジェームス・キャメロンも舌を巻くのではないでしょうか。

 

gzdaihyoryana.hatenablog.com

 

 

カブトガニ年最初の投稿なので、『キラーカブトガニ』についてでした。

手放しに褒められる神映画なのでぜひ鑑賞しましょう。

カップルで仲良くカブトガニ、友達とワイワイカブトガニ、ひとりで静かにカブトガニどれも楽しめると思います。

注意点としてはR指定があるので親子連れでは見に行けないということです。

しかしお子様が大きくなってから、親子でカブトガニというのもありですね。

次のカブトガニ年の頃に鑑賞するのも一興だと思います。

 

というわけで今回はおしまいです。

Z世代の代表ブログは今年も適当にノリで書いた作品紹介記事をいくつか載せるので、よろしくお願いします。

それでは~