『緑髪という人気キャラクターの属性、なぜ緑髪ヒロインは時代を超えて愛されるのか。』
タイトルを見て違和感を持った人も多いかもしれない。
なぜか巷では緑髪は不人気という偏見が蔓延しているからだ。
確かにプリキュアでも緑色のキャラクターは比較的少ないし、戦隊物のように五色(赤青緑黄色ピンクなど)の場合に緑色というのは目立ちにくいのは事実だ。
しかしそれ以外のアニメや漫画、ゲームなどでは数多くの魅力的な緑髪のキャラクターが登場している。
そしてそれらを俯瞰してみると緑キャラがいかにポピュラーであるかわかるはずだ。
(実は赤や青などとは比較にならないほど人気がある緑キャラ。ここで緑色の人気キャラクターをおさらいして、正しい知識を身に着けましょう。)
というわけでキャラクター紹介
最初に紹介するキャラクターはアニメ『うる星やつら』の看板ともいえるこのキャラ。
ラムちゃんだ。
もちろん皆さんご存じのキャラクターだろうが、実はラムちゃんは原作では緑髪ではない。
(高橋留美子の書き下ろしイラスト(多分))
(緑で書かれることもある。)
(最近のラムちゃん。緑を主体としているが、基本的には七色)
原作においては七色にキラキラと光る髪という設定であったが、当時アニメ化する時にそんな髪色にするのは難しかったのか緑髪になった。
(ランちゃんなんかアニメ化でピンク髪に・・・原作だと黒塗りなのに)
しかし緑髪のイメージがやっぱり強いのでグッズなんかでも基本的には緑髪で展開されている。
(高橋留美子は新潟出身なのにタイガースファン)
ラムちゃんというキャラクターほどセンセーショナルなキャラクターはいないだろう。
トラ柄のビキニに語尾に「ちゃ」をつける特徴的な口調。
80年代初頭は女性向けが中心だったコミケだが、『うる星やつら』は最初期に人気のあった男性向けコンテンツの一つだった。
コスプレ界隈の歴史もラムちゃん抜きに語ることはできないし、ラムちゃんのビジュアルが日本のオタク文化に与えた影響は図り知れない。
ラムちゃんというキャラクターは最もポピュラーなアニメのヒロインであるのは間違いないし、そんなラムちゃん一人でも緑髪は大人気属性だと断言できてしまうだろう。
(しかし謎多きキャラであるラムちゃん。ラムちゃんとは何かというのがアニメ『うる星やつら』の命題で、劇場版の2・3・4はすべてラムちゃんについての考察です。)
しかしこれだけでは終わらないのが緑髪属性である。
続いては90年代。
『To Heart』からマルチである。
(オタマ持っているのがマルチ)
彼女のことは意外に知らない人が多いかもしれない。というか『To Heart』を知らない人もいるだろう。
というわけで『To Heart』から説明する。
90年代に大ブームを巻き起こした美少女ゲームだが、大まかな歴史をたどると、『同級生』のようなナンパゲーム、『ときめきメモリアル』のような育成ゲームという風に発
展していった。
しかし現在に至るまで最も普及したフォーマットは選択肢から分岐するノベルゲーム的なものであり、そしてその転換点とでもいえる作品が『To Heart』なのだ。
(ただ『To Heart』は思ったよりもゲーム性が高い。ヒロインととにかく会わなければならないのだが、どこにいついるかいちいち覚える必要があるし、攻略ヒロインだけでなくて、指定のヒロインの好感度が一定より低いとルートに入らなかったりする。)
(元々はWin95のゲームだが移植もある。)
そしてそんな偉大なゲーム『To Heart』だが、 ヒロインの中でも圧倒的な人気を誇っていたのがこのマルチである。
マルチ、正式名称HMX-12は家事を手伝うメイドロボットなのだが、いわゆるドジッ娘キャラである。すぐに転びそうになったり、「はわわっ」と言ってオーバーヒートしたりして家庭用ロボットとしてはポンコツだが、その愛らしさ、そして健気さが当時のオタクの心をわしづかみ、ゲーム的には後半部分にしか登場しないにも関わらず、90年代の美少女ゲームのキャラクターでも最も人気のキャラクターとなったのだ。
(「はわわ」に関しては、マルチが発祥とも言われているけれど、実は本編ではあまり言っていないらしい。同人にて広がったとのこと。詳しくは高橋龍也氏のTwitterへ)
そして彼女のメインストーリーはいわゆる「泣きゲー」と言われるジャンルのルーツの一つともいわれており、その後のオタク業界に多大な影響をもたらした。
またメイドロボットという属性に関してもその後多くのフォロワーを産み、マルチは90年代末から00年代前半にかけ(オタク文化では)最も重要なキャラともいえるかもしれない。
(ロボヒロインは当時人気のあった属性の一つ。『A・Iが止まらない』は「マンガ図書館Z」で読めるはず。)
(ちなみに今季アニメは葉鍵に加えて、丸戸、衣笠など有名ライターが数多くそろっていますね。)
そして続いては00年代。
00年代にはランカ・リーだとかCCだとか数多くの超大人気緑髪キャラが産まれたが、彼女たちを抑えて文句なしに最も人気なキャラクターはもちろん、
初音ミクである。
(青や白に近い緑だが、緑は緑なので)
正直彼女について、説明もいらないだろうがすこしだけ。
初音ミクはヤマハの作ったボーカロイドであり、00年代後期から10年代前期にかけてはニコニコ動画を中心に、現在ではYouTubeを中心に楽曲が提供され続けている。
おそらくここ20年で生み出されたヒロインの中でも最も長い間多くの人に愛され続けているキャラクターである。数多くの企業とコラボレーションしたり、歌舞伎に出たり、なんなら今人気の邦楽ミュージシャンの多くが初音ミク出身だったりする。
もはやオタク文化という枠を超えて、日本のポップカルチャーの中心と言っても過言ではない初音ミク。そしてそんな彼女の髪は緑だ。
やはり緑という色は人を惹きつけるなにかがあるに違いないだろう。
(今季アニメ『邪神ちゃん』三期にも登場した。)
そして10年代から現在にかけて、なのだが残念ながら緑髪の超有名キャラクターはいない。
とはいえ10年代からの人気キャラクターの多くは、黒髪、金髪なので仕方ない。
流石に緑ほどの人気色であっても、黒髪や金髪には層の厚さでかなわないのだ。
(勝てない・・・)
しかし先述の初音ミクは現在に至るまで、最も人気のキャラクターで居続け、新規のファンも増え続けているのを見ると、人々が緑を求める気持ちに変化はないのだろう。
きっともうそろそろ大人気の緑髪キャラが登場するはずだ。
(人気だけど、緑髪ではないんだよね。)
なぜ緑は不人気なのか?
これだけのキャラクターが揃っていて、なぜ緑が不人気だと言われるのか。
これはおそらく色相環が関係しているのかもしれない。
戦隊物的な色彩を採用する場合、採用される色は大体赤、青、黄、緑、ピンク。
この配色はバランスが取れていて、配色としては正解ではあるが、緑という色を犠牲にするものなのだ。
まず重要なのは彩度。
彩度とは色の三原色赤、青、黄に近ければ近いほど高くなるのだが、その名の通り鮮やかに見えるという。
そのため戦隊では赤、青、黄が最もくっきりとした印象を受けるのだ。
そしてピンクだが、彩度は低いが、明度が高い。
明度とは単純化して言えば白にいかに近いかということで、白>灰色>黒という順で明度が高くなる。
(メイドじゃないよ。)
そして赤と白を混ぜたピンクと言うものは明度が高いので、周りの環境次第では非常に目立つ。
そして極めつけに問題なのは、緑という色が主役になりがちな赤の反対色であるということだ。
反対色とは色相環の正反対に位置する色のことであり、この二つを組み合わせると彩度が上がって見える。緑色のマットに赤身を置くと際立つのと同じ理屈だ。
(緑のおかげて赤が際立っている。おいしそう)
そのため緑色と並ぶと赤は際立つのだが、残念ながら緑は脇役。みんなの視線は赤ばかりにいってしまうのだ。
ただそれは戦隊的なカラーを用いていた場合だけの話であって、それ以外の事例には関係がない。そして工夫によって戦隊的なカラーであっても緑で人気キャラクターになるヒロインもいる。
(ララるん。左から二番目。『スター☆トゥインクルプリキュア』で最も人気のキャラ。彼女の色は青よりの緑。そして明度が高いので背景が暗いと際立つ。またピンクの主人公を際立たせるほどの強烈なコントラストはないため、お互い程よく目立っている。)
終わりに
緑髪は不人気という偏見を少しは取り除くことができただろうか。
ちなみに言うと私は緑という色が特別好きなわけではない。
基本的には好きな色は紫であり、自身の身の回りのものを紫でそろえていたりする。
そして面接で「あなたを色に例えたら?」などと聞かれたらこう答えるだろう。
「黄色です。私は異なる相手と切磋琢磨し新しいものを作り上げることが得意です。(大嘘)そして黄色という色は、赤や青という個性の強い相手と混ざりあい、オレンジや緑といった新しい色を作りだすことができます。こうした意味で私は黄色だと思います。(吐き気)」
なんの話だ。
(わたしは配色や色彩に関して素人なので間違ったことを言っているかもしれないです。もし間違いがあれば遠慮なく指摘してください。)
まあともかく緑にあまりこだわりはないのだが、明らかに偏見が蔓延っているのでこんな記事を書いてみた。
(『ごちうさ』では千夜ちゃんが一番好き。でも千夜ちゃんって別に緑じゃないよね。)
また単純に色で判断したりするのが嫌いというのもある。
人は十人十色だが、キャラクターだってそうである。
陰気な赤がいてもいいし、熱血な青がいたっていい。なんなら黒が闇属性である必要だってない。
どんな色であっても認め合う世の中を目指して。
それでは。