Z世代の代表 作品紹介

一号とRYANAがZ世代ならではの視点でさまざまな作品を紹介します。

2022年11月、人類が80億を超えたから、今から世界は田中ロミオ記念日

アッサラームアライクム

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80億超えたらしいです。早いですね。

わたしが小さい時なんて、人類60億なんて歌われていたのにもう80億。


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まあ世界中に虫は人間の何万倍もいるわけですし、蟻ですら2京匹もいるんで、人類なんて本当に虫けら以下の存在なのは間違いないわけです。

しかし我々人類は霊長類(笑)なので、せいぜいチンパンジー程度の個体数と比べなくてはフェアではないかもしれません。

そう考えるとチンパンジーはせいぜい10数万、つまりチンパンジーに比べ人類は8万倍も増殖しています。やはり異常な生き物であることには変わりないのでしょう。

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とはいえ人類の異常発生は別に驚くべきことでもなく、割と予想されてきたことだったりします。しかし異常は異常、やっぱりその裏にSF的ななにかを感じなくもないのが、大量発生と共に産まれたサイエンス・フィクションのロジックであると言えます。

 

というわけで『ソイレント・グリーン』の紹介といかないのが本ブログのひねくれたところ。

なぜかここで田中ロミオをおすすめするのがZ世代の代表です。

 

ところで田中ロミオと言えば、なにを思い浮かべるのでしょうか。

これは結構人によってまちまちで、例えば妹ブーム黎明期に妹を守ってあげたいと思った『加奈 いもうと』派のお兄ちゃんたち、『家族計画』をプレイして軽快なギャグと強く生きる高屋敷家を見て、疑似家族を疑似体験したロリコンたち、『CROSS†CHANNEL』に入り込み過ぎて、毒電波をネットに発信する社会不適合者たち、コンプレックス学園ラブコメのパイオニアである『AURA』をバイブルとする元中二病患者たち、鍵っこなのになぜか『Rewrite』が好きなシンプルな変わり者たち、そして『人類が衰退しました』に魅せられたちょっとマイナー志向なアニメオタクもとい妖精さんたち。

もちろん『星空☆ぷらねっと』が一番好きだという人もいるでしょうが、メインはこんな感じでしょう。

それにしてもここまでいろいろな人種に様々な角度からマイナーながらも愛された作家はあんまりいないかもしれません。

そしてその発掘したジャンルの広さ、そしてフォロワーの多さから、わたしは勝手に00年代オタク文化の裏ボスだと思っています。

 

 

 

彼の魅力は何といってもその文章。あの軽快なリズム感と、圧倒的教養に裏打ちされたウィットはだれも真似することができません。

 

そんな田中ロミオですが人類80億記念でおすすめしたいのはやっぱりこれ、『最果てのイマ

人類が80億を超えると何が起こるのか。

そんなことを資源問題というよりも、メディア論や他者論、社会思想、情報科学の観点から拾い上げたSFです。

とはいえこのゲーム。

魅力を説明してしまうと、かなりネタバレになってしまうんです。

こんな人におすすめということでキーワードだけ。

マクルーハンのメディア論とドーキンスのような機械的な人類史観。

社会契約と文化人類学、物語の主人公論。

物語の語りとループものの欠点をついたノベルゲームのメタ構造。

平たく内容を説明しますと、前半部分はジュブナイルアドベンチャーの名に恥じない、近未来青春SF。思春期らしい他者との接し方だとか、距離感だとかそういったことをテーマに、没落していく国のアンニュイな雰囲気を漂わせながら進む青少年たちの聖域についてのお話。

後半部分は戦争編です。戦争といっても敵はきっと皆さんの予想もつかないものです。しかし馴染み深いものでもあります。多くのひとはそれに苦しめられたり、押しつぶされそうになったこともあるようなものでしょう。

そしてネットによって世界の距離が狭まり、80億の人類がお互い簡単につながれるようになった時代に何がおこったのか。非常に示唆的な展開があなたを待っているはずです。

シナリオはゲームとして破格の難解さを誇ります。

絶対に初見はなんのこっちゃってなります。

難解な点としては、単純にSFレベルが高いこと。これはある程度の生物学、情報科学精神分析についてのSF的知識がなくてはついていけません。造語も多いです。しかし造語は恣意的なものではなく、かなりロジカルに作られているので、よく考えて取り組みましょう。

次に難解なのはプロット。あんまりここで説明するとネタバレになるので、抽象度マックスで例えると、『君の名は』のプロットを100倍くらい難解にした感じです。

そしてなんといっても厄介なのは、SF的な設定を社会的な現状であると誤読させてくる語りです。信頼できない語り手であることはもちろん、かなりバイアスのかかった語りなので、整理するのがかなり難しいです。

 

とまあこんな難解な作品ですが間違いなく名作。

わたしはあんまり作品の良し悪しについてこの場で言いたくはないのですが、美少女ゲームの中で最も優れている作品は何かと問われれば、間違いなく『最果てのイマ』と答えます。

時点で『マブラヴ』か『ランスシリーズ』です。

 

 

ちなみに『最果てのイマ』をプレイした後におすすめしたいのが、『人類は衰退しました』。

田中ロミオの人類史観を知ってから本書を熟読すると、この作中が文化についての本であるとよくわかるでしょう。

 

別のベクトルですが『終のステラ』も彼の人類史観が今はやりのAI史観などと重なっていい味を出しています。ぜひアニメ化して欲しい作品です。

 

 

というわけで今回は田中ロミオと『最果てのイマ』についてでした。

最果てのイマ』は過小評価されすぎな作品だとわたしは思います。

この機会にぜひ手にとってやってみましょう。

注意点としましては、PC版のオリジナルもフルボイス版もWindows10で動きません。XPで起動するか、おとなしくDMMでcompleteを買ってください。

わたしはXP搭載のパソコンをわざわざ買いました。

意外に重宝しています。

そんな感じで今回は終わりです。それではまた来月お会いしましょう。

 

マアッサラーマ!!!