Z世代の代表 作品紹介

一号とRYANAがZ世代ならではの視点でさまざまな作品を紹介します。

『ぼっち・ざ・ろっく!』ファンにおすすめ!サイコーにロックな作品

みなさん『ぼっち・ざ・ろっく!』はもうご覧になりました?

去年の12月に最終話を迎えた本作ですが、全国の楽器店から作中で使用されたモデルが売切れたり、なんとニュース番組で社会現象として取り上げられたり、人気の勢いは留まることを知りませんね。

 


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本作のキャッチコピーは「陰キャならロック」をやれということで、内気な女の子が対人関係に悪戦苦闘しながらも、なし崩し的に加入した「結束バンド」のメンバーと共に練習したりライブをこなしたりしながら成長していくお話。

確かに筋だけ見れば王道の青春モノなのですが、バンドメンバーとの団結力、そしてロックスピリッツでコンプレックスに立ち向かっていく姿は心打たれるものがあります。

『ぼさろ』を見てロックに興味が出てきた人も多いのではないでしょうか?

 


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しかし意外とハードルが高いのがロックと言うジャンルで、識者に何から聞けばいいのとか尋ねてしまったらさあ大変。

おそらく好みのバンドのアルバムを50枚以上紹介されて、「とりあえずこれを聞け、話はそれからだ」みたいな感じになりかねません。

 

(みるからにめんどくさそうなラインナップで草)

 

ということで今回はそんなロックに興味はあるけど、なにから手をつけていいかわからないという人でもとっつきやすいように、ロックスピリッツ溢れたバンド物の映画やアニメを危険度ごとに紹介していきましょう。

(危険度は簡単に言えばいかに魂を揺さぶるかぐらいにとらえてくれて構いません。危険度と作品の面白さは比例しません。)

 


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危険度☆

 

けいおん!

 

バンド物作品と言えば絶対に外せない作品ですよね。

今から大体10年くらい前に大流行した作品で、当時『ドラえもん』しかアニメを知らなかった小学生時代の私でも名前は知っていました。

 

 

間違いなくアニメのほうがおすすめです。

内容は軽音部の女の子たちがだらだらとお茶を飲んだりケーキを食べたりしながらたまにがっつり音楽をするというものなのですが、アニメはあの京都アニメーションが手掛けているのでかなりクオリティが高い。

そしてストレスフリーな作風で常ににこやかな気分で画面を眺めることができます。

そんなゆるふわ系作品ですが、曲はまじでかっこいい。

 


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唯ちゃんのレスポールから奏でられる最高のフレーズ!!

こんなごっつい音出しながら、歌声はがっつりアニメ系!

とにかくけいおんは曲が信じられないくらいかっこいい。

ロックなサウンドを好きになるにはうってつけの作品です。

 

こんな人におすすめ

きらら系が好き

ごついギターサウンドが好き

 


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(唯ちゃん憧れのthe Who!)

 

『クロスロード』

 

 

1986年公開のブルースミュージシャンの老人とクラシックギター奏者の若者が、幻のロバート・ジョンソンの30曲目」を求めてアメリカを横断するというロードムービー

青春モノとして、ロードモノとして完成度が高い本作ですが、厳密に言うとロックがテーマではないんですよねこの作品。

しかしながらこの作品、ロックミュージシャンとのギター対決シーンがあります。そしてそのギター対決のシーンがめちゃくちゃおもしろい。

敵として登場しているのはスティーブ・ヴァイというギタリストなのですが、グラミー賞を受賞するほど有名な方です。

そして劇中で一番演技が上手い(笑)ちなみに主役のギターの中の人もスティーブ・ヴァイ。つまりギターバトルシーンは一人二役みたいなものです。

このラストシーンだけでもぜひご覧になってみてください。

 


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こんな人におすすめ

ブルースが好き

バトルものが好き

老人と青年の友情ものが見たい

 

(ちなみにタイトルの「CROSS ROADS」はロバート・ジョンソンによる楽曲ですが、様々なロックバンドにもアレンジ・カバーされており中でもとくに有名なのはCREAMによるもの。こちらも神なのでぜひ)

 


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デトロイト・ロック・シティ』

 

 

これもまたさわやかな青春モノ。

1970年代の保守的な雰囲気が色濃く残る田舎町の4人組の少年たち。

彼らはあの伝説的なロックスターであるKISSの大ファンなのですが、いざKISSのライブに行くぞとなると、思わぬ障害が立ちはだかります。

母親にチケットを燃やされたり、車を盗まれたり……

彼らはKISSのライブに行くことができるのか?ということがこの映画の内容です。

KISSに憧れた田舎の少年たちが破天荒ながらも必死にチケットを求めて東西奔走する姿は、なんだかその純真さに素直に応援したくなってしまいます。

ロックスターに憧れを抱いたことがあるひとや、ハードなロックやステージパフォーマンスに濡れるひとはぜひ見てみましょう。

 


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こんなひとにおすすめ

KISSが好き→必ず見ろ

ハードなロックやメタルが好き

ロックスターに憧れる

 

 

ちなみに『デトロイト・メタル・シティ』という漫画・映画のタイトルはKISSのこの曲のタイトルからとられています。

DMC』の映画版にはKISSのジーン・シモンズもなぜか出演しています。

 


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(なんかまだ子供の頃TVでみた記憶がある。漫画も面白いですよ。東京タワーのシーンは一番笑いました。下北沢が舞台なので実質『ぼざろ』です)

 

危険度☆☆

 

BECK

 

 

バンド系漫画と言えばやはりこれでしょう。

内容はバンド版『はじめの一歩』といった感じで、しがない中学生がバンドに入って、徐々に実力を認められていくというものです。

しかしこの作品、古い作品なのでなかなか展開がスロー。一巻の時点では主人公はギターすら握らず、これはもしかすると水泳漫画なのではないかと勘違いするほど。

本格的にバンド活動を始めてからはめちゃくちゃ面白い。

ビックマウスなメンバーが結構無茶な約束をしてきたりするのですが、主人公の歌声やヘヴィーなリフそして日本人離れしたファンキーなベースを聴かせて、敵であったはずの人に実力を認めさせるのは爽快感があります。スポーツ漫画的な爽快感ですね。

少年漫画なのでキャラクターも個性豊かで、読んでいて結構楽しい作品なので気軽に読んでみましょう。

また作中にはロックへのリスペクトが散りばめられていて、元ネタ探しをするのも結構面白い作品です。

 


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(ジャケット絵だけでなく、店の名前など様々なところにリスペクトが見られるよ。)

 

こんなひとにおすすめ

ファンキーなベースが好きな人

アルバムのジャケットが好きな人

王道が読みたい人

 

『はじまりのうた』

 

 

パイレーツ・オブ・カリビアン』のキーラ・ナイトレイ主演の映画です。

恋人の浮気が発覚したばかりのミュージシャングレタと落ち目の音楽プロデューサーがタッグを組んで、ゲリラストリートライブ音源を録音してアルバムを作るというストーリー。

こんなパンクな内容なのですが、バンドにはバイオリンとかが入っていて、割と上品な感じ。そのギャップもいいですね。

 


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中年のおじさんとキーラナイトレイ演じる主人公の恋人でも親子でもない独特の信頼関係がものすごくいい味をだしている作品です。

ちなみに主人公の恋人役を演じているのはマルーン5(超有名バンド)のアダム・レヴィーン。彼も楽曲を提供していて「lost Stars」という曲はアカデミー賞の主題歌賞にノミネートされました。

 


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こんなひとにおすすめ

キーラ・ナイトレイが好き

マルーン5が好き

繊細な人間ドラマが好き

音楽っていいなと感じさせてくれる作品が見たい

 


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『ロック・スター』

 

ロック・スター (字幕版)

ロック・スター (字幕版)

  • マーク・ウォルバーグ
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ロックスターの熱狂的な大ファンである主人公。彼はロック・バンド「スチール・ドラゴン」が好きすぎてコピーバンドまで作ってボーカルを務めている。

でももし本家「スチール・ドラゴン」のフロントマンに才能を認められて、ボーカルとして抜擢されたら?

そんな夢のような出来事を描いた作品が『ロックスター』です。

田舎町の青年の素朴なロックスターへの憧れという点では、先ほど紹介した『デトロイト・ロック・シティ』に似ていますが、本作では自身が本当にロックスターになってしまいます。これはとっても楽しい作品に違いない!と思うかもしれませんが、これが結構シリアスめの作品。

憧れていたロック・スターの生活も実際になってみると結構大変なのです。とくに地元の恋人との関係は結構ギクシャクしてきて・・・みたいな作品です。

たしかに一般人からしたらかっこいいだけのロック・スターですが、いざなってみるとなかなかうまくいかないものです。

みどころは主人公の葛藤!幼少期から憧れてきたものにいざなったとき、はじめて自分が本当にどんな風になりたかったのかということを考え始めます。

青春の終わりというテーマが好きな人、ハードなロックやメタルが好きな人は必見です。

 


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こんなひとにおすすめ

ハードなロックメタルが好き

80年代の雰囲気が好き

ロックスターに憧れる

 

ソラニン

 

 

私の妹が去年読んだ漫画の中で一番面白かったと言っていた本作。

青春漫画の定番ですね。

妹は人が死んだ場面で大爆笑したそうですが、なんというかはたからみたらめちゃくちゃバカなんですよ。でもその馬鹿さを作者も主人公もしっかり自覚していて(作者もどうせしょーもない理由で死んだって言ってます)、それでもその馬鹿のパッションを受け継いでギターを手に取るわけです。

大人になりきれない青年たちのお話。すっごくロックです。

映画は宮崎あおいが主演で主題歌はアジカンの「ソラニン

 


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歌詞は原作者の浅野いにおがつけています。名曲ですよね。

 

こんなひとにおすすめ

社会に出たくない人

アジカンが好きな人

普通の日常に不満があるひと

 

 

『リンダ リンダ リンダ』

 

 

JK!ガールズバンド!!ブルーハーツ!!!

これだけでこの作品の要素は大体抑えているのかと。

文化祭直前にバンドメンバーが抜けてしまい、急遽急造メンバーでライブをすることに。

そしてブルーハーツならいけんだろってことで、曲をとりあえず決め、ボーカルを探す。そして一番最初に通りかかった子に決めたらその子は韓国からの留学生。

日本語おぼつかないけど、なんとかいける!!!!

みたいな勢いある作品です。

 


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私はわりとロックは洋楽ばかり聞いている人なんですけれど、ブルーハーツ聞いてみると、めちゃくちゃいい。

劇中でうたわれる「リンダリンダ」は決してうまくないのかもしれませんけれど、ものすごくパッションが伝わってきます。

とにかくなにか衝動があって、でも何がしたいのかよくわからないけれどそれを発散したいというときにピッタリの曲です。

 


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そして最後の学祭ライブシーンなのですが、アニメが好きな人は既視感を覚えるかもしれません。

学祭ライブ中賑やかなステージから誰もいない教室や廊下が映し出されるカット。

ハルヒ』『まなびストレート』『けいおん!』そして『ぼざろ』すべてにこうしたノスタルジックな演出がなされていますが、元ネタは本作です。(ハルヒに至っては……)

おそらくアニメで学祭ライブシーンがあれば、本作の影響を受けていない作品はあまりないでしょう

 


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ちなみにベースの子はベボベ関根史織

主演のペ・ドゥナは山下監督があのポン・ジュノに呼びかけて主演が決まったそうです。

 


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こんなひとにおすすめ

ブルーハーツが好き

バンドものアニメが好き

邦画の名作が見たい(海外人気も高い作品です)

 


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危険度☆☆☆

 

あの頃ペニー・レインと

 


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アカデミー脚本賞からゴールデングローブ賞グラミー賞など超ビックタイトルを受賞している大傑作。

内容はローリングストーンズ誌に書いた記事が気に入られた主人公(15歳)はブレイク寸前と言われているバンドに密着取材することに。

バンドのツアーに同行しながら美しい少女ペニー・レインへの恋慕、そしてロックスターであるハモンドへの憧れや友情そして嫉妬心など繊細で複雑な青少年の心模様。

非常に見事な作品です。

ペニー・レインというキャラクターはオタクにやさしいギャルなので、そういうのが好きな人はぜひ見てみましょう。

 


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実は本作は16歳からローリングストーン誌のライターを務め、レッド・ツェッペリンイーグルスのツアーに参加したキャメロン・クロウ監督の実体験が元となっている作品です。

作中の展開には実際に体験したことも含まれているとのこと。

つまりオタクにやさしいギャルは実在する……

世代対立、乱れた性生活、ドラッグなど70年代ロックシーンを知る上で重要な雰囲気を知ることができる本作。

ぜひご覧になってください。

 


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こんなひとにおすすめ

70sロックが好き

オタクにやさしいギャルが好き

兄的な存在への憧れを感じたい

 

シド・アンド・ナンシー

 

 

伝説のパンクバンドセックス・ピストルズのベーシスト、シド・ヴィシャスと恋人ナンシーの半生を描いた作品。

シドを演じるのはシリウス・ブラックや『レオン』で警部を演じたゲイリー・オールドマン。名優ですよね。

そしてピストルズのシドと言うのは世界で最も破天荒な人生を送ったロックンローラーであります。

ベースも弾けないのにピストルズにベーシストとして加入、罪状はドラッグはもちろん傷害事件(不起訴だがのちに犯行を告白)からなんと殺人まで幅広くとんでもない野郎なのです。

この映画は冒頭からなぜ恋人のナンシーを殺したのかというところから始まります。

そして作中で世界一のお騒がせカップルの生態が明らかになっていくのですが、本当に筆舌につくしがたいというのはこういうことかと。

シドもめちゃくちゃおかしなやつなのですが、ナンシーはさらにおかしい。虚言癖、ヒステリー持ち、そしてジャンキー、だけどシドには一途です。

シドもナンシーがいないとどうにも調子がおかしい。いやもともとおかしいんですけど、さらにおかしくなります。

頭がおかしい同士のとんでもカップルはピストルズのメンバーすらまともに見えてくるので面白い。

 


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ピストルズの有名なエピソードとして、女王即位25周年の式典中にゲリラライブを行い、バッキンガム宮殿に向けて船上で女王を風刺する歌を歌ったというものがある。)

 

結局シドは薬物中毒になってしまい、もはやまともにライブをすることもままならない状態に。

限界を迎えたピストルズは解散し、シドはナンシーとともにアメリカに留まります。

しかし何をやってもうまくいかず、ヘロインヘロインヘロイン。

最後にはナンシーを殺します。

本作の見どころとしましては、ヘロイン中毒になったシドに見る幻覚でしょう。

ゲイリー・オールド・マンの名演も相まって、鬼気迫るものがあります。

 


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ピストルズの狂気にのまれてしまったシド。

しかしそんな破天荒なピストルズですが、ボーカルのジョン・ライドンはラストライブの際に「騙された気分はどうだい?」と言い放ったと言われています。

実はピストルズというのはプロデューサーがすべて仕組んだ虚構だったのか。そしてシドだけが唯一心からパンクを信じてステージに上がっていたのか?

ピストルズという現象にはそうしたいろいろな逸話があります。気になるひとはぜひ調べてみてみましょう。

 

 

こんなひとにおすすめ

破天荒なラブストーリーが好き

パンクが好き

共依存が好き

破滅が好き

70年代パンクのファッションが好き

 


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(みんな大好き椎名林檎もシドの曲を歌っている。『NANA』でもシドのエピソードが引用されるなど、様々なところで彼らはテーマになる。でも個人的にはシドよりもジョン・ライドンのほうが面白い人物に思える……)

 

 

危険度☆☆☆☆☆☆

 

『MUSICUS!』

 

 

サイコーにロックな作品というタイトルでこんな記事を書き始めたものの、実は私の頭に最初に浮かんだのはこの作品。

 

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クラウドファンディングで億を超える額を集め、クラウドファンディング日本一(当時)を達成した本作。

SwitchとPS4だけでなくwindows版もあります。ブラウザからならスマホでもできるので、この記事にたどり着いたひとなら必ず遊ぶことができる作品です。

ゲームといってもいわゆるノベルゲームと呼ばれるジャンルで、紙芝居のように絵を見ながら文字を読んでいくというもの。

絵と音楽のある小説だと思っていただければ大丈夫です。

 

 

内容はインディーズロックバンドをテーマにしたロックンロールアドベンチャーゲームなのですが、『ぼっち・ざ・ろっく!』に夢中になった人なら絶対にはまる要素が盛りだくさん。

まずヒロインは社会不適合者でジャージでステージに立ちます。

そしてベースの子がマイペースだったり、ずっと金をせびるクズキャラがいたり……

家でひとりひきこもって楽器を弾いているキャラがいたり……

それにバンドメンバーみんな高校中退しています。

めっちゃ『ぼっち・ざ・ろっく』ぽいですよね。

(ヒロインの三日月ちゃんは青ジャージなのでぼっちちゃんの2Pキャラぽい)

 

 

ストーリーはこのような感じ。

主人公は応募した小説がインディーズレーベルの社長に評価され、ロックについてなんにも知らなかったのにも関わらず、あるロックバンドの密着取材の依頼を受けることに。(『ペニー・レイン』のパロディ!)

取材先は『花鳥風月』というバンドだったのですが、ヴォーカル・リーダーである花井是清はとてもネガティブ。(影のあるイケメン!)

是清のキャラクターや初めていくライブハウスに戸惑いながらも主人公は『花鳥風月』の圧倒的ライブパフォーマンスに感激。

しかし感動冷めやらぬうちに『花鳥風月』解散の知らせが・・・

主人公は納得いかず、説得に向かうものの本人はネガティブな理屈をこねてやりたがらない。

しつこく押しかける主人公に花井はこう告げます。

「きみがおれのかわりにロックをやらないか?」

そして主人公はロックンロールの世界に飛び込むことになるのです。

 


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ドロップアウトした社会不適合者たちがバンドを組んで音楽に向き合っていくストーリーなのですが、ゲームなので様々なルートがあります。

ルートによっては音楽をやめてしまうルートや、バンドが空中分解してしまうルートとかもあったりします。もちろん音楽活動が上手くいって商業的に大成功する王道展開も。

たまに重い展開もあったりしますが、とにかくひたむきに音楽に取り組んでいくキャラクターたちは私たちの心を揺さぶります。

 

これぞロックンロール!!

 

またこの作品、音楽への向き合い方がものすごくバラエティー豊か。

キャラクターたちそれぞれ何通りもの音楽観を持っていて、それぞれそのキャラなりに必死に生きていく様は感動すること間違いなし。

 

(ミカちゃんかわいい)

 

『MUSICUS!』のここがおすすめ!

 

まずキャラクターがものすごく魅力的なところ。

ヒロイン三日月のわけわからん自分語りもめちゃくちゃ面白いです。そしてかわいい!!(大事)

真のヒロインである花井是清のシニカルでネガティブな屁理屈もめちゃくちゃ面白いです。絶対好きになるでしょう。

また主人公の友人キャラである金田くんは働きもせず練習もしないでロックスターに憧れるクズ。

評価が分かれるところではありますが、なんか愛嬌があって嫌いになれないです。

(このほかにもかわいい女の子やすかしたイケメン盛りだくさんです。)

 


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音楽はすべてまやかしなのか?

 

また作品のテーマがとても興味深い。

良い音楽とはなんなのかという花井是清の問いかけには非常に考えさせられるところがあります。

天才シンガーが白けた場面であっても、いざ歌い始めれば観客はあっと驚いて、たちまち大喝采に包まれるみたいな描写は音楽作品でありがちなものですよね。

しかしそんなことはありえないと花井は言い放ちます。

高名なだれかが認めただとか、誰が演奏しているだとか、どれだけ売れているか。そういった物語が人を感動させるのであって、音楽などただの空気の振動なのだと説くのです。

そして彼は音楽に広告やらストーリーやらをくっつけて、「バンドマンは客をだましているのだ」とまでいいます。(ジョン・ライドンぽい……)

 

そしてこういった花井是清の音楽に対する絶望を乗り越えようというのがこの作品のテーマであり本筋になります。

音楽に限らずよい作品ってなんだろう。そういったことを考えたことがある人は今すぐ買いましょう。

 

そして作品のこだわり

 

プロデューサーが本当にロックンローラーなので、ライブハウスや曲作りなどの描写はとにかくリアル。全国の楽器店に『MUSUCUS!』の企画として架空の音楽雑誌を配布するなど気合が入っています。

 

musicus.over-drive.jp

(雑誌はここからもDLできる。ぜひ見てみよう!)

 

ライブハウスのロケハンもしっかりしていて、全国各地のライブハウスが劇中に登場します。

そしてメインで登場するライブハウスは下北沢!

『ぼざろ』の聖地から同じ通りを真っ直ぐ数百メートル進めば到着する距離!

『ぼざろ』と一緒に聖地巡礼できるなんて本当にコスパ最高です。

 


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(ボーカルの声が誰かに似ているような・・・?紅白歌手のHysteric Blue Tama・・・中の人などいません!!)

 

『MUSUCUS!』はこんなひとにおすすめ

『ぼざろ』好きな人

ひねくれもの

バンド物が好きな人

創作・芸術を愛するすべての人

(体験版なら無料でできる。ぜひやってみよう!)

 

 

ちなみにおなじメーカーで同じライターの『キラ☆キラ』もおすすめです。

底抜けに青春モノでロックンロールで駆け抜ける物語です。

こっちはスマホアプリがあります。

コラボギターがESPから発売されたほどの人気作で、本作に登場する伝説のベース・スェンダーは元神聖かまってちゃんのちばぎんやGLAYのHISASHIがパロディするほど。

ちなみに主人公は女装します。

ニコニコ動画で女装ベーシスト界隈の大物2人がこの曲を弾いていたので気になる方はぜひ調べてみてください。

 


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番外編 危険度 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

よくぞここまでお付き合いいただきました。

裏ボスの登場です。

おそらくこれほどまでの危険な作品はないでしょう。しかし私はこの作品が地域の図書館でおすすめされていたところを見たことがあります。

そしてその作品とは・・・

 


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『天使の3P!』

 

 

デンジャー・ゾーンですね。

あの『ロウきゅーぶ!』の青山サグの作品です。

ジミ・ヘンドリクスを愛するDTMerの青年が、児童養護施設リトルウィングの女の子たちのバンドを手助けするというお話。

まあこんな内容と見た目ですが割と本格派です。

しっかりYamahaが協力しています。

そのためDTM描写はアニメ史上もっとも正確かもしれません。

アニメのほうは『BECK』のように各所に洋ロックへのリスペクトが散りばめられているので、元ネタ探しが好きなら楽しく見れると思います。

ちなみに小学生たちに使用楽器がニッチすぎて面白い作品でもあります。

ギターの子が弾くのはFender USA Duo-Sonic。ベースの子はHöfner500。

このコラボして売る気がないところがいいですよね。

 


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(リトルウィングの元ネタのほう)

 

最後に

 

以上でロックな作品紹介はおしまいです。

自分なりのチョイスで、サイコーにロックな作品をいくつか紹介してみました。

意識的にジャンル横断的にチョイスしてみました。音楽には国境を超える力があるそうなので、普段見ないジャンルでも見てみると結構面白いなというころもあるはずです。

なるべくたくさんの作品を紹介したつもりですが、まだまだほかにもロックな作品は数え切れないほどあります。

ロックに興味はあるけど、いきなりアルバムを聞いたりするのはきついという方はぜひこの記事を参考にして、いろいろな作品に触れてみてくださいね。

ロックと聞くとオラオラしているようなイメージを持たれることがあるかもしれませんが、実はそんなことはありません。

ロックはどんな人に対してもやさしいものです。

そしてクソみたいな世界を生きる希望を与えてくれるものです。

とにかくみなさんロックを感じてみましょう。

きっと心にしみるなにかがあるはずですよ。

 

それでは

 

ロックンロール!!!!!

 


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(入れ忘れました)

 

 

 

 

 

 

 

 

2022年:ベスト作品

(2022年ももうおしまいとのことで、今回は今年どんな作品が良かったか振り帰っちゃいましょう)

『2022年振り返りダイアログ』

Z世代の代表の忘年会

 

RY「今年もおしまいだそうで」

一号「世間的には年末だって話だけど、わたしにはどうだっていいかな。だって宇宙の法則として、太陽系第三惑星の北半球の日照時間が短くなって、温度が下がる時期に一年が始まって、そして終わるってわけでもないわけだし、それにきっかり138億年前に宇宙が始まったわけでもあるまいし。」

RY「なんだそりゃ?みんながみんな新年だって思い込んでるんだからそれでいいじゃないの。お正月にはおもち食べたり、意味もなくTV見たり、いつもは会わないような親戚と会ったり一年に一度くらいそんなときがあったっていいと思うな。それに初詣の雰囲気が結構いい。」

一号「あんた騒ぐの好きだもんね。W杯とかいつもサッカー見ないくせに熱心に見ちゃったり。」

gzdaihyoryana.hatenablog.com

 

gzdaihyoryana.hatenablog.com

 

RY「いいんだよ4年に一回しかないんだから。W杯のおかげでハントケとかボルヘスとか読めたし。」

一号「4年に一回ってオリンピックとかでも騒ぎまわるじゃん。結局毎年なんらかの国際大会で騒ぎまわってる感じがする……」

 

今年感激した映画

一号「今年見た中だとよかったのは、『気狂いピエロ』かな。内容はきもいおっさんのロマンチシズムって感じだったけれど、色彩がとってもきれいだった。ミュージカル風なのもいい。」

RY「一号『LALALAND』とかも好きだもんな。ミュージカル系とかがやっぱいいのか。こっちは『ゆきゆきて神軍』が今年のベスト。」

一号「たしかにいいねあれも。奥田さんが完全におかしな人なんだけど、なんか惹かれてしまう。絶対に関わりたくはないけど。」

RY「末路はちょっとかわいそうだよね。殺人未遂事件起こして出所した後にあれだもん」

一号「この映画をもてはやしていたサブカル層がいかに彼を理解できていなかったかよくわかる、まあだれも理解できない人だけど」

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RY「新作だったら『マーヴェリック』はやっぱよかったね。」

一号「『ゆきゆきて』が良かったと言いながら、『トップ・ガン』並べるの?」

RY「まあそれは別腹ということで」

gzdaihyoryana.hatenablog.com

 

一号「そういえばわたしの「サイエントロジー」の記事結構伸びてるみたい。」

RY「サイエントロジーねえ。結構やばい宗教なんだっけ。なんでトムはそんなんにはまっちゃったのやら」

一号「トムにもいろいろ事情があるみたいだけれど……でも人間って結局信仰を持っちゃう生き物なのかも?だってあんただって年末と正月を信じちゃってるでしょ。みんながそう言ってたらそうだって思い込んじゃうものなんだよ。」

RY「正月を信じてるって……」

一号「だって正月の存在なんて科学的に証明できないじゃん」

RY「……」

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今年良かった本

RY『本なら間違いなく、ボルヘスの『伝奇集』。ありがとうメッシ。」

一号「アルゼンチンが優勝したから読んだんだっけ?」

RY「そうそう。でも今年は円城塔の『道化師の蝶』とかも読んでててね、こういうシステマチックなカフカみたいなジャンルを探してたんだよ。それで出会ってしまったのがボルヘス。ありがとうマルティネス。すまんエンバペ。」

一号「ふーん。わたし的には今年面白かったのは『遠野物語』とか『金枝編』とかかな。」

 

RY「文化人類学やら民俗学的な作品だね。そういえば昔から民話みたいなの好きだったもんな、小泉八雲とか」

一号「特に『遠野物語』は面白かった。実際に遠野にも行ったし。」

RY「河童いた?」

一号「河童はいなかったけど、熊に会ったよ。」

RY「普通に怖い!」

一号「がおー!!」

今年面白かった漫画

RY「漫画かあ。今年あんま読まなかったな。でも『ヤマタイカ』は面白かったよ。」

一号「民俗学が関係するんだっけ?」

RY「そうそう。なんかSFってよりはオカルトって感じで、真に受けるような作品でもないんだろうけど、それでも地質学だとか文献学だとかいろんな視点で日本という国についての見解を出してきていて面白かった。」

一号「普通に面白そう。わたしはそうだなあ、あんまないんだけど『ソラニン』でも挙げておこうかな」

RY「えっ、『ソラニン』?なんか合わなそう。」

一号「どういう意味?だけど結構面白かったよ。浅野いにおはファンタジーよりこういう方がずっといい。大人になりきれない青年たちの葛藤はみてて切なくて、でも自殺したところは爆笑しちゃった。」

RY「人格を疑う発言。だけどあれ笑えるよね。自嘲的な笑いなのかもだけど。」

一号「そういえば読んでないんだけど、これ面白そうだった。」

RY「この漫画がすごいとかいうやつに選ばれてたやつね。」

一号「まあそれはどうでもいいんだけど、モンゴル帝国下のイスラム奴隷って主人公なのがすごく気になった。これは来年には絶対よもう。」

RY「来年はもっと漫画読む年にしたいな。」

 

今年良かったその他

一号

今年はモンティパイソンにはまったりして、結構見た。

これで好きな芸人誰という難しい質問に、胸張ってモンティパイソンって答えられるようになりました。

いままではラーメンズと答えて微妙な雰囲気を作っていましたが、モンティパイソンはなんてったって世界的なスター。たぶんタモリの30倍くらい知名度があります。

映画監督としては北野武と比べてテリー・ギリアムなら引けを取りません。

しらないって言われても大丈夫。後でそいつにスパムメールを沢山送り付けてやれば解決です。

RYANA

今年はvisualnovelの年でした。

総プレイ数はなんと30本超え!

正直総プレイ時間と総額は考えたくない……

とりあえずよかった三本は『ランス10』と『MUSICUS!』そして『最果てのイマ』。

『ランス10』は総プレイ時間150時間くらいですかね。ゲームあんま好きじゃないのにまあまあやり込みました。

あの長大なランスシリーズの集大成としてものすごくきれいにまとまっていました。

私が好きなライターである瀬戸口廉也氏。

『MUSICUS』はその中でも最高傑作だと思います。

これについても詳しく書きたいなとかおもっていたのに、いつの間にやらずいぶん時間がたってしまいました。もう一度プレイしようかな。

ロミオ最高傑作。というか全オタク作品の中でも最高傑作。このブログも最果てのイマをプレイして開設されました。

しかしあまりに密度が濃いのでなかなか取り上げられない……

 

gzdaihyoryana.hatenablog.com

 

最後に

RY「それにしても、ブログ開設してからもう半年。思ったよりも人が来てくれててびっくりな状況。」

一号「9月まではわたしの「サイエントロジー」が一番読まれてたんだけどねえ。いまは『うる星やつら』記事が一番だっけ」

RY「そうそう、Z世代の代表は『うる星やつら』専門ブログってくらい『うる星』独走状態。」

一号「たしかにあんたのうる星愛は異常だし、それはそれでいいんでけど、なんか悔しい。」

RY「それにしても『うる星』新作見れるのうれしすぎる。そういえば中学生の時3つ願いがあったんだよね」

一号「なにそれ」

RY「えっと『デビルマン』のハルマゲドンがアニメ化されることと、『ゲッターロボ・サーガ』がアニメ化されることと、うる星がパズドラとコラボすること。これ友達に話したらそんなん叶うワケないって笑われたの覚えてる。」

一号「ふーん。それ叶ったの?」

RY「なんと去年の内に全部叶ってしまったんよ。10年も経たないうちに。意外に世の中いいことがあるもんだななんて思ってたら、今度はうる星リメイクが来た。これはもうこの世は理想をはるかに超えたパラダイスだと断言してもいい。」

一号「それは言い過ぎじゃないの……」

RY「いいや、間違いなく断言できる。そして意外に他力本願な願いは叶う。ということで来年は『MUSICUS!』と『終のステラ』のアニメ化を願います。あと『安達としまむら』の二期か実写ドラマとかもあったらうれしいな。あとそれと……」

一号「一個くらい叶うといいね。」

RY「それでは来年への他力本願も済ませたところで、また来年お会いしましょう。」

一号「良いお年を~」

 

(Z世代の代表のブログにお付き合いいただきありがとうございました。まだまだZ世代の代表ブログは続きます。来年にはまた全然違う角度から様々な作品を紹介していきたいと考えております。

よりよい記事を提供していこうと思いますので、どうかよろしくお願いします。

ちなみに2022年の記事は合計45本でした。

ちなみにわたし2号による今年のベスト記事はこちら。

gzdaihyoryana.hatenablog.com

ファムファタルについての連載の最終章。ロリータについての文化史がわりとまとまってる記事です。初期の記事ですがわりと気に入っています。

 

gzdaihyoryana.hatenablog.com

一号ちゃんならこれ結構好き。一号ちゃん基本適当に記事書いてるけど、これだけはちょっと凝ってるのがいいですね。

とまあこんな感じです。

では来年もまたお会いしましょう。


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『世界を破滅させたいという願い 世界を破壊する作品たち ゴジラから天気の子まで』

こどもじみた考えである。

非倫理的で不謹慎な、道徳的に許されない想いである。

だが我々がうっすらと自覚している願い。自殺とも自己嫌悪とも違う不愉快な破滅願望。

破壊衝動。

全人類に対する良心の自由に保障された殺害予告。

エゴイスティックな、とはいえ自我でなく無意識の解放ともいえるその願い。

そんな願望に駆られて、我々はしばしばメトロポリス破壊の夢を見る。

都市の壊滅。社会の混乱。世界の終わり。

 

破壊というテーマはあらゆるジャンル、数多くのメディアにおいて描かれてきた。

時には関東大震災東日本大震災などの災害のメタファーとして、時には東京大空襲原子爆弾への恨みとして、テロリズムとして、そして多くの作品にはエゴイスティックな破壊衝動が裏に隠されている。

 

街を壊したい。

諸星大二郎の短編である『影の街』という作品はこどものもの頃のそうした妄想をよく表した作品だ。こどもの妄想であればかなり納得のいくテーマだが、このこどもじみた発想はあらゆる作品に隠されていると聞いたらすこし戸惑うかもしれない。

 

今回はそんな破壊衝動をテーマにいくつかの作品をみていこう。

 

1・メタファーとしての破壊と純粋な破壊の楽しみ

ところで東京は幾度となく破壊されてきた都市だ。

だが、大きな力によって破壊されても、そこから再生というポジティブな感情を沸き立たせるのが日本的文化ともいえるだろう。

それは大火事ですべてを失ったはずの日本人たちの超然とした態度に驚かされた明治期のお雇い外国人ベルツが指摘していることだ。

 

 

そうした再生のイメージを伴った破壊は皆の好むテーマである。

今風の言葉で言えばグレートリセット願望がエンターテイメントに投射されているのであろうが、これは戦前に幾度と行われた破壊、そして戦後の復興、高度経済成長という日本経済の歴史の似姿でもあることは指摘するまでもないだろう。

戦後の復興期を描いた作品を上げていけばキリがないが、近年にて破壊と再生のテーマをうまくエンターテイメントに昇華させた作品としては、やはり『シン・ゴジラ』を挙げなくてはなるまい。

 

この作品はあきらかに東日本大震災福島第一原発の大事故が作品に投影されている。

そしてそれは第五福竜丸事件とそして東京大空襲、原爆投下というイメージが初代ゴジラにおいて重ね合わされていたこととほとんど同じ構造である。

ゴジラ

ゴジラ

  • 宝田 明
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だが『ゴジラ』の公開は1954年。すでに戦争が終わって10年近く経っている。

たしかに戦争体験者にとってゴジラは核やアメリカ軍のメタファーとして映っただろう。

しかし戦後世代には?

ゴジラシリーズがその後メインターゲットにしていく子供世代にはどんな風に映ったのだろうか。

この問いについての答えは、その後のシリーズの展開を見ていけばわかるだろう。

ゴジラは2作目以降、戦争のメタファーなどではなくなっていく。

二作目『ゴジラの逆襲』ではアンギラスという敵怪獣が登場し、ゴジラとダイナミックな戦いを繰り広げる。

そして決定的だったのが3作目である『キングコング対ゴジラ』だ。

 

ゴジラ映画史上最大の観客を動員した本作はゴジラをプロレス的に消費するという方向に決定付けた。

そして作中で行われる破壊には意味などない。ただ破壊があるだけだ。

都市を舞台とした巨大なプロレスリングで怪獣たちが大暴れする。こどもたちは観客として巨大な怪獣たちが暴れまわるのを見てワクワクする。

そしてゴジラは破壊の化身から段々と破壊から人間を守る守護神として描き方が変化していく。そして傾向の強い時代をファンたちはヒーローゴジラと呼んでいる。

 

2・破壊に感情移入するための正義

そうしたゴジラから少し遅れて登場した『ウルトラマン』がゴジラの人気を奪って行ったことにはいくつかの理由があるように思える。

 

単純に毎週怪獣が暴れるのを見ることができるということが理由の一つである。

しかしウルトラマンが人間の形から変身するということ、そして変身後も人型でプロレスをするということも支持された理由なのではないだろうか。

人型であるということは模倣することが容易であるということである。

そして変身という儀式をすれば、簡単にウルトラマンになりきることが可能だ。

こどもたちはウルトラマンになりきって巨大化して、町を破壊しながら人々を守る。

正義のヒーローとは正義や仲間を脅かすものを暴力によって叩き潰すもののことを言う。

ヒーローモノのエンターテイメントは虚構の中で敵を想定することで、それを殲滅する必要を演出し、その暴力行為によって破壊衝動を満たす。

その暴力への欲望の理由付けとして正義や仲間というキーワードが利用されているだけなのだ。

そしてこれはプロレスの構造と、いやスポーツの構造とあまり変わらない。

倫理的な目線で見れば、平和の中、わざわざ争い、相手を倒す必要など本来はない。

スポーツにしろヒーローものにしろ、暴力衝動の発散である。そして視聴者が当事者に感情移入をすることでその多幸感を疑似体験する。

スポーツにおいてはルールそして観客、ヒーローものにおいては正義という建前があるために、暴力はスーパーエゴの抑圧を受けず、違和感なく受け入れられ、破壊願望が満たされることとなる。

 

 

3・ただ破壊を望む力 正義なき破壊

だが、建前が通用しなくなったらどうなのだろう。

正義に先立ち力がある。正義なき破壊衝動がある。

そうしたことを最初期に描いた作家が永井豪だ。

 

マジンガーZ』において主人公は巨大ロボットという力を手に入れる。

神にも悪魔にもなれる力だと作中で言及されている。これは正義や悪に先立ち力があるということである。

マジンガーZ』においては正義の心をもち、悪と戦う正義の方向へその力が選択される。

しかし同著者の『魔王ダンテ』そして『デビルマン』においては正義の建前がゆらいでいる。

 

魔王ダンテ』という作品では神と悪魔というイメージが逆転している。

本作では悪魔と呼ばれる種族は地球の先住民であり、神は侵略者だ。

『ダンテ』においては初めに力をただ破壊衝動のみとして描く。

そこに正義はなく、人類を虐殺する、町を破壊する力としてのみ描かれる。

これは明らかに悪の力。悪魔になってしまった力だ。

しかし真相が明らかになるとそれまでの虐殺行為が正義としての意味を持つことになる。現人類とは侵略者である神の分身であったためだ。

『ダンテ』は正義と悪を単純に逆転させた作品だ。悪魔が正義の位置に置かれ、人類と神が悪に堕とされる。

 

しかし『デビルマン』はそこまで単純ではない。

 

デビルマン』においてもデーモンは先住民として描かれる。

太古の昔、デーモンは神に醜いという理由で滅ぼされそうになる。

一度目の神の侵攻を撃退した後、デーモンたちは力を蓄えるために地下に潜り眠りにつくが、起きたときには地球は人間で溢れかえっていたのである。

そしてデーモンたちは神と同じ過ちを犯す。人類たちを駆除し滅びへと導こうとするのだ。

人類たちもデーモンや神と同じことをする。デーモンを恐れた人類は人間でもデーモンでもないデビルマンという半端モノたちを駆除しようとする。

主人公である不動明は最初は人類のために戦っていた。しかしデビルマンが人類と敵対し始めたときからその正義は揺らぎ始める。

親しい仲間が人類の疑心暗鬼に殺されていくなか、最後にヒロインである美樹だけは守ろうと決意する。この時点で正義という建前は消え去っている。

そして美樹が暴徒に惨殺されたと知り、不動明は人類を見限り暴徒を焼き尽くすのである。

人類滅亡後、デビルマンとデーモンはまた殺し合い、そして全滅する。

最後には神の軍団が天から降りてきて、すべてを無に帰すということがほのめかされて終わる。

デビルマン』に正義はない。単純な正悪の逆転などではなく、すべての存在のエゴイスティックな破壊があっただけなのだ。

 

デビルマン以降、永井豪は単純な破壊衝動というテーマを取り扱うことになる。

それは元祖セカイ系ともいえるかもしれない『バイオレンスジャック』でもいいし、『凄ノ王』でもいい。そこでは性欲や暴力などあらゆる欲望と渾然一体となった破壊衝動が描かれる。

特に『凄ノ王』のラストはただすべてが破壊されるという正義も悪もない純粋な破壊だ。

 

これは打ち切りのようにも見えるかもしれないが、加筆されたバージョンにおいてもラストは変わらないままだ。

永井豪は破壊衝動を、善も悪もないただの破壊を描きたかったのだ。

 

永井豪は破壊という点では最も極端な作家といえるかもしれない。しかし彼のような正義なき破壊という衝動は倫理的な障壁に阻まれながらも、多くの作品に現れているように見える。

 

ちなみに正義の暴走による破壊というものもある。

それは例えば『伝説の巨人イデオン』に代表されるだろう。

 

この作品はエウリピデス的なデウスエクスマキナを逆転させ、抽象な正義の力が最後すべてを吹き飛ばす。構造的には『デビルマン』において神の軍勢がすべてを無に帰さんとしたのと同じだが、こちらはそこまで醜悪なものとして描かれていない。

ここからは正義なき破壊衝動がどのような建前を隠れみのにしてきたのかを見ていこう。

 

4・豊かな東京を破壊する

80年代も後半になると、日本は世界的にも最も豊かな国になる。

ものであふれ返った東京は地上でもっとも栄えた地区となった。

なんでもあるメトロポリス東京。それを冒頭から吹っ飛ばした作品が、みなさんご存じの『AKIRA』だ。

AKIRA』において「新型爆弾」によって破壊された東京のイメージ。それは『ブレードランナー』のようないかにもオリエンタリズムに満ちたサイバーパンクな世界観なわけだが、そこに60年代的な要素を数多く読み取ることができる。

学生運動のような古臭いデモ隊、薄汚い長屋、そしてなんといってもオリンピック。

もちろんそれらを大友克洋ユートピアとして描いているわけではないが、80年代の都市開発をすべて破壊した末に生まれたのが昭和のみすぼらしい風景だったという感性は注目に値する。

そしてそうした80年代に失われていく昭和というイメージから、軽薄な近代化への怒り、そして破壊を試みたのが『劇場版パトレイバー』だ。

 

『劇場版パトレイバー』では天才プログラマーである帆場暎一は東京を破壊しようと試みる。破壊の動機となるのは社会への怒りだ。

彼は戦後の街並みを破壊し、都市開発を進めることへの怒り、開発によって自身の故郷を奪われることへの悲しみから、町を破壊しようと試みる。

良き社会を作るという再生の意味はここにはない。正義でも悪でもなく怒りからくる破壊衝動はただ現代社会そのものにむけられるのだ。

 

5・破壊の対象の再抽象化

こうした怒りと破壊。現代社会への破壊衝動は様々な作品で描かれることとなる。それが時には地球全体であったり、増えすぎた人類であったり、社会の欺瞞だったりする。

そしてその衝動が社会性をラジカルに突き詰めた結果として、また永井豪的な純粋な破壊衝動へと戻っていく。

 

新世紀エヴァンゲリオン』においてはすべての問題を人間同士の不理解に求め、その障壁となる細胞膜を破壊することで人類を補完しようと試みる。

最後には細胞膜を認め他者と生きることを選択するわけだが、結局世界は破滅する。

主人公の個人的な人間不信がそのまま世界にまで拡張した結果、人類を滅亡させるのだ。

 

そして90年代後半以降、世界の破滅を描いた、通称セカイ系の作品群が数多く登場することになる。この時代の破壊衝動の面白いところは、感情移入される主人公よりもヒロインが力を持っているところだ。

そのため主人公の意志が直接世界を滅ぼす暴力でないところが、永井豪エヴァと大きく異なるところである。主人公が激情に駆られても、彼らには何の力もない。

こうした作品ではしばしば世界か彼女かを選択させられるが、感情に反する結果になることも多い。

そして世界が滅んだり、彼女が犠牲になることで世界が救われたりする。

 

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どちらにせよ、そうした作品ではセンチメンタルな喪失感が描かれ、平均的な青春小説のように主人公の成長をもって幕を閉じたり、滅んだ世界での死にゆく二人が描かれる。

(永井豪エッセンスを小学生女子でやりました。)

セカイ系におけるヒロインか世界かという選択。

これは結局、破壊衝動による人類の殲滅という欲望と倫理観による公共への奉仕の選択である。

その選択を迫られる時、作中ではヒロインを犠牲にする世界への怒りが描写され、読者はその感情を自身の世界への怒りとリンクさせる。

社会の理不尽で完璧な正論は守るべき理念であるが、そうした完璧な正義は我々のもつ衝動を制限する。こうした作品において、我々の持つ漠然とした社会への怒りと不満はヒロインの悲劇というわかりやすいメディアによって具現化され、我々は世界をすんなり憎むことが可能になる。

(本来心に秘めている世界への怒りが、作品内の極端な状況で浮かび上がり、破壊衝動が明るみにでると言った方がいいか。)

そしてその抽象的な怒りが破壊の動機になる。

しかし明るみに出た衝動は多くの作品においては臨界寸前まで膨らむが、不発のまま終わっていく。

それは『イリヤ』のようにすれ違いから機能不全に陥ったり、『エルフェンリート』のように衝動を抑え込み世界を選択することもある。抽象的な怒りはスーパーエゴの抑圧の前に散ってしまうのだ。

 

 

6・『天気の子』 具体的な怒りと抽象的な対象

だがそうした破壊衝動を肯定してしまう作品もある。

例えば新海誠の『天気の子』などはその典型例だ。

 

天気の子

天気の子

  • 醍醐虎汰朗
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この作品では主人公が東京を破滅させヒロインを選ぶ。だが表層的でチープな恋愛感情の裏側にはやはり破壊衝動がある。

ここで描かれる東京の破壊は喪失としてではない。

その選択には『劇場版パトレイバー』と似た、現代社会への具体的な怒りが込められているからだ。彼の怒りは東京の理不尽さ、冷たさに向かっている。家出少年や身元を亡くした少女たちには都心は非常に厳しい環境である。

彼らは東京を破壊するが、それは代償などではない。ただ怒りと破壊衝動の結果として破壊されたのだ。

イリヤ』とは違い、大人も主人公の選択に手を貸す。彼らもまた現代社会への怒りと破壊衝動をむき出しに破壊に加担するのだ。

 

エゴイスティックな破壊というテーマは『新劇場版ヱヴァンゲリヲン破』も同じだが、それは崩壊後を描く『Q』において糾弾され、否定される。

破壊の結末をグロテスクに描いたのは『進撃の巨人』だ。

仲間を守るために全世界を滅ぼそうとする。そしてそれは仲間たちによって否定される。そしてその行為は不信感を世界に植え付け、結局争いはなくならない。

破壊行為は完全に否定される。

 

だが『天気の子』ではそうではない。

埋め立て前の東京を持ち出し、もともとは海だったと開き直る。

我々を苦しめる近代文明を具体例に描くことで倫理を否定し、破壊は肯定される。

破壊衝動をもった我々はその結果に満足する。

エンターテイメントとして、ユートピアとして素晴らしいポルノグラフィーだ。

 

 

雫

  • Leaf
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7・破壊衝動と付き合う

だがそれは虚構でしかない。世界を破滅させる力の選択権など本当は存在しない。

あったとしてもそんな力を持つことができるのは、ロシアの大統領とアメリカの大統領くらいのものである。

衝動はあっても我々は無力であり、世界を破滅させることも、その衝動を抑えて世界を救うことを選択するなんてことも起こりえない。

もしくはテロリストになり、衝動を解消したとしてもそこに残るのは悲しい結末でしかない。

 

自身の肥大しきった妄想と現実をどう折り合いをつけるか。そうしたテーマを扱ったのが『AURA』や『素晴らしき日々』だろう。

 

これらの作品は虚構や衝動と向き合いながらも、虚構や衝動を捨てるという極論には至らない。

倫理による衝動の抑圧でもなく、衝動の解放でもない。

地味に無能に生きていくための第三の道を示してくれるのだ。我々の破壊衝動は社会を壊すことはできないが、人に迷惑くらいならかけることができてしまう。そしてむき出しになればたちまち社会正義の名の下に裁かれる悲しい運命でありながら、腹の下から湧き上がってくる厄介なものだ。

しかし衝動の抑圧はおおくのストレスを伴う。

そして抑圧以外の向き合いかたをこうした作品が考えさせてくれるのだ。

 

 

終わりに

我々に潜む破壊衝動。口では否定しても多くのひとにはそうした願望が眠っている。

世界を破滅させる作品はそうした欲望を満たすとともに、我々の中の危うさに目を向けるよい機会となる。

ニュースで現実の都市が廃墟になっている様をみても、胸糞悪くなるだけである。

しかし現実感覚の裏側にはある人々の破壊への渇望があるのだろう。

だから作品内で世界が破滅するとスッとする。知っている都市が爆破されるのをみると嬉しく思う。だがそれは虚構の中だけの話ということにしなければならない。

 

☆☆☆オタクの制服JK信仰を叩き切る!!女子高生が登場しない作品☆☆☆

お久しぶりです。

一号です。

わたしにしては珍しく今回はアニメ・漫画の話題について。

正直に言いましょう。オタク批判なんてあんまりしたくないんですけれど、日本のアニメ・漫画のヒロインってJK多すぎません?

JKじゃなくても大体ヒロインは12~18歳くらいの間であることが多いのは確かです。

中には17歳が女性で最も魅力的な年齢だなんて乱暴な言説もあったりして、本当になにもわかってないなって思います。

それに何が気に入らないかって、そのうちの結構な割合でセーラー服やらブレザーやら学校の制服を着てることです

わたしにとって制服なんて女性の魅力を半減させる衣装でしかないです。

性格や生い立ち、自己評価や彼女たちが目指しているスタイルの奥深さを表すファッションの要素が、制服みたいな画一的なイメージに押し込められていては魅力半減です。

制服少女を選択する意味がわからないです。

そもそも10代中盤の女の子ばかり登場するっていうのも多様性がない。

思春期を終えたくらいの年頃の女の子のキャラクターだけでは、扱えないテーマも沢山あります。

人生は思ったより長いわけですし、それなら100歳の老女だって魔女としてでなくヒロインとして登場することだってあっていいはずです。

 

 

とはいえ、漫画やアニメの主な視聴者は10代から30代くらいまで。さすがに100歳のヒロインではいろいろと難しいこともあるはずです。

それにやっぱりヒロインには「萌え」要素が必要であるというのは、致し方ないことであるとわたしは考えます。

それはドラマに北村匠海吉沢亮が登場するのと同じことでしょう。

ただ30代も見ているということなら、だいたいアラサーくらいまでのヒロインには萌えることが可能なはずですし、大人がJKに萌えるよりも断然健全だと思われます。

 

ということで、今回は制服JKが登場しない作品を紹介していきたいと思います。

(今回は『雪女』のような官能とエロスの蠱惑的な魅力のある作品は対象外です。なんかオタク向けって感じじゃないので。)

 

SPY×FAMILY』

最近のアニメの唯一の希望と思いきや、『チェンソーマン』も制服JK出てこないですね。

ただ『チェンソ』はあんま年齢の概念関係ない作品なので今回は除外させていただきます。(たぶんパワーちゃんは人間換算だと18くらいなんじゃないかな)

SPY』のヒロインはみなさんご存じヨルさん。年齢はなんと27歳!

いいですね。スタイルもモデルみたいに抜群です。ヨルさんはアラサーヒロイン界の希望と言ってもいいでしょう。

ちなみにわたしはヨルさんだけでなく、フィオナも大好きです。彼女の年齢は分かりませんが、少なくとも10代ではないはず。(10代であの魅力は出せないでしょう。)

この作品の流行がJKヒロイン時代の黄昏を意味することを願っています。

 

 

『気をつけなよ、お姉さん。』

最近どはまりした漫画です。百合です。

主人公は23歳のOL。ヨルさんはじめ20代後半のヒロインからすればちょっと若いですが、一応非JKなので今回のテーマからはそれていないはずです。

主人公の上司として25歳のお姉さんキャラも出てきます。

運動不足解消のためプールに行った主人公がおぼれそうになった時に、スタイル抜群(身長172㎝)の美女に助けられるというところから物語は始まります。

美女のイケメンムーブに主人公は惹かれていくのですが、あることが障害になっていて、なかなか踏み込むことができません。

ところで、高身長ヒロインっていいですよね。背が高くてかっこいい女性ってめちゃくちゃ憧れます。男好きのする清楚かわいい系ってわたしはあんまり好きじゃなくて、高身長イケメン女子キャラクターが流行ってくれたらなって思います。

 

『2DK、Gペン、目覚まし時計。』

わたしが地味に好きな作品です。また百合です。

この作品同居百合系の作品なのですが、ヒロインはそれぞれ25歳と27歳。

有能なOLとだらしない漫画家のコンビの関係はみてて飽きないですが、他にも同僚OLとか出てきたりして、アラサーヒロインたちの魅力が存分につまった作品になっております。

意識高い系萌えという新しいジャンルを開拓した作品でもあります。

これをよんだらあなたもきっと意識高い系が可愛く見えてくるはずです。

 

 

そして同居系百合と言えばこの作品も

『お姉さんは女子小学生に興味があります。』

同居しているのは、高校の非常勤教師の主人公28歳とミュージシャンの先輩29歳。百合です。

もうこの時点でなかなかいい雰囲気ですよね。

ヨルさんよりも年上のキャラ2人!しかもこの作品隣人の人妻キャラが33歳だったりとか、ヒロインたちの年齢結構高めなんですよ。()

ただ少し注意しなければならないのが、主人公が高校教師なので教え子のキャラクターがJKなことですかね。ただ基本的にはその子たちは脇役なので、メインヒロインは非JK!これは安心です。()

 

 

 

 

 

そろそろ本性を現します。わたしはJKや制服ヒロインアンチなだけなのです。

先ほども述べましたが、わたしが漫画やアニメのヒロインに重視するのは、キャラクターのファッションやお化粧。そしてそこから見えてくるそのキャラクターの生い立ちや性格、そして生き様を感じるということ。

つまりアラサーヒロインじゃなくてもいいわけです。

誤解しないでもらいたいのは、上記のヒロインたちが好きというのは本当です。

だけれども上記の作品に登場するアラサーヒロインでも、JKでもないヒロインたちも、非常に魅力的なキャラクターです。

 

例えば『SPY』のアーニャ

昨今の集英社系のヒロインの中でも最も人気なキャラクターの一人でしょう。しかし彼女は制服系キャラクターなのでここでは除外します。(別にきらいなわけではないよ。)

 

『気をつけなよ、お姉さん。』のイケメン美女は実は10歳です。

いやいやあり得んだろって思いますが、漫画なのでまあ気にしない方向で。

(作中でも言われてますし)

彼女の魅力は時折見せる子供っぽさにあると思います。彼女どう見ても20代にしか見えません。しかしちょっとしたしぐさが子供っぽかったり、子どもと一緒にあそんだりしているギャップはなかなかいいです。

ファッションに関しては、冬になっても半袖で過ごしたり、わりといつもおんなじ恰好でいたりするのが少し残念ポイントです。

でも主人公の葛藤だとか、まいちゃんが無邪気ながらなにかを感じ取っていたりするのは結構こころに響きます。一読の価値ありです。

 

 

この作品については…

正直これは倫理観ぶっ飛んでんなって思います。

まずヒロインの年齢がアーニャと同じなんですよ。さすがにきもいです。それに最後は逮捕エンドにしてもらいたいってくらい主人公がやばいです。9割くらい犯罪者です。ドン引きする内容です。(でも嫌いじゃない)

ただキャラクターの衣装や絵柄はとってもかわいいので、非JKヒロイン好きの人なら読む価値ありますよ。

ちなみに主人公と同居している29歳ミュージシャンが一番の推しキャラです。アラサーヒロイン推しは本当です。

 

さて本性を現したところで最後の作品。

今回紹介するなかでも、わたしが最もおすすめする作品はこちら。

 

こどものじかん』です。

アニメ化もしていますし、結構有名な作品なので知っている人も多いのではないでしょうか。

主人公は新任教師の23歳(男)ヒロインのりんちゃんは小学生3年生。

ちなみにりんちゃんは国民的芸人の粗品の付き合いたいキャラにランクインしています。


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内容は早熟なりんちゃんが主人公を(時には性的に)からかうという、小学校を舞台としたラブコメなのですが、児童虐待の問題だとか、小学校ならではの家庭環境の問題、教育の在り方、こどもの性欲など、難しい問題に取り組んだ意欲作でもあります。

ただのお色気作品だと思っているひとは、Amazonかなにかでアニメだけでも見てみましょう。結構シリアスな話で驚かされるでしょう。

 

 

ちなみに脚本はOVAも含め全話岡田摩利が担当していて、実質的にこれが彼女の出世作でもあります。

 

魅力としましてはやはりファッションについて。作中でも言及がありますが、こどものファッションは親が子供にどうあって欲しいかということが如実に表れます。

そして各キャラクターの服装にはそれぞれの家庭環境が反映されているのです。

また原作ではかなり踏み込んだ性的な描写をすることによって、こどもが大人になっていく様を大胆に描ききっています。

個人的におもしろいと思ったのは、無垢で気の弱かったみみちゃんというキャラクターが高学年になるにつれていち早く精神的に成熟し、結構辛辣なことを言ったりするようになるところ。

逆に成人でも大人になりきれないキャラクターも沢山登場し、それぞれが幼少期のトラウマや自身をこども時代に縛り付ける鎖を断ち切り、真の意味で大人になっていくという様はきっと感動するはずです。

テーマであるこどもとおとなとはなにが違うかということには、原作のほうで一応結論がでています。わたしは一応納得しています。

 

 

このような作品について賛否両論あることはわたしも理解しています。

しかし現代は情報化社会。

未成年であっても平気でポルノに触れることができてしまう時代です。

情報が簡単に手に入るということは、早熟なこどもが現れてしまう可能性も高くなるわけで。

もちろんそうした社会問題を真面目に取り扱うならば、文学などのハイカルチャーにおいて扱うということが倫理的には正しいわけです。

しかしハイカルチャーは今や象牙の塔の中以外では何の意味も成しません。

たしかにこうした作品に一種の不真面目な要素があることはたしかです。

最初から真面目腐ったテーマではもともと問題意識のあるひとしか手を出さない以上、不真面目の中に真面目なテーマを隠すことに、こうした作品の意味があるのではないかとも思います。

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(本ブログのスタンスは当記事にて)

 

というわけで今回は非JKヒロインの登場する漫画でした。

いろいろごたくを並べましたが、ぶっちゃけてしまうと、ただ衣装が変わる作品が好きなだけです。

そういった意味で本当は『苺ましまろ』を押したかったんですけど、あれ原作だとのぶえちゃんがJKなんで排除しました。

 

 

衣装が変わるアニメだと、『デビルマンレディー』も結構好きです。

これも同居百合なのですが、やっぱりヒロインがJKなので排除。

JK好きすぎるよオタクたち・・・

 

 

これはJKじゃないけど、制服だし。

 

やっぱり個人的にはOLヒロインとか増えて欲しいなってのが本音です。

今回は漫画中心でしたけど、アニメだとさらに制服JK率高いわけです。

だから『SPY』フォロワーがたくさん出てきて、一時期の『君の名は。』コピー祭りみたいな感じになってほしいなって思ってます。

 

それではJKブームの黄昏を祈って

 

またね~

 

『【ロボットになるな!】麦わらのRYANAボンがアンチ学生生活な青春漫画・アニメを紹介』

ハイサイ毎度!

Z世代の天才ブロガー、麦わらのRYANAボンです!

 

今回のテーマは青春モノ!

 

というわけで青春モノを紹介するのですが、皆さんアニメとか漫画とか見てると青春モノは学生生活が多すぎだとは思いませんか?

 

そこで描かれる青春と言うものは、大体学校行事やら部活やらバンドやらの活動を通して、学生特有のコミュニティでの人間関係を築き、学生たちの社会で認められることによってクライマックスを迎えるというパターンが「王道」なわけです。


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ufotableといえばやっぱり『まなび』。内容は失われた学生生活を取り戻す話)

 

しかしですよ。

高校の時の友人なんて卒業してしまえば、ほとんどが赤の他人。

特別親しい数人を除けばインスタで近況を見るだけだとか、宗教勧誘があるだけだとかそんな縁なわけです。

学生社会に認められた関係は脆いもの。

別の社会にそれぞれが適応してしまえば、そんな絆は簡単にほどけてしまうものです。

 

そこで今回はアンチ学生社会・学生生活な青春モノをピックアップして紹介していきたいと思います。

オルタナティブな青春が欲しいみんな。

ぜひこれらの作品たちを読んだり見たりして癒されましょう。

 

学校から出よう!幾原邦彦作品

少女革命ウテナ』『ユリ熊嵐

 

私のアンチ学生生活青春モノって発想の原点がここに在ります。

内容はどちらも学校という閉じた棺の中のくだらないレジームからの解放というもの。

 

少女革命ウテナ』の舞台はいかにも平成初期の少女漫画のアレゴリーといった鳳学園。

王子様に憧れた少女ウテナがその学園にて、姫宮アンシーという少女をかけて決闘に挑むというお話です。

この作品で語られる姫とはなにか、王子様とは、永遠とはというテーマは、そのまま少女漫画的な恋愛モノの寓話となっており、非常に興味深い作品です。

 

少女漫画には基本的に憧れのヒーローが登場します。

ただヒーローに見初められるだけが青春じゃないわけです。

それは学生社会でもっとも信仰されている価値観でしかないわけです。

かといって今はやりの方法論みたいに女の子がヒーローになれるって話でもないところが『ウテナ』の面白いところ。

ヒーロー・ヒロインなどという二項対立を解体した末のクライマックスは感動すること間違いなし。ぜひ見てみよう。


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(タイトルの通り、青春の終わり。ここでの青春は学生社会の青春だ。)

 

 

ユリ熊嵐』の舞台は『ウテナ』とは違って女子校。

つまり憧れのヒーローなんてものはいない世界なわけで、ここで問題になってくるのは「空気」というもの。

シナリオは正直ここで説明するのが難しいくらいわけわからんのですが、ようは学校社会において自身の「スキ」を探すというもの。ちなみに百合要素てんこ盛りです。

(キマシタワー)

空気に立ち向かって「スキ」を通したい方はぜひ見ましょう。

(この作品、多分幾原邦彦作品の中では一番難解ですが個人的には結構好きです。)


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(空気といえばこれ)

 

自分の居場所を求めた先『バイ・スプリング』

タイトルからして買春の話かなと思うかもしれません。

それは半分くらいは正解です。

ただこの作品の根幹にあるのは、自身を過剰に管理してくる母親を持った思春期の少年と、裕福ながら義理の父親とそりが合わないヒロインが高架下という場所に居場所を求めるというもの。

(エッチな展開を期待はあんまり期待できません。)

このような学校でもなく、家庭でもない居場所を求めている人ってのは結構いると思います。

別に毒親でなくたって中高生にもなれば親といることは気まずくなるものですし、多数の人間は学生社会に居場所を求めるのでしょうけれど、そこからあぶれてしまったひとはそこ以外しか選択肢がないわけですから。

(13歳にもなって学校以外の場所まで親の言いなりなのは逃げ場がなくて本当に気の毒に思えます。)

居場所を求めてる学生諸君。この作品を読んでぜひ癒されてください。

 

緩やかなアンチ学生生活 入間人間作品

電波女と青春男』『安達としまむら

 

入間人間のこの二作品はアンチ学生生活って雰囲気が漂っていていいんですよ。

『電波女』に関してはヒロインは高校中退していますし。

ただここで注目したいのは『安達としまむら』のほうです。

 

よっ友はいるけど本当の友人はいないしまむら、ぼっちの安達。

そんな学生生活に馴染めず半不登校の二人がエスケープ中に体育館で出会い、少しずつ仲良くなっていくというもの。いわゆる百合と呼ばれるジャンルです。

途中で不登校ではなくなって、一応授業を受け始めるわけですが、この作品が特殊なのは徹底的に学校行事が描かれないことです。

学園モノで人間関係を築く話は、キャラクターたちがイベントに巻き込まれるという形をとることが多いです。

そしてイベント、つまり学校行事等にむけて切磋琢磨し努力して学生社会に認められながら、仲間との関係も深くなるというものが主流ですが、『あだしま』はまったく違います。

あだしまでは安達がしまむらと仲良くするために、クリスマスデートに誘ったりだとか、バレンタインデーにチョコレートをあげるために奮闘したりするのですが、そこに学生社会との繋がりはありません。

二人の個人的な関係があるだけです。

 

 

修学旅行に行った時も、普通は班でなにをしただとかレクリエーションがどうしたなど、通常の作品では学生生活の流れが人間関係が大きく影響するものですが、『あだしま』では旅館の部屋内の二人がクローズアップされ、学生社会との断絶が描かれます。

 

そして何より特殊なのが、この作品ぼっちである安達が社会と打ち解ける可能性を完全に否定しているところでしょう。

実際彼女は何度かしまむら以外の人に接触はするのですが、よっ友よりも深い関係になろうとは思いません。無理してしまむら以外と遊びに行ったとしても、2人きりのほうが断然楽しいという感想を持ちます。彼女たちにとって社会とは打算的に生きる世界であり、そこになんのロマンもないのです。

そのため学生社会における仲間信仰は『あだしま』という作品にとっては息苦しいものとして描かれます。そして学生生活におけるイベントもそうした仲間信仰ありきのものであり、彼女たちには不要なのです。

 

 

 

アンチ学生生活としての青春漫画・アニメ。

青春の形は人それぞれなものです。

しかし恋愛のロールモデルがドラマや映画に影響されるように、アニメの青春描写も目指すべき良き青春として受容されることもあるでしょう。

 

 

学生生活・仲間信仰というものから良き青春はそのようなものだと勘違いしてしまう人もいるのかもしれないです。

もちろんそれは一つの正解ですが、それ以外に正解がないなんてことはありません。

今回はオルタナティブな視点を持つ上で少しは参考になればいいなと思いいくつかの作品を紹介しました。

もう高校・中学なんて卒業した私から言わせると、高校・中学というのは島社会みたいなものです。それはそれで楽しいところもあるし、私だって別に学生社会が嫌いなわけではないんですけど、なんだったんだあれということも結構あります。

私は中学生の時、これをやらなかったら退学という宿題をやらないで行った時ガチギレされました。当時私はロボットになりたくなかったのかもしれません。

でも退学はなかったので「話違うや~ん」ってなりました。

それ以降は宿題出さない主義から最低限出す主義に代わりました。宿題まる写しのせいで都大会出場停止になったことももありましたが、まあそういうのもいい思い出です。

 

高校生活で後悔してることはもっとさぼっとけばよかったなあということですかね。指定校推薦でも狙わない限り皆勤なんてなんも意味ないから、もし高校生がいたら卒業日数を計算して適度にサボることをおすすめします。

さぼって旅行とか行ってもいいと思いますよ。

学生社会が合わないなら、雑に打算的にそこでは過ごせ!これは『あだしま』で学べます。

こんな感じで、私はこどもも大人も自由に生きていけばいいと思っています。

みんな・・・

人生は冒険や!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『読書週間! 読んでないと恥ずかしい読んでいない本』

10月末から11月の初めにかけては、全国的に読書週間。

普段本を読まない人はこの機会にどうぞ1冊、月に10冊以上は読むよという読書家のみなさんは、今までなかなか読めなかった大作に取り組むのもいいのではないでしょうか。

 

ちなみに私は読書家というわけではありません。歴史的名著を読破してやろうと思い立ち、とりあえずAmazonでポチるくらいの向上心はあるのですが、ポストから取り出して包装をビリビリと破り開けてしまえば、もう読もうという気持ちは秋の空。本棚のどこにレイアウトしようかという本棚デザイナーの私が、読書家の私をどっかに追いやってしまって以後その本が触られることはなかったりします。

 

 

というわけで今回は、そんな本棚デザイナーな私が読んでない名著を紹介したいと思います。

とはいっても紹介するのは本当に有名な作品ばかり。きっと読書家のみなさんは「えっ、これすら読んだことないのにスノッブを語ってたの?」と驚愕すること間違いなし。あんまり本を読まないよという人はこれを機に一冊くらいは手に取ってみましょう。

 

 

失われた時を求めて』 プルースト

いきなりクライマックス。

 

20世紀の世界文学の中でも最高傑作との呼び声も高い本作。

似非教養人のエアプ本ランキングでは常に上位を占めるでしょう。

同じように20世紀文学の最高峰ともいわれるカフカとはアクティブ数という点ではずいぶんと差をつけられているけれど、その原因は単純です。

どう考えても長すぎるということです。

岩波文庫のほうだと全14巻。きっとコンプリート率10%以下で、もうついていけないと引退してしまった人も沢山いるのでしょう。

しかしこの本、エアプであっても先人たちによる批評がたくさんあるので、結構語れてしまったりします。とりあえず夢想体験のようなシーンが映画やらアニメやらにあるならば、とりあえずプルースト的とレッテルを貼り、「プチット・マドレーヌ」だとか、「意識の流れ」だとかそんな言葉を巧みにあやつり、読んだことを名言せずに「プルースト読んだ感」を醸し出しましょう。

相手がエアプならきっとばれないと思います。プルースト人狼とかすっごく楽しそうです。読まずに「全英プルースト要約選手権」に出場するというのも挑戦的で面白いと思いますよ。

 

哲学探究』 ウィトゲンシュタイン

 

私は大陸系の哲学はにわか程度には知ってはいるんですけれど、英米系の哲学は本当によくわからないです。

ウィトゲンシュタインも世紀転換期オーストリア思想の一つ、つまりはフロイトだとかカール・クラウスだとかと同じグループって捉えれば地理的には確かに大陸系なのですけれど、やっぱり私的には英米哲学のジャンルに入る。

だからか「語りえぬものには沈黙するのみである」なんて言葉は有名だけれど、にわかですらない私にとってはどうも腑に落ちないのです。

私は唯物論者ですが、言語をメディアとして捉えているので、根本的に考え方が違うように感じます。(個人の感想です❤)

ただ彼の思想の理解しがたさとは裏腹にただ機械的に彼の本に目を通すというのはそこまで難しいわけでもないですよね。なんたって短いですから。

そういったわけで『論理哲学論考』には一応目を通したことがあるので、こちらを選択しました。

 

 

実際『論哲』は目を通したことのある人も多いでしょう。

「語りえぬもの」に関しては『探究』のほうでは沈黙していないとのうわさも聞くので、その辺しっかり取り組んだなら面白いかもしれないです。

 

資本論』 マルクス・エンゲルス

(うわでたよ。)

読んだ人はおそらく上記の二つよりはるかに多いでしょうが、エアプ率は負けず劣らずという本作。それだけ語られる作品というわけです。

名著であり、現代思想への影響は最も大きいと言っても過言ではない大作にも関わらず、センシティブな本ランキングでは世界で5本の指くらいには入りそうな尖った本です。別に共産党だけの占有物ではないんだけどね。

この作品のエアプ率の高さは、やはり危険な本だとみなされているところが大きいのでしょう。

まあ確かに数多くの人は本棚を見て、マルクスが並んでいたらそりゃあ引いちゃいますよね。実態はどうであれ、人は偏見に生きる生き物なので致し方ありません。

私が読んででいない理由?それは「プルースト的」な理由です。

共産党宣言』は読みました。あれは短くていいですね。

 

 

 

利己的な遺伝子』 ドーキンス

いきなり人文学から生物学へのジャンプ。

といってもこの本は別に専門書でもないですし、割と社会学的に受容されている一面もあるので、自然科学の本というわけでもないというのが、エアプからの印象です。

というのも「ミーム」という概念、おそらく定義を大きく超えてしまっていますが(読んでいないから確認していないよ)、この本が出典だとのこと。

Wikipediaに書いてあったからきっと90%ぐらいの確率で正確なはずです。(要出典)

この作品はエアプ率というより、ミームという言葉を出典を知らずに使っている率が凄まじい数いるでしょう。半年くらい前の私がソースです。

 

『聖書』

はい。実は完全に読んだことないわけではありません。ただ通読したかと問われれば、間違いなく答えはNO。

特に新約のほうはかなり厳しいですよ。「エンドレスエイト」じゃないですけれど、おんなじエピソードを何度も読まされるわけですから。

きっと世界的にも教会で聞いたことはある、エピソードが引用されているのを見たという形で聖書に慣れ親しんでいるひとは沢山いても、最初から最後まで通読しましたという人の割合はそこまで高くないのではないのでしょうか。

 

とはいえ作品を受容する上で間違いなく聖書の知識は必要なわけで、そんな時のために聖書が読めるサイトのリンクを貼っておきます。

www.bible.or.jp

(前に挙げた本みりゃ自明のことだとは思うけど、私はクリスチャンではないです。布教ではないことをここで断っておきます。)

 

 

いかがでしたか?皆様の読んだことのない本はありましたか?

今回紹介するのは世間的には読んでいないと恥ずかしい名著ばかり。だけれど、結構骨の折れる作品も多いので、読んだ振りをしているけれど、実は読んだことはないという見栄っ張りな方もきっといらっしゃるはずです。

 

一冊も知らなかった?

でも大丈夫です。本を読むということはメリットばかりではないのですから。

読んだことないから読んだに変わることはあれど、読んだ状態から読んだことがないになることはできないというところから、本を読んで取り返しのつかない事態になることが起こりえることは火を見るよりも明らかでしょう。

本を読むということは危険です。読んだら最後、奇妙な考え方に取り憑かれてどこか遠くの世界から帰ってこれなくなる可能性の存在は論理的に反証不可能です。

また本を読むという行為は最も反社会的な行為とも言えます。本を読むことは洞窟の中で修行することに似ています。詰め込み過ぎた知識とロジックがつかえて、穴から出られなくなったり、自分が洞窟の中にいることを認識できなくなり、見えないはずの獣に恐怖して、そのまま食われてしまったり、最後には自身が獣になってしまったりすることもあるでしょう。

 

とはいえ本を読んで得られるものは、他の体験には埋めがたい特別な経験になりうることがあるのも確かです。

なんだかんだ本を読むことはいいことです。正直読む本なんかどうでもいいです。読んでないと恥ずかしいなんて考えて、名著をつかまえてわざわざ読む必要なんかないんです。

 

 

私はむしろ周りに読んでいるとばれたら恥ずかしい本をそれでも読み続けるということこそ、本を読む醍醐味だと思います。

最後に私はこんなのを読んでいるとばれたら恥ずかしいけれど、それでも好きな作品を一つだけ教えます。

いいわけはありません。理論もありません。実は高尚な作品でドゥールズがどうとか、ガタリがこうとかいうという講釈もありません。下に書いてある一言以外に好きな理由はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かわいいは正義!!!!!

 

 

『うる星やつらと平成 うる星の遺伝子は受け継がれた。』

 

うる星やつら』ほどモダンな作品はあるのだろうか。

 

 

もちろん影響力だとか、オリジナリティなんてものは数値化することができないので、結局は主観に頼らざるを得ない。

世間では現代のオタク文化エヴァ以後だなんて批評がされるけれど、私にはどうしてもそうは思えない。

 

 

 

(とはいえガイナックス的な同人と公式の境目があいまいな商売方法は大きなインパクトがあったと思える。『エヴァンゲリオン』は本編の内容よりも消費のされ方が画期的だったのだとわたしは考えている。しかし内容面でならばエヴァよりインパクトを与えた作品は他にも沢山あるのではないだろうか。)

 

どう考えても内容的にはうる星以前以後と言った方が適切だろうと考えるのだけれど、この考え方はおかしいのだろうか。

殊更に90年代後半から10年代前半までの主要なオタク作品の多くは、うる星やつらの遺伝子を受け継いでいるように思える。

もちろんこれらの作品がうる星に影響を受けているなんて起源論を主張したり、パクり認定してそれらの作品を貶したりはしない。

 

今回はうる星やつらが開拓したうる星ぽさ、つまりうる星の遺伝子を継ぐ作品をここで何作品か上げてみることによって、その遺伝子がいかに平成を象徴していたのかということを概観することを目的としたい。

 

うる星の遺伝子

 

それではうる星の遺伝子とは具体的にはどのようなものなのだろうか。

 

まずうる星の遺伝子その1として挙げられるのは、美少女キャラクター+日常系+ラブコメというものだろう。

ここでの日常系と言うのは、『ドラえもん』のような状態を想定している。

つまり、キャラクターたちになにか大きな目的があるわけではなく、日々過ごす中で起こる事件をドタバタコメディとして描写するというものだ。これに関してはそこまでうる星が革新的だったというわけではない。しかし当時はガンダムブームであり、青年が見るアニメと言うものは戦記物が主流だったし、『ドラえもん』もテレビ朝日で放送していない。少女向けではこういった作品はあったが、うる星は青年が見る日常系のパイオニアということができるだろう。

 

そして美少女。うる星やつらには様々な美少女が登場する。そしてそれぞれ宇宙人だったり雪女だったり、巫女だったり、保険医だったりする。幽霊という場合もあるし妖精だったりもする。こうしたバラエティー豊かな美少女が登場することはうる星の革新性の一つであり、最も影響を与えた部分である。

そしてそれらの要素をラブコメという軸でまとめ上げているのがうる星である。基本的にはラムちゃんとあたるの一連の流れ、つまりあたるが浮気をしてラムちゃんが電撃を放つというクリシェが延々と繰り返される。(もちろん本当はそんなわけではなく、あたるは他のヒロインにも殴られたりけられたりする。)

 

 

ここまでが原作うる星の遺伝子の基本的な要素である。この遺伝子だけでも受け継いだ作品はあまりに多いため、ここに記しきることはできない。

 

一応例を挙げてみるとこんなところだろうか。

 

 

 

 

 

(別にパクりと言っているわけではない。)

 

これだけでも相当なもんなのだが、うる星の遺伝子はこれだけではない。

アニメ版『うる星やつら』、特に映画『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』は原作と同じくらいの規模の影響をオタク文化界にもたらしたのだ。

 

 

それはどのようなものだったのか。細かいところを言い出したらキリがないので、大枠だけ記述しよう。

 

うる星の遺伝子その2は、作中世界をキャラクターの夢と表現したり、作品内でループさせたりすることで日常系のメタ構造を浮かび上がらせるというもの。

物語は虚構である。それは当然のことなのだが、遺伝子その1のような物語はあまりに都合が良すぎる。

そんな性格の悪い観点からうる星やつらという作品を解体、物語の虚構性を夢と看破し繰り返される日常をループという手法で表現した。メタフィクションといえば単純に物語の登場人物が漫画の枠外から突っ込みを入れたり、ゲームの登場人物が第4の壁を越えて話しかけきたりと言った、表面的なものもある。

しかし『うる星2』は作品構造を批判的に作中に取り込み、作中そのものに批評性を持たせることに成功した。

 

メタ構造、夢、ループという遺伝子もご存じの通り数多くの作品の中にみられる要素である。

例を挙げるとこんな感じだ。

 

 

(メタ構造という意味では最も進化させた作品)

(商店でメモを貼るシーンなど『うる星2』のパロディもある。しかしこの作品はバブル崩壊後の作品。文化祭前日なんて気分はもはやなく、合宿にて人間関係がバラバラになったところから始まるのだ。)

(言い逃れできないレベル。映画製作、無人島での殺人事件、しかもトリックまで同じ、そしてループ。『うる星3』では町の特異点としてラムちゃんを定義して、ラムちゃんが去ると超常的な現象はめっきり起こらなくなり、現実世界のようになるが、ハルヒも『うる星3』に近い世界観だ。)

(アニメ最終話のエンディングがね)

(喫茶店のシーンやバスのシーンは間違いなくパロディ。内容は前述のクロスチャンネルのほうが近い)

 

こうして挙げた作品を見ていくと、平成を代表する作品が目白押しだ。昭和まではオタク文化の主流はヤマト・ガンダムといった戦記物だった。

 

(『Zガンダム』ほんま面白い)

 

しかし徐々にうる星遺伝子を受け継いだ作品、つまり日常とメタフィクションを取り入れた作品が増えていき、00年代には主流となる。

 

令和に入ってからはオタク文化というものが王道少年バトル漫画との融合を果たしたり、メタ構造を必要としないなろう系のブームなどでうる星遺伝子を受け継いだ作品は目立たなくなったものの、いまだに子孫とも呼べる作品は数多く存在している。

 

令和最新アニメ『うる星やつら』が現在放送中であるし、令和にもうる星遺伝子は受け継がれていくのだろう。