Z世代の代表 作品紹介

一号とRYANAがZ世代ならではの視点でさまざまな作品を紹介します。

『伝説のゲーム『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』再販だと……』

どうも、平成レトロ趣味のZ世代の代表RYANAです。

 

とんでもないニュースが舞い込んできました!!!

なんとあの伝説のADV、この世の果てで恋を唄う少女YU-NOWindows版が、最新OSに対応して発売されるんだそうです。

www.fanzagames-digination.com

 

実は数年前くらいにリメイクされているので、リメイク版であればSwitchだとかで気軽にプレイすることができるのですけれど、でもやっぱりオリジナルの絵柄やBGMの雰囲気でぜひプレイしていただきたい作品です。

 

 

YU-NO』ってどんな作品?

有名なゲームではありますけれど、やっぱり古い作品なのであんまり詳しく知らなかったり、全く知らなかったりという人も多いかもしれません。

ということで簡単な詳細をご紹介させていただきます。

 

 

この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』は1996年、「MSDOS」向けのゲームソフトとして発売されました。

すごくざっくりとしたことを言うと、「DOS」とは現在主流であるWindows以前のOSで、96年はWindowsに完全に切り替わるギリギリの時代でした。

(つまりオリジナル版はWindowsでは動かないです。普通のやり方では……)

美少女ゲームというニッチな市場で発売されたものの、その洗練されたゲームシステムや、スケールが大きく奇想天外ながらも詳細に作り込まれたシナリオが評価され、セガサターンに移植されるなど、美少女ゲーム界隈のみならずADVゲームの中でも大きな存在感を放つ作品です。

そして発売から長い時間がたっても数多くのクリエイターが影響を公言するなど界隈では伝説のゲームとして、令和の時代になってもなお根強い人気があります。

そして2019年にはSwitchやPS4にてリメイク版が発売され、またテレビアニメも2クールわたって放送されました。

(正直なところテレビアニメの出来は……)

 

今回再販されるのは2000年にWindowsに移植された時のものです。

このヴァージョンを今買おうとすると、まんだらけ駿河屋のガラスケースの中に鎮座していて、結構お値段がはるということ、そしてwindows2000にしか対応していないのでもしかするとお持ちのパソコンでは起動しないということもあり得ます。

 

つまりいままでオリジナルCGやBGMを楽しみながらプレイするには、セガサターンを買うか、動くかわからないのにプレミアム品を買うか、それともなんとかDOSを導入してオリジナルを起動させるかしかなかったのです。

(注意点として96年から倫理規定が変化し、windows版では重要な要素がカットされてしまっている。そのため本当はシナリオ的にはオリジナルをプレイして欲しい。ただオリジナルは難易度が高く、なおかつ動作がめちゃくちゃ遅い。操作感も悪い。そしてなんといっても起動するのがめちゃくちゃめんどくさい。)

 

結局『YU-NO』ってなにがすごいの?

 

YU-NO』という作品がなんだかすごい作品だということは分かった。

「しかし具体的に何がすごいの?老人のノスタルジーじゃないの?正直産まれるまえの作品なんて現代の作品に比べて大したことないでしょ。」

まあ大体こんな感じの感想をもったりしてるのではないのでしょうか。

分かります。私も結構期待して老人がオススメする作品を鑑賞したりプレイしたりして、「あれっ?こんなもん?」ってなったりすることも結構あったりします。

だけどこれは伝えたい。『YU-NO』は間違いなく本物。

ゲームだとかアニメ、そしてドラマ、ことさらにパラレルワールドやループといったジャンルについて造詣を深めたいという方、物語のメタ構造について興味がある、レトロなドットCGやFM音源に関心があるという方は間違いなくやる価値のある作品です。

 

まずCGがすごい!

90年代、『YU-NO』という作品は当時美少女ゲームの中でも最大手であったelfというブランドから発売されました。

Windowsよりもゲーム開発に制約が多い時代、例えば画面に16色しか同時表示できない時代だったのですが、その16色時代の美少女ゲーム界隈のCGのクオリティはおそらく世界でも最高峰。そしてYU-NOはその16色時代の集大成ともいえる代物です。

 

(今度アニメ化するらしい90年代美少女ゲーム界隈を舞台にした作品。)

 

そして何と言っても画期的なシステム「A.D.M.S」

そして『YU-NO』が現代にいたるまで伝説のゲームになった所以。それはADVゲームの究極の到達点と言えるADAMSというシステムにあります。

このシステムを言葉で説明することは難しいのですが、ADV世界において主人公がゲーム内で体験する可能性を、フローチャートとしてプレイヤーに見えるようにしただけでなく、そのフローチャートを作中の設定とゲームシステムに組み込んだものです。

ja.wikipedia.org

(少し分かりにくいなという人はWikiの「システム」という欄をを見てみましょう。

 

YU-NO』ではプレイヤーが街を歩き回り、イベントをこなしていくのですが、行く場所や持っているアイテムによってストーリーが分岐します。

そしてその分岐した道筋が「リフレクターデバイス」にフロ―チャートとして表示されていきます。

そしてアイテムであるリフレクターデバイスには「宝玉」というアイテムが付属しており、その「宝玉」はストーリー中に置くとセーブすることができるのです。

「宝玉」を置いた地点は「リフレクターデバイス」に表示されるフローチャートに表示され、一回だけ置いた地点に戻ることができます。

そして「宝玉」は初期状態だと二個ですが、フローチャートの様々な分岐地点に存在しており、ゲームの目的としては平行世界を宝玉を使って飛び回りながら、宝玉を集めることです。最終的には8個手に入れることができます。そして8個手に入れると……

 

つまりどういうこと?

 

フローチャートやセーブというものは選択によって物語が分岐するゲームにおいて、メタ的に存在するものです。

目には見えなくとも、例えばヒロインAを選ぶBを選ぶという選択肢がゲームに表示され、プレイヤーはその場でセーブをし、Aのルートをプレイした後にセーブ地点に戻ってきてBのヒロインのルートを選択する。するといままで隠されてきたCのヒロインのルートが解禁される。こうしたシステムのゲームはよくあります。

そして『YU-NO』という作品はそうしたルート分岐やセーブという作品の仕様を、ゲームの世界観設定やアイテムに組み込んでしまったとんでもないゲームなのです。

そして恐ろしいことにそのゲームのメタ構造をSF的な理屈をつけて説明してしまいます。そして作中にはなぜ平行世界を行き来できるのかということを説明した論文まで存在していて、それっぽい数式や理論が説明されています。

(気になる方はWikiを見るか、公式ガイドブックを手に入れよう)

 

分かりやすく言うと『シュタインズ・ゲート』みたいなものですが、『YU-NO』はその物理学SFの上に民俗学やら哲学、そしてガッツリファンタジー世界要素もあるので、とんでもなく情報量の多い作品なのです。そしてその作品設定がシステム、そしてメタ構造とマッチしておりとんでもなく繊細に作り込まれた作品になっているのです。

 

後世への影響

 


www.youtube.com

(ちなみに『シュタインズ・ゲート』は製作者が影響を公言していたり、リメイク版を作ったり、コラボしたりしているので『シュタゲ』好きな人はぜひやってみましょう。)

 

SF設定やメタ構造という視点で見ると、平行世界や世界の分岐ということをテーマにした作品が、『YU-NO』の影響から免れることはおそらくかなり難しいと言えるのではないかというほど、影響力が大きい作品となっております。

私的には『うる星2』と『YU-NO』さえ押さえておけば、他のループものやメタ構造系のアニメゲーム作品を鑑賞する時、だいたいの手がかりになると考えているほどです。(要出典)

個人の主観はともかく00年代から現代にかけて大量に生産されたループものや平行世界ものの中には『YU-NO』の影響を公言した作品が少なからずあり、やはり文化的に非常に重要な作品であると言えると思います。

ちなみに『YU-NO』はオタク文化をアカデミックに論じる際に必ず読まなければならない、『動物化するポストモダン』という新書の結末で取り扱われている作品であり、そういったアカデミックな層からの支持も大きかったりします。

 

(受験にも出題される本。わたし的には大味で批判すべきところも多い著作だと考えている。)

www.4gamer.net

(この記事を読めばADVの歴史と『YU-NO』のすごさがより理解できます。)

 


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注意点(微ネタバレ)

 

そんな非常に興味深い作品である『YU-NO』なのですが、プレイする際に注意点がいくつかあります。

まずこのゲームがアダルトゲームだということです。

まあ確かにコンシューマー化されていたり、エロティックなポルノグラフィだけで受けた作品ではないのですが、思ったより内容はハードです。

ヒロインが近親近親近親近親と近親だらけだったり、プレイ内容もNTRNTRNTRNTRと割と尖っているので、keyのゲームのような純愛を求めてやるとあれってなります。

またカニバリズムなどわりと倫理を踏み越えた内容も多いため、そういったものに耐性のない方は回避することをおすすめしたいです。

また古いゲームなのでシステム的には結構不便だったりします。そのため、もしシステムが心配と言う方はリメイク版でプレイすることを推奨したいです。


www.youtube.com

NTRをゲームとして最も効果的に演出するためにマルチサイトシステムをおもいついてしまった天才剣乃ひろゆき。『YU-NO』はNTRで鍛えた想像力から生まれたのかもしれない)

 

最後に

 

YU-NO』はZ世代の代表である私でも、とってもやりがいのある作品です。

自分が産まれる前から、こんな作品があったということに強い感動を覚えましたし、時代性を考えなくとも、あの作り込まれた世界観や設定、そしてシステムの緻密さには感激しました。

間違いなくプレイして損はないです。当時を懐かしむひとだけでなく、私と同世代のZ世代の方々にもぜひプレイしてもらいたい作品です。

 

今回は緊急で『YU-NO』についてでした。

またお会いしましょう。

それでは~