Z世代の代表 作品紹介

一号とRYANAがZ世代ならではの視点でさまざまな作品を紹介します。

『電波ゆんゆん?電波系作品の手引き。これで君も毒電波使いだ!』

電波系についてならまずはこんな感じで。

 

 

「告発を行います。警告を行います。

現在、日本は、極悪非道最凶外星人によって、猛毒電波の、大量照射による洗脳が行われています。猛毒電波は、脳細胞、並びにニューロンを、破壊します。外星人の照射によって、シナプスは、1000分の一秒の間に脳内に、点滅を引き起こし、電気パルスを、形成します。100億ほどの、神経インパルスが、破壊・・・」

 

 

 

 

頭がおかしくなるので終了。

ということで今日は電波系についてだ。

このテーマが流行ったのは基本的には90年代。オカルトブームのなごりがまだ残っていて、怪しい雰囲気が立ち込めていた時代だ。

最近はあまりこの手の作品は作られないけれど、「三大電波ゲーム」と呼ばれるものについての動画が、YouTubeで100万再生を越えていたり、都市伝説系YouTuberの人気があったり、まだまだ需要はある。というか伸びていくのでは?と思ってこんな記事を作るに至った。

 

※(今回はアダルトゲームも紹介します。苦手な人はブラウザバック。R18イラストは載せません。)

 

というわけで、電波系の作品を何作か紹介していこうか。

 

 

それでは電波、照射開始。

 

 

(ゆんゆんゆんゆん)

 

今回は時代順に追って紹介。

 

新興宗教オモイデ教』 大槻ケンヂ

 

「憧れの女の子、さえない主人公、謎の新興宗教、メグマ波。」

 

妻子持ちの教師との関係から、精神を病んで学校から去ったなつみさん。しかし一月後、新興宗教オモイデ教の信者になって主人公の前に現れた。主人公は電波なお話を聞かされて、主人公も宗教同士の争いに巻き込まれていく。

電波系の流れを決定づけた名作にして、ゆがんだ青少年のコンプレックスをこれでもかというほどえぐる詳細な心理描写。電波抜きにしてもやはり傑作と言っていいでしょう。

購入するなら文庫版がおすすめ。なんと表紙はあの丸尾末広少女椿!)そして巻末には永井豪の解説が載っているのだ。電波系の金字塔。読まずに電波系を語ることはできないだろう。

 

 

 

『雫』

 

Leafビジュアルノベルの始祖にして、電波系アダルトゲームの祖」

 

狂気にあこがれる主人公。毒電波。屋上で電波を受信する少女。この辺のキーワードに興味があるならきっと楽しめるだろう。この作品には印象深いシーンが数多くあり、ストーリーと言うよりもそこを紹介したほうが分かりやすい。

世界中の人びとを殺す妄想をノートに書きこむ主人公、教室で「セ●●●」と連呼しながら自傷行為に励むクラスメイト、卒業式での乱交パーティー

そのいかにも電波というシーンが、絵の薄暗さとあいまって非常に不気味な雰囲気を醸し出している。(ただわたしがやったのはリニューアル版ですけどね。)

ちなみにこの作品でBGMを担当している折戸伸治氏はアクアプラスを退社した後、麻枝准久弥直樹樋上いたると組んであのkeyを設立する。くにうたこと鳥の詩は彼の曲である。きっと聞いたことのある人も多いだろう。

 

ja.wikipedia.org

(アダルトゲームのリンクはダメみたいなのでwiki)

 

「三大電波ゲー」

 

終ノ空』『ジサツのための101の方法』『さよならを教えて

 

令和以降、あまりに有名になってしまったこの括り。(もともと言われていたらしいけど、広まったのは令和以降かな)

私もここから電波系に興味を持ったわけですが、電波系復興のカギを握るかもしれない作品群だ。

しかし『ジサツ』に関してはプレミアムが付いていて、プレイできる環境にない。早くDL版を出して欲しいところだ。(あらすじと言うかプロットだけは見たことあるのですが、アニメ版うる星やつらの「愛とさすらいの母」に似てる?早くプレイしてみたい。)

さよならを教えて』に関してはまた別に記事を上げる予定だ。

終ノ空』は『素晴らしき日々』というリメイク?(というにはかなり別物)作品が出ている。どちらも衒学的で会話の内容が非常に不明瞭な作品ではあるが、そこを気にしなければ物語構造的に非常に面白い造りなのできっと楽しめるだろう。

 

 

 

とまあ主要なエンタメ作品はこんな感じだ。

電波系というくくりはかなり難しい。妄想と現実の区別がつかない精神病の話という大きなくくりであれば、古くは『砂男』から『カリガリ博士』、もっといくと『ドン・キホーテ』などに行き当たるだろう。

 

カリガリ博士(字幕版)

カリガリ博士(字幕版)

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(不気味なもの。狂気といえばやはりホフマン。『くるみ割り人形』のひとじゃないんだよ。)

 

 

ただ狭い意味での電波系の元ネタをたどっていくと、日本ではガロなどのサブカル系の漫画雑誌に行き着くみたいだ。私はガロ系に関して、特に80年代に関しては不勉強なのであまり詳しくはここで語ることができない。(ごめんなさい)

世界でもいろいろとあるはず(アルミホイルハット成立の由来とか)なのでこれから調べていきたいと思う。

(詳しい人がいたら教えてください)

 

毒電波という言葉の由来はこちら↓

https://www.1101.com/editor/2008-01-29.html

 

 

さて、まだまだ続きます。ここまで00年代初頭までの電波系だったのだが、次はその後の電波系だ。主戦場はアダルトゲームからライトノベルに移り、アングラ臭が抜けたさわやかな青春物としてのお話に電波と言うものが絡んでくる。ポスト電波系とも呼べるそんな作品群。

なんとあの『とらドラ!』の竹宮ゆゆこ氏だって、ポスト電波系のラブコメを書いているのだ。

 

 

 

  ではでは、照射

 

(ゆんゆんゆんゆん)

 

 

『AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜』 田中ロミオ

 

中二病系ヒロイン、スクールカースト系ラブコメの祖」

 

全一巻のライトノベルにおいて、これほどの完成度、そして影響力を持っている作品はない。そう断言できるほど優れた作品である。教室の中で繰り広げられるスクールカーストと呼ばれる格差社会、いじめ問題、邪気眼キャラなどを2008年の時点で取り入れていることはやはり注目に値する。

正直これを電波と言っていいのかは少し疑問が残るものではあるが、先ほどの『オモイデ教』でも『雫』でも示されている「日常から抜け出すために非凡にあこがれる少年・少女」というキャラクター。それは漫画やアニメ、小説、ゲームなどの読者並びにプレイヤーの分身であり、影響を受けた我々は現実世界において、オカルティズム、邪気眼、電波などに救いを求める場合がある。それがいわゆる中二病ネットスラングとしての)であり、本作のテーマでもある。現実と虚構どちらが正しいかは明白だが、なぜ人は虚構やロマンを、電波を求めるのか、きっと『AURA』を読めば少しはスッキリとするはずだ。

 

 

 

電波女と青春男入間人間

 

「宇宙人に救いを求めた少女と、ロマンチックだけど現実主義者な主人公」

 

これも有名な作品だ。アニメ版はシャフトだし(当時はすごかったらしい)、opは神聖かまってちゃん(vocalは別)。何と言っても厳しいライトノベル界で流行りのジャンルでもないのに何作もヒットを飛ばす超人、入間人間原作だ。

あらすじは『AURA』に似ている。虚構の世界に行ってしまったヒロインを主人公が現実に引き戻そうというもの。ただ『AURA』よりもずっとやさしい世界だ。

面白いのは宇宙と深海という対立。主人公は深海マニアなのだが、宇宙よりも確実に生物がいるし、結果が返ってくるからという理由。もちろん深海調査も大変なものではあるが、ほぼ0パーセント(ここでほぼなんて言葉を使うのはわたしが宇宙人を信じている証拠)であるロマンはやはり割に合わない。現実的なロマンを選ぶ主人公と宇宙人にあこがれるヒロインが対照的に描かれ、ヒロインも現実と向かい合っていく。

ただしこの世界、本当に宇宙人がいる世界であることがなんとなく明かされたりする。かなりゆるい世界観だ。そして青春ものとして、エンタメとして非常に楽しい作品であることは間違いない。社会不適合者(宇宙人)というテーマも脱社会的であるところも我々に染み渡る素晴らしいところだ。一度否定されたロマンがまた復活する。これが10年代以降の虚構との向き合いかたなのだろう。

 

 

 

というわけで電波系について語った。

青春のコンプレックスと電波系というものは相性がいいらしく、そんな作品を中心に紹介してみた。

 

私が触れたことのある作品はこんなところだけど、きっと世の中にはもっといろいろとあるはずだ。

ぜひこの記事を読んで電波の使い手になって、新たな電波系を開拓していって欲しい。

 

 それでは

 

(ゆんゆんゆんゆん)