みなさん『ぼっち・ざ・ろっく!』はもうご覧になりました?
去年の12月に最終話を迎えた本作ですが、全国の楽器店から作中で使用されたモデルが売切れたり、なんとニュース番組で社会現象として取り上げられたり、人気の勢いは留まることを知りませんね。
本作のキャッチコピーは「陰キャならロック」をやれということで、内気な女の子が対人関係に悪戦苦闘しながらも、なし崩し的に加入した「結束バンド」のメンバーと共に練習したりライブをこなしたりしながら成長していくお話。
確かに筋だけ見れば王道の青春モノなのですが、バンドメンバーとの団結力、そしてロックスピリッツでコンプレックスに立ち向かっていく姿は心打たれるものがあります。
『ぼさろ』を見てロックに興味が出てきた人も多いのではないでしょうか?
しかし意外とハードルが高いのがロックと言うジャンルで、識者に何から聞けばいいのとか尋ねてしまったらさあ大変。
おそらく好みのバンドのアルバムを50枚以上紹介されて、「とりあえずこれを聞け、話はそれからだ」みたいな感じになりかねません。
(みるからにめんどくさそうなラインナップで草)
ということで今回はそんなロックに興味はあるけど、なにから手をつけていいかわからないという人でもとっつきやすいように、ロックスピリッツ溢れたバンド物の映画やアニメを危険度ごとに紹介していきましょう。
(危険度は簡単に言えばいかに魂を揺さぶるかぐらいにとらえてくれて構いません。危険度と作品の面白さは比例しません。)
危険度☆
『けいおん!』
バンド物作品と言えば絶対に外せない作品ですよね。
今から大体10年くらい前に大流行した作品で、当時『ドラえもん』しかアニメを知らなかった小学生時代の私でも名前は知っていました。
間違いなくアニメのほうがおすすめです。
内容は軽音部の女の子たちがだらだらとお茶を飲んだりケーキを食べたりしながらたまにがっつり音楽をするというものなのですが、アニメはあの京都アニメーションが手掛けているのでかなりクオリティが高い。
そしてストレスフリーな作風で常ににこやかな気分で画面を眺めることができます。
そんなゆるふわ系作品ですが、曲はまじでかっこいい。
唯ちゃんのレスポールから奏でられる最高のフレーズ!!
こんなごっつい音出しながら、歌声はがっつりアニメ系!
とにかくけいおんは曲が信じられないくらいかっこいい。
ロックなサウンドを好きになるにはうってつけの作品です。
こんな人におすすめ
きらら系が好き
ごついギターサウンドが好き
(唯ちゃん憧れのthe Who!)
『クロスロード』
1986年公開のブルースミュージシャンの老人とクラシックギター奏者の若者が、幻の「ロバート・ジョンソンの30曲目」を求めてアメリカを横断するというロードムービー。
青春モノとして、ロードモノとして完成度が高い本作ですが、厳密に言うとロックがテーマではないんですよねこの作品。
しかしながらこの作品、ロックミュージシャンとのギター対決シーンがあります。そしてそのギター対決のシーンがめちゃくちゃおもしろい。
敵として登場しているのはスティーブ・ヴァイというギタリストなのですが、グラミー賞を受賞するほど有名な方です。
そして劇中で一番演技が上手い(笑)ちなみに主役のギターの中の人もスティーブ・ヴァイ。つまりギターバトルシーンは一人二役みたいなものです。
このラストシーンだけでもぜひご覧になってみてください。
こんな人におすすめ
ブルースが好き
バトルものが好き
老人と青年の友情ものが見たい
(ちなみにタイトルの「CROSS ROADS」はロバート・ジョンソンによる楽曲ですが、様々なロックバンドにもアレンジ・カバーされており中でもとくに有名なのはCREAMによるもの。こちらも神なのでぜひ)
『デトロイト・ロック・シティ』
これもまたさわやかな青春モノ。
1970年代の保守的な雰囲気が色濃く残る田舎町の4人組の少年たち。
彼らはあの伝説的なロックスターであるKISSの大ファンなのですが、いざKISSのライブに行くぞとなると、思わぬ障害が立ちはだかります。
母親にチケットを燃やされたり、車を盗まれたり……
彼らはKISSのライブに行くことができるのか?ということがこの映画の内容です。
KISSに憧れた田舎の少年たちが破天荒ながらも必死にチケットを求めて東西奔走する姿は、なんだかその純真さに素直に応援したくなってしまいます。
ロックスターに憧れを抱いたことがあるひとや、ハードなロックやステージパフォーマンスに濡れるひとはぜひ見てみましょう。
こんなひとにおすすめ
KISSが好き→必ず見ろ
ハードなロックやメタルが好き
ロックスターに憧れる
ちなみに『デトロイト・メタル・シティ』という漫画・映画のタイトルはKISSのこの曲のタイトルからとられています。
『DMC』の映画版にはKISSのジーン・シモンズもなぜか出演しています。
(なんかまだ子供の頃TVでみた記憶がある。漫画も面白いですよ。東京タワーのシーンは一番笑いました。下北沢が舞台なので実質『ぼざろ』です)
危険度☆☆
『BECK』
バンド系漫画と言えばやはりこれでしょう。
内容はバンド版『はじめの一歩』といった感じで、しがない中学生がバンドに入って、徐々に実力を認められていくというものです。
しかしこの作品、古い作品なのでなかなか展開がスロー。一巻の時点では主人公はギターすら握らず、これはもしかすると水泳漫画なのではないかと勘違いするほど。
本格的にバンド活動を始めてからはめちゃくちゃ面白い。
ビックマウスなメンバーが結構無茶な約束をしてきたりするのですが、主人公の歌声やヘヴィーなリフそして日本人離れしたファンキーなベースを聴かせて、敵であったはずの人に実力を認めさせるのは爽快感があります。スポーツ漫画的な爽快感ですね。
少年漫画なのでキャラクターも個性豊かで、読んでいて結構楽しい作品なので気軽に読んでみましょう。
また作中にはロックへのリスペクトが散りばめられていて、元ネタ探しをするのも結構面白い作品です。
(ジャケット絵だけでなく、店の名前など様々なところにリスペクトが見られるよ。)
こんなひとにおすすめ
ファンキーなベースが好きな人
アルバムのジャケットが好きな人
王道が読みたい人
『はじまりのうた』
『パイレーツ・オブ・カリビアン』のキーラ・ナイトレイ主演の映画です。
恋人の浮気が発覚したばかりのミュージシャングレタと落ち目の音楽プロデューサーがタッグを組んで、ゲリラストリートライブ音源を録音してアルバムを作るというストーリー。
こんなパンクな内容なのですが、バンドにはバイオリンとかが入っていて、割と上品な感じ。そのギャップもいいですね。
中年のおじさんとキーラナイトレイ演じる主人公の恋人でも親子でもない独特の信頼関係がものすごくいい味をだしている作品です。
ちなみに主人公の恋人役を演じているのはマルーン5(超有名バンド)のアダム・レヴィーン。彼も楽曲を提供していて「lost Stars」という曲はアカデミー賞の主題歌賞にノミネートされました。
こんなひとにおすすめ
キーラ・ナイトレイが好き
マルーン5が好き
繊細な人間ドラマが好き
音楽っていいなと感じさせてくれる作品が見たい
『ロック・スター』
ロックスターの熱狂的な大ファンである主人公。彼はロック・バンド「スチール・ドラゴン」が好きすぎてコピーバンドまで作ってボーカルを務めている。
でももし本家「スチール・ドラゴン」のフロントマンに才能を認められて、ボーカルとして抜擢されたら?
そんな夢のような出来事を描いた作品が『ロックスター』です。
田舎町の青年の素朴なロックスターへの憧れという点では、先ほど紹介した『デトロイト・ロック・シティ』に似ていますが、本作では自身が本当にロックスターになってしまいます。これはとっても楽しい作品に違いない!と思うかもしれませんが、これが結構シリアスめの作品。
憧れていたロック・スターの生活も実際になってみると結構大変なのです。とくに地元の恋人との関係は結構ギクシャクしてきて・・・みたいな作品です。
たしかに一般人からしたらかっこいいだけのロック・スターですが、いざなってみるとなかなかうまくいかないものです。
みどころは主人公の葛藤!幼少期から憧れてきたものにいざなったとき、はじめて自分が本当にどんな風になりたかったのかということを考え始めます。
青春の終わりというテーマが好きな人、ハードなロックやメタルが好きな人は必見です。
こんなひとにおすすめ
ハードなロックメタルが好き
80年代の雰囲気が好き
ロックスターに憧れる
『ソラニン』
私の妹が去年読んだ漫画の中で一番面白かったと言っていた本作。
青春漫画の定番ですね。
妹は人が死んだ場面で大爆笑したそうですが、なんというかはたからみたらめちゃくちゃバカなんですよ。でもその馬鹿さを作者も主人公もしっかり自覚していて(作者もどうせしょーもない理由で死んだって言ってます)、それでもその馬鹿のパッションを受け継いでギターを手に取るわけです。
大人になりきれない青年たちのお話。すっごくロックです。
歌詞は原作者の浅野いにおがつけています。名曲ですよね。
こんなひとにおすすめ
社会に出たくない人
アジカンが好きな人
普通の日常に不満があるひと
『リンダ リンダ リンダ』
JK!ガールズバンド!!ブルーハーツ!!!
これだけでこの作品の要素は大体抑えているのかと。
文化祭直前にバンドメンバーが抜けてしまい、急遽急造メンバーでライブをすることに。
そしてブルーハーツならいけんだろってことで、曲をとりあえず決め、ボーカルを探す。そして一番最初に通りかかった子に決めたらその子は韓国からの留学生。
日本語おぼつかないけど、なんとかいける!!!!
みたいな勢いある作品です。
私はわりとロックは洋楽ばかり聞いている人なんですけれど、ブルーハーツ聞いてみると、めちゃくちゃいい。
劇中でうたわれる「リンダリンダ」は決してうまくないのかもしれませんけれど、ものすごくパッションが伝わってきます。
とにかくなにか衝動があって、でも何がしたいのかよくわからないけれどそれを発散したいというときにピッタリの曲です。
そして最後の学祭ライブシーンなのですが、アニメが好きな人は既視感を覚えるかもしれません。
学祭ライブ中賑やかなステージから誰もいない教室や廊下が映し出されるカット。
『ハルヒ』『まなびストレート』『けいおん!』そして『ぼざろ』すべてにこうしたノスタルジックな演出がなされていますが、元ネタは本作です。(ハルヒに至っては……)
おそらくアニメで学祭ライブシーンがあれば、本作の影響を受けていない作品はあまりないでしょう
主演のペ・ドゥナは山下監督があのポン・ジュノに呼びかけて主演が決まったそうです。
こんなひとにおすすめ
ブルーハーツが好き
バンドものアニメが好き
邦画の名作が見たい(海外人気も高い作品です)
危険度☆☆☆
アカデミー脚本賞からゴールデングローブ賞、グラミー賞など超ビックタイトルを受賞している大傑作。
内容はローリングストーンズ誌に書いた記事が気に入られた主人公(15歳)はブレイク寸前と言われているバンドに密着取材することに。
バンドのツアーに同行しながら美しい少女ペニー・レインへの恋慕、そしてロックスターであるハモンドへの憧れや友情そして嫉妬心など繊細で複雑な青少年の心模様。
非常に見事な作品です。
ペニー・レインというキャラクターはオタクにやさしいギャルなので、そういうのが好きな人はぜひ見てみましょう。
実は本作は16歳からローリングストーン誌のライターを務め、レッド・ツェッペリンやイーグルスのツアーに参加したキャメロン・クロウ監督の実体験が元となっている作品です。
作中の展開には実際に体験したことも含まれているとのこと。
つまりオタクにやさしいギャルは実在する……
世代対立、乱れた性生活、ドラッグなど70年代ロックシーンを知る上で重要な雰囲気を知ることができる本作。
ぜひご覧になってください。
こんなひとにおすすめ
70sロックが好き
オタクにやさしいギャルが好き
兄的な存在への憧れを感じたい
伝説のパンクバンドセックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスと恋人ナンシーの半生を描いた作品。
シドを演じるのはシリウス・ブラックや『レオン』で警部を演じたゲイリー・オールドマン。名優ですよね。
そしてピストルズのシドと言うのは世界で最も破天荒な人生を送ったロックンローラーであります。
ベースも弾けないのにピストルズにベーシストとして加入、罪状はドラッグはもちろん傷害事件(不起訴だがのちに犯行を告白)からなんと殺人まで幅広くとんでもない野郎なのです。
この映画は冒頭からなぜ恋人のナンシーを殺したのかというところから始まります。
そして作中で世界一のお騒がせカップルの生態が明らかになっていくのですが、本当に筆舌につくしがたいというのはこういうことかと。
シドもめちゃくちゃおかしなやつなのですが、ナンシーはさらにおかしい。虚言癖、ヒステリー持ち、そしてジャンキー、だけどシドには一途です。
シドもナンシーがいないとどうにも調子がおかしい。いやもともとおかしいんですけど、さらにおかしくなります。
頭がおかしい同士のとんでもカップルはピストルズのメンバーすらまともに見えてくるので面白い。
(ピストルズの有名なエピソードとして、女王即位25周年の式典中にゲリラライブを行い、バッキンガム宮殿に向けて船上で女王を風刺する歌を歌ったというものがある。)
結局シドは薬物中毒になってしまい、もはやまともにライブをすることもままならない状態に。
限界を迎えたピストルズは解散し、シドはナンシーとともにアメリカに留まります。
しかし何をやってもうまくいかず、ヘロインヘロインヘロイン。
最後にはナンシーを殺します。
本作の見どころとしましては、ヘロイン中毒になったシドに見る幻覚でしょう。
ゲイリー・オールド・マンの名演も相まって、鬼気迫るものがあります。
ピストルズの狂気にのまれてしまったシド。
しかしそんな破天荒なピストルズですが、ボーカルのジョン・ライドンはラストライブの際に「騙された気分はどうだい?」と言い放ったと言われています。
実はピストルズというのはプロデューサーがすべて仕組んだ虚構だったのか。そしてシドだけが唯一心からパンクを信じてステージに上がっていたのか?
ピストルズという現象にはそうしたいろいろな逸話があります。気になるひとはぜひ調べてみてみましょう。
こんなひとにおすすめ
破天荒なラブストーリーが好き
パンクが好き
共依存が好き
破滅が好き
70年代パンクのファッションが好き
(みんな大好き椎名林檎もシドの曲を歌っている。『NANA』でもシドのエピソードが引用されるなど、様々なところで彼らはテーマになる。でも個人的にはシドよりもジョン・ライドンのほうが面白い人物に思える……)
危険度☆☆☆☆☆☆
『MUSICUS!』
サイコーにロックな作品というタイトルでこんな記事を書き始めたものの、実は私の頭に最初に浮かんだのはこの作品。
クラウドファンディングで億を超える額を集め、クラウドファンディング日本一(当時)を達成した本作。
SwitchとPS4だけでなくwindows版もあります。ブラウザからならスマホでもできるので、この記事にたどり着いたひとなら必ず遊ぶことができる作品です。
ゲームといってもいわゆるノベルゲームと呼ばれるジャンルで、紙芝居のように絵を見ながら文字を読んでいくというもの。
絵と音楽のある小説だと思っていただければ大丈夫です。
内容はインディーズロックバンドをテーマにしたロックンロールアドベンチャーゲームなのですが、『ぼっち・ざ・ろっく!』に夢中になった人なら絶対にはまる要素が盛りだくさん。
まずヒロインは社会不適合者でジャージでステージに立ちます。
そしてベースの子がマイペースだったり、ずっと金をせびるクズキャラがいたり……
家でひとりひきこもって楽器を弾いているキャラがいたり……
それにバンドメンバーみんな高校中退しています。
めっちゃ『ぼっち・ざ・ろっく』ぽいですよね。
(ヒロインの三日月ちゃんは青ジャージなのでぼっちちゃんの2Pキャラぽい)
ストーリーはこのような感じ。
主人公は応募した小説がインディーズレーベルの社長に評価され、ロックについてなんにも知らなかったのにも関わらず、あるロックバンドの密着取材の依頼を受けることに。(『ペニー・レイン』のパロディ!)
取材先は『花鳥風月』というバンドだったのですが、ヴォーカル・リーダーである花井是清はとてもネガティブ。(影のあるイケメン!)
是清のキャラクターや初めていくライブハウスに戸惑いながらも主人公は『花鳥風月』の圧倒的ライブパフォーマンスに感激。
しかし感動冷めやらぬうちに『花鳥風月』解散の知らせが・・・
主人公は納得いかず、説得に向かうものの本人はネガティブな理屈をこねてやりたがらない。
しつこく押しかける主人公に花井はこう告げます。
「きみがおれのかわりにロックをやらないか?」
そして主人公はロックンロールの世界に飛び込むことになるのです。
ドロップアウトした社会不適合者たちがバンドを組んで音楽に向き合っていくストーリーなのですが、ゲームなので様々なルートがあります。
ルートによっては音楽をやめてしまうルートや、バンドが空中分解してしまうルートとかもあったりします。もちろん音楽活動が上手くいって商業的に大成功する王道展開も。
たまに重い展開もあったりしますが、とにかくひたむきに音楽に取り組んでいくキャラクターたちは私たちの心を揺さぶります。
これぞロックンロール!!
またこの作品、音楽への向き合い方がものすごくバラエティー豊か。
キャラクターたちそれぞれ何通りもの音楽観を持っていて、それぞれそのキャラなりに必死に生きていく様は感動すること間違いなし。
(ミカちゃんかわいい)
『MUSICUS!』のここがおすすめ!
まずキャラクターがものすごく魅力的なところ。
ヒロイン三日月のわけわからん自分語りもめちゃくちゃ面白いです。そしてかわいい!!(大事)
真のヒロインである花井是清のシニカルでネガティブな屁理屈もめちゃくちゃ面白いです。絶対好きになるでしょう。
また主人公の友人キャラである金田くんは働きもせず練習もしないでロックスターに憧れるクズ。
評価が分かれるところではありますが、なんか愛嬌があって嫌いになれないです。
(このほかにもかわいい女の子やすかしたイケメン盛りだくさんです。)
音楽はすべてまやかしなのか?
また作品のテーマがとても興味深い。
良い音楽とはなんなのかという花井是清の問いかけには非常に考えさせられるところがあります。
天才シンガーが白けた場面であっても、いざ歌い始めれば観客はあっと驚いて、たちまち大喝采に包まれるみたいな描写は音楽作品でありがちなものですよね。
しかしそんなことはありえないと花井は言い放ちます。
高名なだれかが認めただとか、誰が演奏しているだとか、どれだけ売れているか。そういった物語が人を感動させるのであって、音楽などただの空気の振動なのだと説くのです。
そして彼は音楽に広告やらストーリーやらをくっつけて、「バンドマンは客をだましているのだ」とまでいいます。(ジョン・ライドンぽい……)
そしてこういった花井是清の音楽に対する絶望を乗り越えようというのがこの作品のテーマであり本筋になります。
音楽に限らずよい作品ってなんだろう。そういったことを考えたことがある人は今すぐ買いましょう。
そして作品のこだわり。
プロデューサーが本当にロックンローラーなので、ライブハウスや曲作りなどの描写はとにかくリアル。全国の楽器店に『MUSUCUS!』の企画として架空の音楽雑誌を配布するなど気合が入っています。
(雑誌はここからもDLできる。ぜひ見てみよう!)
ライブハウスのロケハンもしっかりしていて、全国各地のライブハウスが劇中に登場します。
そしてメインで登場するライブハウスは下北沢!
『ぼざろ』の聖地から同じ通りを真っ直ぐ数百メートル進めば到着する距離!
『ぼざろ』と一緒に聖地巡礼できるなんて本当にコスパ最高です。
(ボーカルの声が誰かに似ているような・・・?紅白歌手のHysteric Blue Tama・・・中の人などいません!!)
『MUSUCUS!』はこんなひとにおすすめ
『ぼざろ』好きな人
ひねくれもの
バンド物が好きな人
創作・芸術を愛するすべての人
(体験版なら無料でできる。ぜひやってみよう!)
ちなみにおなじメーカーで同じライターの『キラ☆キラ』もおすすめです。
底抜けに青春モノでロックンロールで駆け抜ける物語です。
こっちはスマホアプリがあります。
コラボギターがESPから発売されたほどの人気作で、本作に登場する伝説のベース・スェンダーは元神聖かまってちゃんのちばぎんやGLAYのHISASHIがパロディするほど。
ちなみに主人公は女装します。
ニコニコ動画で女装ベーシスト界隈の大物2人がこの曲を弾いていたので気になる方はぜひ調べてみてください。
番外編 危険度
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
よくぞここまでお付き合いいただきました。
裏ボスの登場です。
おそらくこれほどまでの危険な作品はないでしょう。しかし私はこの作品が地域の図書館でおすすめされていたところを見たことがあります。
そしてその作品とは・・・
『天使の3P!』
デンジャー・ゾーンですね。
あの『ロウきゅーぶ!』の青山サグの作品です。
ジミ・ヘンドリクスを愛するDTMerの青年が、児童養護施設リトルウィングの女の子たちのバンドを手助けするというお話。
まあこんな内容と見た目ですが割と本格派です。
しっかりYamahaが協力しています。
そのためDTM描写はアニメ史上もっとも正確かもしれません。
アニメのほうは『BECK』のように各所に洋ロックへのリスペクトが散りばめられているので、元ネタ探しが好きなら楽しく見れると思います。
ちなみに小学生たちに使用楽器がニッチすぎて面白い作品でもあります。
ギターの子が弾くのはFender USA Duo-Sonic。ベースの子はHöfner500。
このコラボして売る気がないところがいいですよね。
(リトルウィングの元ネタのほう)
最後に
以上でロックな作品紹介はおしまいです。
自分なりのチョイスで、サイコーにロックな作品をいくつか紹介してみました。
意識的にジャンル横断的にチョイスしてみました。音楽には国境を超える力があるそうなので、普段見ないジャンルでも見てみると結構面白いなというころもあるはずです。
なるべくたくさんの作品を紹介したつもりですが、まだまだほかにもロックな作品は数え切れないほどあります。
ロックに興味はあるけど、いきなりアルバムを聞いたりするのはきついという方はぜひこの記事を参考にして、いろいろな作品に触れてみてくださいね。
ロックと聞くとオラオラしているようなイメージを持たれることがあるかもしれませんが、実はそんなことはありません。
ロックはどんな人に対してもやさしいものです。
そしてクソみたいな世界を生きる希望を与えてくれるものです。
とにかくみなさんロックを感じてみましょう。
きっと心にしみるなにかがあるはずですよ。
それでは
ロックンロール!!!!!
(入れ忘れました)