お久しぶりです
Z世代の代表RYANAです。
もう年が終わり年も暮れようという時期
いろいろなことがあった2024年ですが、読書界隈で最も話題になった著作がこちら
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』
私も働いているのでこの本を読めていないのですが、SNS上の皆様方の「たしかに働いては本も読めない」という共感の声を多数目にしましたし、きっかり読めなくなったという声も結構見かけました。
私も最近は週6出勤9-21時(土曜隔週といったな、あれは嘘だ!)で働いていますし、ゴリゴリの営業会社で朝出勤しますと、オー●ン●ウス的大声朝礼をやっているとってもアットホームな職場なので、確かに働いていると学生みたいに時間の余裕がないなあなんて思ったりもします。
そんなジャパンの平均的職場環境で働く私が、いかに本が読めなくなったのか。
なんとか私が今年中に読み切れた本をかき集め、「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を実証していこうと思います。
働きながら読んだ長編シリーズ その1
不勉強だったのであまり詳細を知らなかったのですが、巷で有名なマドレーヌだの意識の流れだのという要素は本書のほんの一部分。
中心となるのは19世紀末から繰り広げられる社交界の描写であり、そこで描かれる貴族そしてブルジョワのスノッブさのなんと滑稽さがなかなか面白い作品です。
登場人物の言葉や彼らの持つ歴史的な文脈をこれでもかといわれるほど執拗に描きこんでおり、様々な背景や階級の持ち主が持つプライドや偏見、無意識レベルの固執などが詳細に描かれており、まさに人間そのものを様々な角度で描き切った作品といえます。
(批評などで読んだこともないのに、想起の描写があるたびに「マドレーヌ!マドレーヌ!」と物知り顔で書き立てるような書き手はまさに作中で描かれるスノッブたちに重なる)
しかし残念なことに、本が読めないような状況に置かれてしまっているので、残念ながら全部は読み切れていないのですが、現在9巻、「ソドムとゴモラ」まではなんとか完読いたしました。
文学批評のみならず様々な言論に登場する本作。本好きを名乗るならば基本完読しているような名著ですら読み切れていない状況はまさに「働いていると本が読めなくなる」ことを実証するといっても過言ではないでしょう。
(5月完読予定です!早まるかも?)
働きながら読んだ長編シリーズ その2
時代は紀元180年ごろ、黄巾の乱が巻き起こり後漢が崩壊しかかっている中国から物語が始まります。(劉備目線であるものの)群像劇であり、登場人物もかなり多いため、ちょくちょく調べながら読み進めました。
本来は正史(実際にあったかどうかはともかく)、陳寿の『三国志』などをしっかり読んでから、『三国志演義』を読み、そこから日本の三国志コンテンツを楽しむというのが作法というものなのでしょうが、なにせ働いているのでむずかしく、邪道とは思いながらも吉川英二のものをいきなり読み進めました。(残念ながら8巻で止まってしまってます。赤壁の満足度が高すぎました)
ちなみにお気に入りの登場人物は孫乾です。
働きながら読んだ長編シリーズ その3
フランク・ハーバート 『DUNE』
今年の春に公開された映画が凄すぎたので本も購入。
半年近く寝かせてから読み始めた本作、映画とあまり変わらないけれど(リンチ版も大筋は変わらない)小説はよりお母さん(ジェシカ)の印象が強かったり、陰謀や策略の描写も詳細でかなり楽しめました。
でもラストはドゥニ・ヴィルヌーヴ版のほうがよかったかな。
あれは続編の『砂漠の救世主』を念頭に置いて撮られているらしいのだけど、残念ながらまだ読めていない。
(働いているから読めていない!)
働きながら読んだ長編シリーズ その4
本作も同様にいままでなぜ読んでないんだという名作。
(もはや「働く前から別に本は読んでいない」であることがばれてしまっただろう)
ただ本作は実は初めてではないのです。かつて私が一桁の年齢だった時、『ハリーポッター』や『ダレン・シャン』がいけるならこれも読めんだろと高をくくって挑むも、ホビットの説明に返り討ちにされた経験があります。
(そしてわたしは『ドラゴン・ライダー』に逃げた)
しかし今回はなんとか完読することができました。
映画だとあまり描かれなかったエオウィンのお話や、サルマンのその後などが詳細に描かれていて、綿密に設計されたトールキンの世界を堪能することができました。
来年は『ホビット』や『シルマリルの物語』にも手を出そうかなと考えています。
以上が働きながらなんとか読んだ(読んでいる)長編シリーズになります。
(ほかにも『プロジェクト・へイル・メアリー』とかいろいろ読んでたけど割愛)
働きながらなのであまり読むことができていないのですが、一応小説以外にもドーキンスの『利己的な遺伝子』やノーベル経済学賞を受賞した『国家はなぜ衰退するのか』なども一応完読しております。
(みんな大好き「ミーム」の元ネタ。しかしミーム論らへんから論調が怪しい)
(英米仏の統治システムが豊かさをもたらした現代から読み解く経済史。包括的な社会システムは国民のインセンティブを刺激しイノベーションを巻き起こす一方、収奪的な社会、つまり独裁はインセンティブを委縮させ徐々に衰退していくという主張を様々な歴史上の実例をもとに繰り広げる)
働きながら読んだその他の本
ここまでなんとか読むことができたものを紹介しましたが、長編シリーズはやはり働いていると厳しいものです。
ということで割と短めの読書について、印象に残ったものをいくつか紹介したいなと思います。
短めの読書 その1
そのタイパのよさから(ソースはNHK)近年類を見ない大ヒットを飛ばした名著。
古い訳とは思えないほど読みやすく、内容もキャッチーでとっかかりやすいです。
私もミーハーなのでもちろん読みました。(流行に踊らされるのがZ世代です)
100年のとタイトルにはあるが実際は150年くらいなのかな。南米の急速な近代化を背景にある一家の数奇な運命が描かれます。
アルカディオとアウレリャノ(半分くらい雑に死ぬ)多すぎ問題はありますが、欧語文学としてはもっとも読みやすい作品だとおもいます。
(アマランタが好きです)
短めの読書 その2
マックス・ウェーバー 『政治の本質』
ひさびさに政治学の本でも読みたいなと思って安かったので読んでみた本
マックス・ウェバーの考える理想の政治像(権力は絶対的に必要、しかし金権政治にならないため仕組み(それなりの給与を払う))に論理の上では納得しつつも、実際にはそうはなってないよなあなどと考えたりしました。(うっすい感想)
シュミットについては正直あんま覚えていないです。
(覚えてなくても無意識に影響受けていたりするから怖い)
短めの読書 その2
アレクサンドル・ソルジェニーツィン 『イワン・デニーソヴィチの一日 』
ソ連時代の収容所の一日を描いた小説
めちゃめちゃ悲惨な状況なはずなのになぜか明るさが漂うユーモラスな作品でした。
登場人物が元軍人やら映画監督やら敬虔なクリスチャン(スラブ語圏でこれが正しいかはわからないが)やらいろいろな人がいて、他民族国家ソビエト連邦の多様性を感じました。
短めの読書 その3
へルター・ミュラー 『澱み』
ルーマニア出身のドイツ語圏作家、へルター・ミュラーによる短編集。
中東欧文学は、農村のネチネチした人間社会、家畜や小動物の気色悪さ、排泄物などを煮詰めたような作品が多いのだが、本作も難解かつグロテスクな作品で、まさにタイトル通り水たまりの澱みを眺めているような気分になります。
内容は超現実的なのにも関わらず、ナラティヴは写実主義で、ゆがんだ社会で育った子供の認識する「世界」を描き出しているのかもしれません。
短めの読書 その4
嵯峨隆 『アジア主義』
世界を覆いつくした西洋文化への対抗として生まれた「アジア主義」についての概観を抑えられる名著。
平たく言えばアジアで連帯して西洋に対抗しようという考えなのですが、日本によるアジア諸国の保護から侵略を肯定するような思想など様々なものを分析しています。
孫文によるアジア主義など、中国のアジア主義はかなり興味深く、当時の中国から考えたアジアの連帯思想が、日本の失敗を経て現在どのような意味を持ちうるのかを考えるきっかけとなりました。
(本書は国家ではなく国民同士の連帯を呼び掛けて終わる。)
結論 「働いているとやはり本は読めなくなる」
実はほかにも今年読んだ紹介したい本はあるのですが(下に覚えている分を羅列しておきます)、面倒あんまり長いと働いている方に読んでもらえなくなってしまいそうなので、この辺にしておこうと思います。
学生をやっていた時にくらべて、今年の読書量は3分の9くらいになってしまいました。
確かに毎朝早く起きて、夜遅くかえってきて、週に1日しか休みがないので本を読む時間がなかなか取れません。貴重なお休みの日は映画を見たり、お出かけしたり、飲みに行ったりしなくてはならない場合も多いので、なかなか読書の時間は取れません。
会社人には本を読む時間がない!
万国じゃなくていいので、日本の労働者団結しましょう。
ベーシックインカムの導入案に満場一致をいただいたところで、今回はおしまいです。
それでは!